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「KUSANAGI」の仕組みとは?WordPressを簡単スマートに高速化できる仮想マシン徹底解剖!

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KUSANAGIは、WordPressによって構築されたウェブサイトの表示速度を高速化することから多くの企業に採用され、数年前から熱い注目を集めているシステムです。カゴヤのWordPress専用サーバーでもKUSANAGIを標準搭載しています。

KUSANAGIとは

今回は、KUSANAGIの開発元であるプライム・ストラテジーの代表取締役・中村 けん牛 様と同マーケティング部長 楠木 大三郎 様に、KUSANAGIの仕組みや導入の効果などについて詳しいお話を伺いました。

プライム・ストラテジー株式会社ってどんな会社?

カゴヤジャパン株式会社 森:
「まずは御社の事業内容や歴史について教えてください。」

中村様:
「わたしは代表をしております中村と申します。書籍『WordPressの教科書』などの執筆もしております。

わたしはもともと金融業界の出身で、その後に会計士試験を受け、個人事務所を立ち上げました。その事務所でウェブのコンサルティングもしておりまして、その業務が前身となり、プライム・ストラテジー株式会社を立ち上げ16年ほど続いております。
当初はウェブマーケティングが主体の会社だったのですが、KUSANAGIを開発したのがきっかけで、今ではWordPressでのサイト構築や保守・運用などのマネージドといったバックエンド主体の会社になりました。具体的には東京を中心として、ニューヨーク・シンガポール・ジャカルタでクラウドのインテグレーションをしています。」

楠木様:
「わたしはマーケティングと海外事業を中心に担当しております。よろしくお願いします。」

超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」とは

次にKUSANAGIとは何か、基本的なところからくわしく解説していただきました。

KUSANAGIの紹介

そもそもKUSANAGIとは?

森:
「それでは、早速KUSANAGIとはそもそもどんなものなのか解説いただけますでしょうか。」

中村様:
「KUSANAGIは、WordPressなどのウェブシステム向けに最適化された仮想マシンのイメージです。」

森:
「ありがとうございます。ただ一般のユーザー様の中には仮想マシンという言葉からわからない方も多いと思います。仮想マシンとは何か、から説明いただけますか?」

中村様:
「仮想マシンとは、コンピューターのハードウェアをソフトウェアとして再現するエミュレーターです。
最近、ファミコンなどのエミュレーターが登場していますよね。あれも、本物のファミコンではなくエミュレーターです。ソフトウェアがハードウェアの代わりにコンピューターの基盤を再現し、その上で、ファミコンのソフトが動作しています。
そしてエミュレート(模倣)した環境の上で、サーバーのオペレーティングシステムそのものを再生してしまうのが仮想マシンです。」

森:
「ソフトウェアの上に、同じくソフトウェアであるOSをのせるというイメージですか?」

中村様:
「そうです。エミュレーターの上にOSをのせる、というか再生するというイメージです。インストールする側のOSからみると、ハードウェアにインストールされているように錯覚するわけですね。」

KUSANAGIの仕組み


※仮想マシンのイメージ図

楠木様:
「言い換えると、パソコンの中に、パソコンをソフトウェア的に模した環境として構築されるのが仮想マシンです。」

森:
「その仮想マシンが、パブリッククラウドなどではサーバーへインストールされてユーザーに提供されるわけですね。」

楠木様:
「はい。パブリッククラウドなどでは、通常ですとOSだけを仮想マシンとして提供している場合がほとんどです。ユーザーはその仮想マシンにいろいろなものを入れて使えるようにする。
それを全てあらかじめすませて使える状態で『イメージ』として提供しているのがKUSANAGIです。」

中村様:
「クラウドでは、仮想マシンにCentOSのようなオペレーティングシステムなど必要最小限のミニマルインストールの状態で立ち上げます。
KUSANAGIと同じようなことをするためには、いろんなミドルウェアをインストールしたり、最適化されるように設定ファイルをたくさん書いたり、高速化されるようなモジュールやセキュリティモジュールを入れたりする。その上で、WordPressなどのウェブシステムをインストールして動かす。だいたいここまでの作業を、エンジニアは1週間程度かけて行います。

