2024年2月に行われたGoogleのポリシー変更により、今後のメール運用の対策が必須となりました。
そして、2024年の6月にこのポリシー変更による影響が本格的に開始されることになりました。
この記事ではGmailへのメール送信が届かなくなる前に必要な対策についてご紹介いたします。
目次
2月に行われたGmailのポリシー変更点
まずは、この話題の元となる2024年2月に行われたGmailに関するポリシー変更についてご紹介します。
このタイミングで行われた変更点は以下の内容となります。
- Gmail アカウントに向けて5,000件/日以上のメールを送信する場合、専用の要件を満たす
- メールのドメインにSPFもしくはDKIMを導入
- 送信元ドメインやIPに、有効な正引きおよび逆引きDNS レコードを設定
- Postmaster Tools内での迷惑メール率が0.3%未満
- Internet Message Format標準に準拠する形式でメールを作成
- Gmailの「From:」ヘッダーのなりすましはNG
- メールの定期転送では、送信メールにARC ヘッダーを追加
詳細に関しては以下の記事でご紹介していますので割愛しますが、この変更により特にメルマガ配信を行う業者は多大な影響を受けてしまうということで対応に追われる企業も多数発生しました。
2024年2月にGmailで起こる変更について|注意点や対応すべき点について
2024年2月1日にGmailのポリシーが変更されるとアップデートされたガイドラインにて発表がありました。 これによりGmailを使用している個人ユーザーにとっては利便性が向上しますが、Gmailに宛ててメールを配信する企業はこの変更への対策を講じないと迷惑メールに振り分けられる可能性が高まります。 そこでこの記事では、2024年2月にGmailで起こる変更がどういったものか、その変更に関する注意…
なぜ2024年6月に届かなくなるのか
上記でご紹介のGmailのポリシー変更は2月なのに、どうして今回「6月」という期限が出てきたのか。
ここについてご存じないという方もいますので、この2024年6月という期限についてもご紹介します。
ポリシー内容の施行は段階的に行われる
今回行われた2月のポリシー変更ですが、実際に変更は2月に行われています。
しかし、ポリシー変更が行われたもののそのポリシーに沿った規制をすぐさま開始してしまうと、まだ対応できていない企業に多大な影響が出てしまいます。
この影響を緩和するために、ポリシー内容の施行はいきなりではなく段階的に行われることになりました。
そのため、特に対策を取っていなくとも問題なくメール配信できている状況であっても、まだまだ安心できない状態ではあります。
2024年6月が一旦の最終ライン
Gmailへのメール配信の対策ですが、一旦の最終ラインは2024年の6月に設定されており、それまでの公開されているスケジュールは以下の通りです。
スケジュール | 施行内容 |
---|---|
2023/10/1 | Gmail規制の開始 |
2024/2/1 (ポリシー変更日) | 2月を機に、一部のメルマガ(スパム含む)配信者に 一時的なエラーとして「Soft Bpunce」を返す。 |
2024/4/1 (2回目の区切り) | 未対応のメール配信に対し、 徐々にGmailにメールが届かなくする。 |
2024/6/1 (最終ライン) | Gmailへのメール配信の規制を拡大。 ポリシー要件をクリアしているメール配信者を優先してサポートを行う。 |
上記のスケジュール表にも記載がある通り、実はGmailの規制自体は2023年の10月から開始されており、その効力と範囲が徐々に拡大されていく流れとなっています。
そして2024年6月以降は、ポリシーをクリアできないメール配信はGmailには完全に届かなくなります。
※Googleにより公開されているスケジュールは変更される可能性があります。
影響を受ける対象について
ここで気になるのが、このGmailポリシーによる規制による影響を受けるのは一体誰なのかという点です。
実際問題、自社が対象に含まれるかどうかで今後どれだけ優先度を上げて対策すべきかが変わりますので、対象についてもご紹介します。
今回のGmail規制の影響を受ける対象
今回のGmail規制の影響を受ける対象としては、Gmailアカウントに対して5,000通/日以上メール配信をする企業が該当します。
ここで注意したいのが、ここで言うGmailアカウントは@gmail.comや@googlemail.comのメールアドレスを指しており、GoogleWorkspaceで利用されているような独自ドメインのメールアドレスは含まれません。
また、この5,000通/日はメルマガなどのプロモーションメールが対象となり、通常のやり取りやトランザクションメールは対象外となります。
トランザクションメールはユーザーのアクションや取引に基づいて自動的に送信される電子メールのことです。具体的には、商品の購入、アカウントの登録、パスワードのリセット要求など、個々のユーザーとの取引ややりとりに関連する重要な情報を含むメールがこれに該当します。
このメールは個別のユーザーへの直接的な応答として送られますので、プロモーションメールとは別物として扱われます。
なお、メルマガ配信を行うメールアドレスが複数あったり、一つのドメインを複数の事業で共有している場合は、合算した通数が5,000通/日を越えるかどうかで判断されます。
Example社にて2つの事業部にてメルマガ配信をしている場合。
- info@example.comでGmail宛てに3,000通/日を配信
- sports@example.comでGmail宛てに4,000通/日を配信
この場合、個々のメールアドレスで見れば規制の対象外ですが、@example.comのドメイン全体で判断されるので合計7,000通/日となり今回のGmail規制の対象となります。
対象外でも油断は禁物
メルマガを配信しているが、上記で記載されている内容から対象に入っていない場合であっても、実は完全に安心することはできません。
というのも、Gmailは今までの歴史の中でずっとスパムの様な迷惑メールと戦ってきた経緯があります。そのため、今回は対象外であってもどこかのタイミングで規制の対象になる可能性があります。
今回の対象に入っている企業ほど急いで対策を講じる必要性は少ないですが、タイミングを見て適切なメール配信環境を整える必要はあります。
早急に行うべきGmail対策
それでは、ここからは実際に2024年6月以降もGmailへのメール配信を問題なく行うために必要な対策についてご紹介します。
