現在、RPAツールは世の中にさまざまあり、自社に適したものを探すのは簡単ではありません。この記事では、ニーズに合ったツールを見つけやすいよう、人気のサービスを比較して紹介しています。
これから始めてRPAツールの導入を検討する企業や、導入後にうまく機能しなかった場合、当記事の比較情報を参考にしてください。
目次
RPAツールの選び方・比較ポイント
自社に合ったRPAツールを選ぶときは、それぞれのツールの特徴を理解した上で比較することが重要です。RPAツールを比較する際のポイントは以下のとおりです。
- 用途に合わせたサービスの利用形態
- サービスを活用する担当者のスキル
- 自動化したい業務内容に必要な機能
- サポート体制の充実度
RPAツールにシナリオを組み込む難易度や、自動化したい業務によってRPAツールの選び方が変わります。
用途に合わせたサービスの利用形態
RPAツールの種類には「クラウド型」「サーバー型」「デスクトップ型」があります。用途に合わせてサービスの利用形態を選びましょう。
クラウド型
クラウド型は、ライセンスを購入してクラウド上にあるRPAツールを利用するサービス形態です。利用する分だけ課金されるため、トライアルから業務自動化をスタートさせやすい特長があります。
サーバー型
サーバー型は、自社のサーバーにRPAツールを設置して利用するサービス形態です。社内で複数の業務をまたいだRPAを利用でき、大量のデータを取り扱える特長があります。
デスクトップ型
デスクトップ型は、パソコンに直接インストールしてRPAを稼働させる形態です。限られた範囲で自動化させるため、セキュリティに強くスモールスタートに適しています。
企業の特徴によって、マッチするサービス形態は以下のようになります。
- クラウド型:クラウド上の業務の自動化や、初期導入費用を抑えたい企業
- サーバー型:全社的に業務を自動化させたい企業、大規模な業務を自動化させたい企業
- デスクトップ型:スモールスタートで自動化させたい企業、社員のパソコンに導入したい企業
サービスを活用する担当者のスキル
担当者がITの初心者かエンジニアかによって、RPAに求める機能が違ってきます。例えば、以下のような点に注力して検討することが重要です。
- RPAの認識方法
- 直感的に操作が可能なUI(ユーザインターフェイス)であるか
- 導入時における操作方法などのサポートが充実しているか
特に、RPAが物ごとをどのように認識するかは十分な検討が求められます。認識方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 座標認識型
- 画像認識型
- オブジェクト認識型
最近ではオブジェクト認識型が増えてきていますが、複雑な処理を実行するため担当者のプログラミングスキルが求められます。非エンジニアが対応するのであれば、座標指定型・画像認識型が望ましいでしょう。ただ両者ともに、スクリプト言語を組み込めば複雑な処理にも対応できるようになります。
座標認識型
PC画面上のどこに操作対象があるか、どこからどれだけ離れた部分をクリックしたかを認識します。担当者のエンジニアスキルは不要ですが、アプリケーションのレイアウトが変更されると動作しないというデメリットがあります。
画像認識型
画面上の特定の画像を覚えさせます。表示された画像と覚えた画像を合わせることで記録した動作を行います。座標認識とは違い、動作エラーが起きにくくエンジニアスキルが不要な手法です。
オブジェクト認識型
アプリケーションやWEBサイトの構造解析を行い、対象(オブジェクト)を検出する手法です。部品ごとに理解させ指定された処理を実行します。複雑な処理にも対応できますが、アプリケーションやWEBサイトの構造を理解するエンジニアスキルが必要です。
自動化したい業務内容に必要な機能
自動化したい業務内容に必要な機能をチェックして、適したRPAツールを選択します。
● データ入力・転記などの単純作業
決まったルールや手順のある事務作業は、RPAで自動化しやすい業務です。例えば、CRMから経理データをダウンロードすることや、伝票などのデータ入力など別のシステムへデータを転記する操作を自動化できます。
● システムのメンテナンスやモニタリング作業
多くの人的リソースを要するシステムのモニタリングやメンテナンス作業も、RPAにより自動化できます。例えば、システム異常の検知・発砲作業やデータ監視なども、24時間365日による対応が可能になります。
● 電話やメールなどの顧客対応
例えば、カスタマーサポートにおける電話やメールの対応も可能です。回数を重ねれば、回答内容の精度の向上や、回答時間の短縮も期待できるでしょう。さらに、回答に必要な情報やレポート作成に必要な情報収集も自動化できます。