一方のKUSANAGIでは属人化されている部分が、すでにベストプラクティスで構成してあるので、それを再生するだけですみます。」

森:
「ユーザーからすると、それだけ手間を省けるわけですね。また仮想マシンを設定するエンジニアによっても設定内容に差が出てきてしまうことがありますが、KUSANAGIを使えば、その心配もないですね。
次に、なぜKUSANAGIを利用するとWordPressが高速化するのか、その理由を教えていただけますか?」

中村様:
「はい。簡単に言うとウェブシステムが動作する全てのレイヤーで高速化の設定が調節済であるためです。

サイト表示の流れ

ハードウェア・OS・PHP・データベースに至るまで、高速化のためのベストプラクティスな処理がすでにすませてある。さらにWordPressですと、WordPressがすでにインストールされてある上に、アプリケーションが高速に動作するためのプラグインもすべて入っています。
その他、KUSANAGI専用のプラグイン、高速化のためのモジュールもいろいろ入っています。

例えば、画像を最適化する、TinyPNGというモジュールが入っています。画像の最適化をするとネットワークの通信量を減らせるし、ブラウザの描画も高速化します。
ちなみに、この画像の最適化では編集部の方に喜んでいただいていますね。画像をWordPressへアップロードするときの作業時間が劇的に速くなりますので。そして、それらが全て連動して動くようになっているのです。」

森:
「ありがとうございます。それではKUSANAGIを使うことで、どのくらいの高速化が実現するのでしょうか。」

中村様:
「ウェブアプリケーションを動作させるためのレイヤーは7個あり、そのレイヤーを全て経てブラウザでの表示が実現するんですね。
KUSANAGIでは1つのレイヤーに対して約50%の高速化が実現するように設定してあります。それが7レイヤーあるので、何も高速化が設定されていない環境と比較すると1.5倍の7乗で、ざっくり15倍程度の高速化を実現できます。
また速さだけでなく、セキュリティの設定もされているので、セキュリティも高くなりますよ。」

森:
「そんなに速くなるのですね。ちなみに、KUSAKAGIはハードからOS、PHP、データベースまでウェブシステムが高速化するように調節されているということですが、WordPress以外のシステムの場合でもKUSANAGIで速くなりますか?」

中村様:
「はい、WordPressが最も最適化されているので一番速いですが、その他のウェブシステムでもKUSANAGIによって高速化を実現可能です。例えばWordPressと同じようなCMSでは、Drupalやconcrete5でも5~10倍に高速化されます。MySQLでなくPostgreSQLを使うウェブシステムもありますが、PostgreSQLの動作だけでも数倍の高速化を実現します。」

担当者が語る「KUSANAGI」誕生の理由

KUSANAGI誕生のきっかけ

森:
「KUSANAGIは現在オープンソースの仮想マシンとして、WordPressのユーザーを中心として広く利用されています。KUSANAGIは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。」

中村様:
「KUSANAGIは、3年で2万台以上のサーバーに導入いただいていますが、最初のバージョンが7で、今は8.4です。なぜ最初が7かというと、前身である『WEXAL』というサーバー環境がちょうど6世代までありました。
これは、もともと10年くらい前に開発したものです。」

森:
「KUSANAGIには長い歴史があるんですね。」

中村様:
「はい。WEXALが生まれた時代がどんなだったかと言うと、PerlやPostgreSQLを使った静的なCMSから、PHP・MySQLを使った動的なウェブシステムにかわった時代でした。その当時は、我々自身でPHP・MySQLを使ったCMSを独自で開発していました。

しかし、お客様の環境に関しては、PHPのバージョンやインストールされているモジュール、MySQLインストールの有無やバージョンがばらばらで大変でした。我々の提供するCMSが動作するには、保証された環境である必要があったのですが、それを満たさないケースも多かったのです。
一方で、当時は仮想化技術をサーバーで利用する動きが出始めた時代でした。
そこで、環境を全部あらかじめ自分たちで仮想マシンのイメージとして構成しておいた上で、お客様に提供する際に再生だけすればいいんじゃないか、ということになったのです。

