Nextcloudとは「オンラインストレージサービス」を指し、企業や教育機関での利用を期待できます。シームレスにファイルのアップロード・ダウンロード・共有が可能で、安全性も高いため幅広く活用できます。
当記事では、オンラインストレージに課題がある情報システム管理者の方に向けて、Nextcloudの主な機能やメリット、デメリットを解説します。企業向けのNextcloud Enterpriseについても解説していますので、参考にしてください。
KAGOYA CLOUD VPSでは、Nextcloudをアプリケーションセットアップとして提供しています。
そのため、専門知識がない方でも簡単にNextcloudを構築することが可能。
また、KAGOYA CLOUD VPSは日額20円から利用できることからお試し利用としても活用でき、コントロールパネルからスケールアップすればそのまま本格的に継続利用することも可能です。
目次
Nextcloudとは?無料で使えるオンラインストレージ
Nextcloudは、Nextcloud社が提供するオープンソースのオンラインストレージサービスです。オープンソースとは、システムのソースコードが一般公開されており、自由に利用・改訂できる特徴があります。
オンラインストレージとは、ファイルやデータをクラウド上に保存でき、インターネットを介してアクセスできる仕組みです。インターネット環境があれば、どこからでもファイルやデータを活用できます。
Nextcloudは、このオンラインストレージの概念を取り入れながら、オープンソースなプラットフォームとして提供されています。ユーザーはNextcloudの有料プランを選択できる一方で、無料で利用することも可能です。
Nextcloudの主な機能
Nextcloudの主な機能を以下の表にまとめます。
機能 | 内容 |
---|---|
ファイル共有 | ユーザー間でファイルやディレクトリを共有できる機能 |
ファイル同期 | 端末間でファイルやデータを同期する機能 |
ファイル暗号化 | ファイルやデータを暗号化して保護する機能 |
ファイル所有者変更 | ファイルやデータの所有者を変更できる機能 |
ファイルアクセス制限 | ファイルへのアクセス権を制限する機能 |
外部ディレクトリ連携 | 外部ディレクトリと連携し、外部のデータを統合できる機能 |
外部ストレージ連携 | 外部のストレージサービスと連携して利用できる機能 |
共有APIの使用 | 外部アプリやサービスと連携する共有APIを使用する機能 |
専用のアップロード | 特定のファイルやデータを専用にアップロードする機能 |
オフィスファイル編集 | オンライン上でオフィスファイルを編集できる機能 |
タグ付け | ファイルにタグを付け、分類や検索を効率的に行う機能 |
お気に入り登録 | ファイルやデータをお気に入りとして登録する機能 |
ワークフロー | 申請や承認などのワークフローを管理できる機能 |
ユーザー管理 | ユーザーのアカウントを管理する機能 |
ログの監視 | システムやユーザーアクションのログを監視する機能 |
ブランディング | インターフェースやメッセージなどのブランド設定を行う機能 |
シングルサインオン | 一度のログイン情報を利用して複数の関連サービスにアクセスできる機能 |
おすすめのプラグイン・アプリ
Nextcloudには、表に記載した基本機能以外にも、プラグイン・アプリのインストールで追加の機能を利用できます。利用するユーザーはNextcloudをより自分のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。
特におすすめのプラグイン・アプリを紹介します。これらを導入することで、ファイル管理やコラボレーションなどの機能を拡張できます。
プラグイン・アプリ | 内容 |
---|---|
カレンダー機能 | グループで予定の共有もできるカレンダー機能 |
連絡先管理 | 顧客の情報を整理でき、グループで共有できる機能 |
タスク管理 | プロジェクトやタスクを管理できる機能 |
Web会議 | ビデオ通話やチャットが利用できる機能 |
Nextcloudの用途例
Nextcloudは主に以下のような用途があります。
企業
- 取引先との大容量ファイルの共有
- 請求書などの帳票データの共有
- 既存ファイルサーバーとの連携
- 営業社員の安全なファイル持ち出しの実現