サポート体制の充実度
サポート体制が充実しているかについても、RPAツールを選定する際には重要なチェックポイントです。
- RPAツールの操作方法を解説動画が提供されているか
- 初心者でも分かりやすい導入・運用マニュアルが用意されているか
- オンラインコミュニティ・フォーラムがあり課題の共有ができるか
サポート体制の充実度に合わせて、サポート料金が割高になる傾向にあります。担当者のスキルに合わせて、RPAツールのサポート体制を確認しましょう。
特に、初めてRPAツールを導入する企業には、動画のマニュアルが用意されているサービスがおすすめです。動画をみながらRPAツールの使い方を学べるため、スキルアップしながらスムーズに導入できるようになります。
中小企業やはじめての導入におすすめのRPAツール
初めて導入する企業や中小企業におすすめのRPAは、画像認識ができて操作が簡単なツールです。非エンジニアでも、RPAツール内にシナリオの作成ができます。
順位 | イニシャルコスト | ランニングコスト |
---|---|---|
1位 | 0円 | 300,000円/年~ |
2位 | 100,000円~ | 50,000円/月~ (600,000/年~) |
3位 | 200,000円 | 50,000円/月 (600,000/年~) |
4位 | 0円 | 120,000円/月~ (1,440,000/年~) |
5位 | ー | ー |
QueenBOT RPA
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | オンラインサポート、製品研修会 |
QueenBOT RPAは、安価で利用開始できるRPAツールです。サーバー型のため、パソコンが故障しても別のパソコンで稼働させられるため、台数を増やして横展開が容易です。画像ではなくオブジェクトで捉える機能も搭載されており、安価でありながら広く業務に対応できます。
RoboTANGO
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | サポートサイト、個別チャット、オンラインサポート |
1つのライセンスを共有して利用できる特長をもつRoboTANGO。RPAの導入が初めてで、スロースタートをしたい企業に適しています。専用のサポートサイトが用意されているため、安心してシナリオ作成に取り組めます。
アシロボ
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 操作説明会開催・無料アフターフォロー |
アシロボはプログラミングスキルがなくても、パズルを組むようにシナリオ作成が可能です。研修が無料で、問い合わせにもていねいに対応してくれるため、初めてのRPAツール導入を検討している企業におすすめです。
ロボパットDX
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 無料サポート+3か月間の導入支援サポート |
ロボパットDXは、3か月間の導入支援サポートがついているため、初心者の方でも気軽に導入できるRPAツールです。マウスとキーボードの操作だけで直感的にシナリオを組むことができます。研修制度やサポートが充実しており、スモールスタートで初めて継続的に利用しやすいRPAツールです。
UiPath
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 解説動画・マニュアルが豊富。 オンラインフォーラムで課題解決 |
初心者でも扱える簡単インターフェースでありながら、AI機能が搭載されているRPAツールです。作業内容を通して機械学習し、最適な高速処理を見つけてくれます。視覚情報でシナリオ作成ができる強みがあります。
サポート体制が整ったおすすめRPAツール・サービス
サポート体制が整っていれば、安心してRPAツールを導入できます。導入時だけでなく、稼働までサポートしてくれるRPAツールは人気があり、中小企業だけでなく大企業でも利用される機会が増えています。
順位 | イニシャルコスト | ランニングコスト |
---|---|---|
1位 | 0円~ | 900,000円~/年 |
2位 | 0円 | 908,000円~/年 |
3位 | 0円~ | 82,500円~/月 (990,000円~/年) |
4位 | 0円 | 1,200,000円~/年間 |
5位 | 0円 | 148,000円/月 |
BizRobo!