WEXALの開発の2年後くらいには自社のCMS開発をやめ、これからはWordPressの時代になるだろうということでWordPressに切り替えます。

このような経緯でKUSANAGIはそもそもWordPressを前提としていたわけでなく、PHP・MySQLを利用する自社CMSの実行環境として社内用に開発したものなので、Railsなどの他のCMSも動作するのです。」

森:
「それでは社内向けに利用していたものを、オープンソース化して公開しようとしたきっかけはなんでしょうか?」

中村様:
「先ほども説明したように、我々の事業はマネージドのサービスが主力です。WordPress案件をメインとしてインテグレーションを行っていくと案件が大型化し、保守・運用を24時間365日体制でこの条件でやりなさい、という要求が多く出始めました。

保守・運用のマネージドのお客様ニーズがあることがわかり、それに向け2015年くらいからマネージドサービスの事業をはじめます。それに伴いマーケティング戦略も一新しようと。
そこで、それまで有償で提供してきたWEXALを、シェア重視・デファクトスタンダード重視で、オープンソースとしてリリースしたのがKUSANAGIです。」

WordPress を高速化させる事で得られるメリット

森:
「KUSANAGIを入れることでWordPressが『速くなる』のは分かりました。これが具体的にどんなメリットにつながるか紹介いただけますか?」

KUSANAGIがもたらす恩恵

楠木様:
「例えば松屋フーズさんのコスト削減の事例があげられます。

松屋フーズさんでは、週に2回以上、メニューの入れ替えなどで写真のアップなど数千件の更新が発生するとのことです。以前は管理画面でこの更新作業をするのに非常に時間がかかっていた。それがKUSANAGIを導入することで2/3に高速化し、業務効率が上がった、という事例がありました。」

森:
「管理画面を操作するコストが削減されたということですね。」

楠木様:
「そうです。くわえて、KUSANAGIでサーバーリソースそのものを低減することができた、という意味で費用の削減も実現できました。」

森:
「ウェブサイトが高速化することのメリットは何かありますか?」

楠木様:
「ウェブサイトのレスポンスが速くなることで、ユーザーの回遊率があがり、PV数が増えるという事例はありますね。たとえばAppMedia(アップメディア)様のサイトはもともとPV数が多かったのですが、それがKUSANAGI導入で1.4倍に増えたとのことです。またMercedes-Benz LIVE!さんのサイトで、KUSANAGIの導入要因だけではありませんが、PV数が3.5倍に向上したという事例もあります。」

森:
「KUSANAGI導入でかなりウェブサイトが高速化したから、ということでしょうか。」

楠木様:
「はい、例えばウェブサイトが軽くなることでユーザーの回遊率(1人のユーザーがホームページ内のページをどれだけ閲覧したかを示す指標。1訪問あたりのPV数で表す。)が向上します。
最初は速くても使っていくうちにどんどん重くなって、どんな施策を試しても根本的な解決につながらない、ということもあるんです。」

中村様:
「PV数の向上は、ユーザーの回遊率向上以外にも理由があります。」

森:
「それは、どういった内容でしょうか?」

中村様:
「Googleの順位があがりやすくなるんですね。現代では検索エンジンは、ウェブサイトのパフォーマンスやセキュリティといったユーザーエクスペリエンスを重視します。KUSANAGI導入により、パフォーマンス・セキュリティが向上しユーザーエクスペリエンスが改善することで検索順位が上がりやすくなります。
また、KUSANAGI導入でウェブサイトの常時SSLを実現できるため、ユーザーの安心感にもつながる。ブラウザにChromeを利用していると、常時SSL化していないウェブサイトには警告が表示され不安を招きますからね。」

森:
「そういった効果もあるんですね。検索順位があがるというのは大きいですね。」

中村様:
「はい、その他にもKUSANAGI導入で、WordPressが最適化されPDCAを進めやすくなるのもポイントです。KUSANAGI導入前は、PDCAのための作業をするとサイトが落ちるとか時間がかかるということがある。それがKUSANAGI導入で高速化しPDCAに取り組みやすくなるんです。