- 支店間など広域ネットワークでのファイルの共有
教育機関・研究機関
- 教育機関や研究機関でのオンラインストレージの利用
- 学生や教員へのオンラインストレージの提供
- 既存ファイルサーバーの学生個人フォルダへのアクセス
Nextcloudは、企業においてさまざまなシーンで活用されています。大容量ファイルの共有ができるため、得意先や取引先とスムーズに情報交換が可能です。請求書や帳票データを共有することで、業務プロセスの効率化が期待できます。
既存のファイルサーバーとの統合により、データの操作がシームレスに行え、営業社員は外出先からも安全にファイルにアクセスできます。支店間や広域ネットワークを有効活用することで、ファイルの円滑な共有が実現されます。
また、Nextcloudは教育機関や研究機関でも幅広く活用されています。学生や教員へのオンラインストレージの提供により、学内での情報共有や学習資料のアクセスが円滑に行えます。学生は個人フォルダへのアクセスが簡単にでき、教育資材の共有と効率的な管理が実現できます。
Nextcloudの安全性
Nextcloudには、独自の暗号化機能が組み込まれており高い安全性を実現します。悪意のある者が不正にアクセスした場合でも、ファイルの中身が見られるリスクが軽減されます。
管理者以外のユーザーは、アクセス権限が付与されていないとファイルを閲覧できません。編集権限の変更やパスワード保護もでき、不特定多数の人にファイルを参照・編集される心配がありません。
Nextcloudはフォルダを階層的に管理できる点も特徴の1つです。管理者以外に第二階層までのアクセス権限を与えることで、第一階層のフォルダ内のファイルが安全に管理できます。
Nextcloudのメリット
Nextcloudのメリットは、以下のとおりです。
- 無料で利用できる
- 容量に制限がない
- 機能性・拡張性が高い
- オンラインでファイル編集可能
- スマートフォンで利用できる
- WEB会議ができる
Nextcloudは無料で利用可能であり、利用容量に制限がない点がメリットです。高い機能性と拡張性はユーザーに柔軟性を提供し、ビジネスシーンや教育現場での活用ができます。
オンラインでのファイル編集やスマートフォンでの利用ができ、WEB会議機能も搭載されています。
Nextcloudのデメリット
Nextcloudのデメリットには、以下のようなものがあります。
- サーバーの構築に専門知識が必要
- ファイルがすぐ見つからない場合がある
- 操作の反映にタイムラグが生じることがある
- コミュニティサポートが基本で解決できないことがある
Nextcloudのサーバー構築には専門知識が必要で、初心者にはハードルが高いことがデメリットとして挙げられます。他にもファイルの検索が効率的でない場合があり、操作の反映にはタイムラグが生じることもあります。オープンソースのためコミュニティサポートが主体であり、解決できない課題も発生する可能性があります。
Nextcloudが適している企業
Nextcloudが適している企業の特徴について解説します。
- 大人数で利用する大企業
- 支店間の連絡が多い企業
- 大学などの教育機関
Nextcloudは、大規模かつ多人数での利用に適しており、社員が多い大企業での利用に適しています。多くの大学や企業で既に利用者が多く、データを安全に管理できます。広域ネットワークを有効活用すれば支店間でのコミュニケ-ションもスムーズとなります。
また、各支店へサーバーを設置する必要が無いため、システム管理者の負担も軽減されるのです。
教育機関では講義資料や学生の提出物の共有が簡単にでき、外部ストレージとも統合可能です。学生は場所を選ばずに学習資材に効率的にアクセスできるメリットがあります。
企業向けのNextcloud Enterpriseについて
Nextcloudには企業向けとして機能やサポートが追加されたEnterprise版も用意されています。Enterprise版の主な特徴としては以下の点があります。
- 特別バージョンのアプリやレビュー・検証済みのアプリのみを提供できる機能が追加される
- Nextcloud社の公式なサポートを受けられる
- サポート対象にデスクトップアプリ・iOS・Android用のアプリが含まれる
- 追加検証や修正をおこなったソフトウェアが提供される
- セキュリティバッチが早期に提供される