サービスの提供形態 | デスクトップ型/サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 年間80時間まで様々なサポートが無料 |
BizRobo!は、利用形態や規模によってデスクトップ型とサーバー型のプランが複数用意されているRPAツールです。高度なシナリオの作成もでき、Java、PHP、C#、Rubyなどの汎用プログラミング言語に対応しています。AI機能を搭載しており、機械学習を繰り返して最適な高速処理を判断します。
WinActor
サービスの提供形態 | デスクトップ型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 年間80時間まで様々なサポートが無料 |
WinActorは初心者でも扱えるRPAツールとしてシェアを拡大しています。導入実績が豊富で、他社での課題をブラッシュアップしてRPAツールに反映しているため、品質が高いツールと言えるでしょう。WinActor専用の資格も用意され、利用する担当者のスキルアップを支援しています。
おまかせRPA
サービスの提供形態 | デスクトップ型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 導入から稼働まで遠隔サポート |
おまかせRPAは、WinActorにNTT東日本のサポートサービスをセットにしたRPAツールです。導入だけでなく稼働におけるまで徹底したサポートをし、訪問サポートのオプションも用意されています。9時~21時までサポートをしているため、定時後のシナリオ作成も安心して取り組めます。
Autoジョブ名人
サービスの提供形態 | デスクトップ型/サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 操作開設動画・オンファインフォーラム |
Autoジョブ名人は、さまざまなパソコン操作を自動化できます。WindowsやExcelの操作も安定して稼働できる国産のRPAツールです。取引先とのデータ交換など、ミスが許されない基幹業務や、プロセス全体の自動化も可能です。
batton
サービスの提供形態 | クラウド型 |
---|---|
無料体験の有無 | × |
サポート体制 | 導入から定着まで徹底サポート |
battonはクラウド型のRPAツールです。1台のパソコンに設定したシナリオ情報を他のパソコンで共有できます。AI機能が搭載されており、環境が変わっても過去のデータを検証して稼働します。導入時のサポートから定着・目標達成するまでサポートしてくれる体制が整っています。
大規模・総合的な利用におすすめのRPAツール
ここでは、大規模・総合的な利用におすすめのRPAツールを紹介します。
順位 | イニシャルコスト | ランニングコスト |
---|---|---|
1位 | – | 1,380,000円/年 (月額換算:115,000/月) |
2位 RooPA | 750,000円~ | 150,000円~/年 (月額換算:1,2500/月) |
3位 | 3,500,000円~ | – |
-位 | – | – |
-位 | – | – |
blue prism
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 導入・開発支援の他、導入までの業務分析 |
blue prismは、高いセキュリティ機能と汎用性に優れたRPAツールです。AI機能が搭載されており、様々な業務に対して高度な自動化を実現します。会社全体の業務をRPAツールで自動化させることを目的としているため、管理機能と拡張性に優れたRPAツールといえるでしょう。
RooPA
RooPA
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | 解説動画・マニュアル・専門資格あり |
RooPAは、AI-OCRを活用した文字の読み込みから自動化までを支援するRPAツールです。社内にある間接業務全体を対象としているため、大企業で活用しやすいツールといえるでしょう。自動化する業務分析から支援するため、より業務成果が出やすくなります。
NICE
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | コンサルティングを含めてサポートサービス |
NICEはコールセンターに特化したRPAツールです。大規模なコールセンター向けに業務を自動化し、カスタマーサポートの業務を支援します。メール・電話・文書といった顧客との大量なコミュニケーションデータを活用し、トラブル回避・顧客獲得をサポートしてくれるでしょう。
Verint RPA
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | – |
サポート体制 | コンサルティングを含めてサポートサービス |
Verint RPAは、業務全体を自動化するRPAツールです。部門間をまたいで業務を自動化させるため、会社全体でRPAツールを導入したい企業に適しています。費用対効果を計測できるため、RPAで自動化して終わりではなく、見直しと改善を繰り返しながら業務改善を実施できます。