ご紹介の通り、ここでご紹介する内容は6月までに行えば良いというものではなく、いつ自社のメール配信が規制の対象になっても対応できるように早急に行うべき対策となります。
送信ドメイン認証の設定
1つ目の対策は、送信ドメイン認証の設定です。
この送信ドメイン認証は3種類があり、それぞれの設定を完了させておく必要があります。
- SPF:メールが送信されたドメインから実際に送信が許可されたIPアドレスから来ているかを確認できる
- DKIM:送信ドメインが電子メールメッセージにデジタル署名を追加し、受信者がそのメールが改ざんされていないことを確認できる
- DMARC:SPFとDKIMの認証結果を組み合わせ、それに基づいてメールがどのように取り扱われるべきかを定義できる
いずれもなりすましメールに対して効果的な対策としても重宝されています。
なお、この送信ドメイン認証の設定に関しては注意が必要で、そもそもこの3種すべてに対応できるメールサーバーを利用している必要があります。
>SPF/DKIM/DMARCが揃っている国内のメールサーバー
もちろん、自社内で専門知識を持っている社員がいる場合は自力で導入することも可能ですが、そういった社員がいない場合はコントロールパネルから簡単に設定できるメールサーバーで送信ドメイン認証を導入・設定する手段が最も効率的です。
List-Unsubscribeヘッダの設定
2つ目の対策は、以外と見落としがちになってしまうList-Unsubscribeヘッダの設定です。
このList-Unsubscribeは、英語テキストからも推測できる通りワンクリックでメルマガの購読解除ができる機能です。
実際にGmailを利用されている方であれば、受信メールの上部に以下の様な「登録解除」のテキストリンクの表示を見たことがあるでしょう。
このList-Unsubscribeヘッダを設定することでメルマガなどの登録解除が行われやすくなりますが、この設定を行わないとGmail規制に引っかかってしまいメール配信が届かなくなります。
※メルマガ配信業者を利用している場合、その業者がList-Unsubscribeヘッダに対応していれば別で対策する必要はありません。
ちなみに、メール末尾に設置している配信停止のURLはList-Unsubscribeヘッダとは認識されませんので、それとは別に設定が必要になります。
List-Unsubscribeヘッダを設定するのであれば、メール末尾に配置している配信停止のURLは不要になるのではないかと思われるでしょうが、実はメール末尾の登録解除リンクも引き続き設置する必要があります。
この登録解除リンクに関しては、Gmailの規制ではなく特定電子メール法に定められているルールに従う必要がありますので、List-Unsubscribeヘッダと並行して設定・設置する必要があります。
List-Unsubscribeヘッダの設定
List-Unsubscribeヘッダは以下のコードを追加することで設定が可能です。
List-Unsubscribe: <https://example.com/unsubscribe/opaquepart>
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
他にも、List-Unsubscribeヘッダで指定する値を併記させて、以下のように2つを同時に使用する設定も可能です。
List-Unsubscribe:
<mailto:kagoya@example.com?subject=unsubscribe>,
<https://example.com/unsubscribe*******>
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
- mailto:配信停止リクエストを、指定されたアドレスにメール形式で送信
- https:配信停止リクエストを処理するためのURLを指定
迷惑メールの報告率を0.3%以下に抑える
3つ目の対策は、迷惑メールの報告率を0.3%以下に抑える運用を行うことです。
理想としては迷惑メールの報告率を0.1%に維持することですが、悪くとも報告率が0.3%を越えないように注意する必要があります。
※迷惑メール報告率はGoogleが提供しているPostmaster Toolsに登録することで確認が可能です。
なお、この数字はあくまでも「迷惑メール報告率」ですので、ブロック設定や登録解除をされる分には影響は受けません。
基本的に2つ目の対策でご紹介のList-Unsubscribeヘッダを設定していれば、ユーザーとしては迷惑メール報告よりも手軽に解除できるため適切なメール運用を行っていれば0.3%を超えることはありません。
しかし、あまりにも受信者が迷惑に感じてしまう運用をしていると、単に登録解除するのではなく迷惑メール報告される可能性が上がりますので、普段から効果的かつ不快に感じられないような内容と頻度を意識したメール運用を心がけましょう。
自社のメルマガが規制されているかどうかの確認方法
ここまで2024年6月がタイムリミットになっているGmailの規制についてご紹介してきましたが、現時点で自社のメルマガ等のメール配信が実際に規制されているのか気になる方もいるでしょう。
この場合、記載されているかどうかを簡単に確認する方法があります。
それは、実際に所有しているGmailにメール配信をしてみるという方法です。
基本的に個人で設定しているメールフィルターを除けば、今回のGmail規制はすべてのGmailアカウントに対して共通の挙動となります。
そのため、個人でフィルターやブロック機能を設定していないGmailに配信してみる方法が、一番簡単で手っ取り早い方法となります。
他にもList-Unsubscribeヘッダの設定を始めて行った場合は、同じく自社内で保有しているGmailにメール配信することで問題なく反映されているかの確認も可能です。
まとめ
2024年6月には変更されたGmailのポリシーに対応していないと、規制の対象となるメール配信者はGmail宛てにメールが届かなる可能性が高くなっています。
もちろん、このGmailの規制を回避するための対策はあり、送信ドメイン認証の設定・List-Unsubscribeヘッダの設定・迷惑メール報告率を下げるといったことが要求されます。
送信ドメイン認証やList-Unsubscribeヘッダの設定は単に設定を行えば完了となりますが、迷惑メール報告率に関しては普段からのメール運用方法に気を配る必要があります。
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