Nextcloud Enterpriseは、特有のアプリや厳格なレビュー・検証を経たアプリの提供により、安定性と信頼性を向上させます。Enterprise版ではNextcloud社の公式なサポートが利用でき、デスクトップアプリやiOS・Androidアプリに対するサポートも網羅されています。
追加の検証や修正が実施されたソフトウェアとなっており、セキュリティバッチも早急に提供されるため高いセキュリティ水準を確保します。Nextcloud Enterpriseは、企業のニーズに適した安心できるサービスだといえます。
Nextcloud Enterprise版の料金プラン
Nextcloud Enterprise版は以下の料金プランで展開されています。
Basic | Standard | Premium | |
---|---|---|---|
料金 (最大100ユーザーの場合) | 年間36ユーロ /ユーザー | 年間65ユーロ /ユーザー | 年間95.5ユーロ /ユーザー |
安全性を確保できる期間 | 1年 | 1年 | 5年以上 |
問い合わせ等への対応 | 3営業日内 | 2営業日内 | 1時間・4時間・ 12時間・24時間以内 |
基本的なプランはBasicで、1年間のメンテナンスサポートとセキュリティパッチが3営業日以内に適応されるプランです。Standardプランになると、電話サポートができるようになります。Premiumプランは、早期にセキュリティパッチが適用され、長期間のメンテナンスサポートが保証されます。
日本円での料金提示がされていないため、利用を検討する場合は問い合わせすることをお勧めします。
サポートが不要な場合は無料版で十分?
NextcloudのEnterprise版の最大の特徴は、無料版にはないサポートを受けられる点にあります。
そのため、企業であってもサポートを必要とせず、内製だけで問題なく運用していくことができる場合は、自社でレンタルサーバーやVPSを契約して構築することでEnterprise版で運用するよりもコストを抑えることができます。
>日額20円/月から利用可能なKAGOYA CLOUD VPS
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Nextcloudの基本的な使い方
Nextcloudの主な機能であるファイル管理の具体的なやり方について解説します。
前提として、Nextcloudのアプリをデバイスにインストールしておく必要があります。詳しくは、以下の関連記事を参照ください。
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サーバーを構築する手順については以下の記事で解説しています。
ファイルのアップロード方法
ファイルをNextcloudにアップロードする手順を紹介します。
- Nextcloudを開いてログインする
- Nextcloudのメニューから「ファイル」をクリックする
- アップロードしたいファイルをNextcloudの画面にドラッグ&ドロップする
ドラッグ&ドロップでアップロードできるため、スムーズに作業を完了できます。
ファイルのダウンロード方法
Nextcloudからファイルをダウンロードする手順を紹介します。
- ダウンロードしたファイルにカーソルを合わせて右クリックする
- 表示されたメニューから「ダウンロード」をクリックする
ファイルの共有方法
Nextcloudに保存されているファイルを共有する手順を紹介します。
- ファイル名の右側にある「共有マーク」をクリックする
- 表示されたメニューから「URLで共有」をクリックする
- パスワードを入力後、該当URLを共有したい相手に送る
メールでパスワードを送ると埋もれてしまうこともあるため「Stock」のようなチャットツールの導入検討をお勧めします。
まとめ
Nextcloudは無料で利用可能なオンラインストレージで、企業や個人に豊富な機能を提供しています。主な機能にはファイルのアップロード・ダウンロード・共有があり、プラグイン・アプリを活用することで機能の拡張が可能です。
企業向けには有料のNextcloud Enterprise版があり、セキュリティ強化や専用サポートが提供されています。企業や大学など大規模な組織にとっては、セキュアなオンラインファイル管理ツールとして活用できるため、利用を検討されてはいかがでしょうか。
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