Pega RPA
サービスの提供形態 | サーバー型 |
---|---|
無料体験の有無 | 〇 |
サポート体制 | コンサルティングを含めてサポートサービス |
Pega RPAは、ビジネスプロセスシステムとの連携により、部分的ではなく業務全体を効率化させるRPAツールです。RPAを利用しながら業務フローの見直しができるため、全社的な規模の業務フローの見直しにつながるでしょう。
人気おすすめツール・サービスを一覧比較
これまでご紹介した人気のRPAツールについて、機能・料金などの総合比較表をまとめました。
サービス名 | QueenBOT RPA | RoboTANGO | アシロボ | ロボパットDX | UiPath |
イニシャル コスト | 0円 | 100,000円~ | 200,000円 | 0円 | ー |
ランニング コスト | 300,000円/年~ | 50,000円/月~ | 50,000円/月 (PC2台) | 120,000円/月~ | ー |
無料体験 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
サービス名 | BizRobo! | WinActor | おまかせRPA | Autoジョブ名人 | batton |
イニシャル コスト | 0円~ | 0円 | 0円~ | 0円 | 0円 |
ランニング コスト | 90万円~/年 | 908,000円~/年 | 82,500円~/月 | 1,200,000円~/年 | 148,000円/月 |
無料体験 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
サービス名 | blue prism | RooPA | NICE | Verint RPA | Pega RPA |
イニシャル コスト | ー | 750,000円~ | 3,500,000円~ | ー | ー |
ランニング コスト | 1,380,000円/年 | 150,000円~/年 | ー | ー | ー |
無料体験 | ◯ | ◯ | 〇 | ー | ◯ |
RPAツールを導入するときのポイント
RPAツールを導入する際のポイントは、以下のとおりです。
- 導入の目的・目標は明確にしておく
- トライアルの際はエンジニア以外にもツールを利用してもらう
それぞれ解説します。
導入の目的・目標は明確にしておく
RPAツールを導入する際は、目的・目標を明確にすることが重要です。目的が明確になっていないと、自社の業務に適していないRPAツールを導入してしまうからです。
また、目標を設定しなければ導入後の検証ができません。RPAツールは導入して終わりではなく、業務が本当に改善されたのかを検証することが重要です。
定例業務や時間のかかっている業務に焦点を当てると、目的や目標を設定しやすいでしょう。
トライアルの際はエンジニア以外にもツールを利用してもらう
RPAツールは現場で利用できると、より活用する業務の幅が広がります。途中で修正作業が発生した時も、現場の担当者で対応が可能となるからです。
トライアルの際には、エンジニア以外の社員にもRPAツールを利用してもらいましょう。現場で利用できるのかを確認することで、導入後より効果的に活用できるようになります。
完全無料で使えるRPAツールを一度利用してみる
RPAを初めて利用する場合には、完全無料のRPAツールをお試しで利用してみると良いでしょう。自動化できる業務をイメージでき、RPAツールを導入する目的が見えてくるからです。
無料のRPAツールはサービスに制限があり、サポートを依頼すると有料になるケースが多いです。サポートなしでどれくらいのシナリオを組み込めるのかを把握すれば、自社のRPAツールを使用できるレベルが明確になります。
以下に、完全無料で使用可能なRPAツールを紹介します。
Power Automate Desktop
Microsoft社が提供しているツールで、office関連のライセンスを持っている企業には適しているツールです。自分で調べながら構築する必要がありますが、お試しとして十分利用できるツールです。
マクロマン
国産のRPAなので使い勝手がよく、初めてRPAツールを触る人には適したツールといえるでしょう。サポートは有料ですが、説明会の開催などもあるため非エンジニアの方でもお試しで利用しやすいRPAツールです。
UiPath Community Edition
ロボットによる監視・追跡によって、コンプライアンスの遵守を達成できるRPAツールです。Freeプランもあるため、コストをかけることなく使用感を確認できます。
まとめ
RPAツールには、デスクトップ型・サーバー型・クラウド型の種類があり、自社に合ったRPAのタイプを選定した上での導入が重要です。
自動化したい業務のコストパフォーマンスを検討し、エンジニアのスキルが必要なのか、大規模な仕組みに適しているのかなど、自社の業務形態にマッチするRPAツールを選定しましょう。
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