それにユーザーがコメントを書き込むようなインタラクティブなコンテンツであると、WordPressが重くなり、コメントを入れると落ちるといったことがある。そこでKUSANAGI導入により落ちることがなくなり、サイトが活性化した、という事例もあります。
回遊率・検索順位・PDCA、サイトのパフォーマンス向上、こういったものの相乗効果でPV数が改善するわけです。」

具体的にどうすれば利用できるのか

森:
「KUSANAGIを利用してWordPressを運用したいと考えたときに、ユーザーはどうすればいいですか?」

楠木様:
「カゴヤさんのWordPress専用サーバー(※)も1つですが、KUSANAGIを導入されているクラウド事業者様のサービスをお選びいただくのが一般的ですね。」

WordPressユーザー向け「カゴヤのWordPress専用サーバー

森:
「自分でサーバーへKUSANAGIをインストールして使うことはできますか?」

楠木様:
「マニュアルは用意がありますので(※)、その通りにやっていただければ可能です。ただコマンド操作が必要であるため、初心者の方はWordPressが使える状態で提供されるKUSANAGI導入済のサービスを使っていただくのがおすすめです。どちらを使ってもスピードはかわりません。
それと開発会社の方が開発や検証などの目的で使われるときのためのデプロイ機能も用意しています。またVagrant版と言って、WindowsやMacなどのローカル環境でも動かせるようなものも提供しています。

例えば開発会社さんが、Vagrant版を利用し社内の開発環境にKUSANAGIを導入し、そこで開発をして、デプロイ機能によりクラウド環境へデプロイするといったことも可能です。」
※インストール方法等のマニュアルは、以下公式サイトのリンクから参照いただけます。
KUSANAGIに関するドキュメント

導入による実際の効果は…?

ここでは、KUSANAGIを導入することで、自社サイトの運営について改善があった企業の事例を2つ紹介します。以下、公式サイトでは、その他にも多くの事例が紹介されておりますので、興味があればあわせてご覧ください。
参考:導入事例 | プライム・ストラテジー株式会社

【事例1:Another plus様】

KUSANAGIの導入事例

https://www.prime-strategy.co.jp/achievements/jirei_atluckwatch/

・サービス導入前

運営するファッション通販サイト「ATLUCKWATCH.COM」では高画質な写真を多数掲載していることから、ウェブサイトの表示速度に問題をきたすこともあった。外部エンジニアに相談して、サーバー側での解決を模索したものの上手くいかない状態でした。

・サービス導入後

そんな中、エンジニアから紹介された「KUSANAGI for Microsoft Azure」を導入。結果、ウェブサイトの表示速度が2秒短縮され、離脱率が4%減少、売上も30%増となったとのこと。またPV数に関し、導入前の4月時点では19万だったものの、導入後の7月時点で31万と約1.6倍という大幅な伸びを記録。さらに、写真をアップするときの速度が数倍は速くなり写真の取り扱いが楽になったそうです。

【事例2:株式会社 松屋フーズ様】

・サービス導入前

負荷分散システム「オートスケール」を採用していたものの、テレビやニュースメディアで松屋フーズ様が紹介されたときに、ウェブサイトへのアクセスが急激に増加し対応できなかったり不具合が発生したりすることがありました。

当時のオートスケール機能は、ウェブサイトに負荷がかかったことを検知してからセカンダリーのウェブサイトを立ち上げるため、そのタイムラグがトラブルの原因。そこで仕方なく、急激なアクセス増が想定される際は、事前に手動でオートスケールを立ち上げることで対処していたそうです。
また松屋フーズ様が提供するメニューは全て合わせると2千ほど存在しており、その改訂が週2回以上発生。この更新作業に時間がかかっていました。

・サービス導入後

松屋フーズ様では、手間をかけずに自動で急激なアクセス増に耐えられるウェブサイトを構築したいと考えていらっしゃいました。そこでKUSANAGIを導入。結果ウェブサイトのパフォーマンスが速くなり、オートスケールなしでも急激なアクセスに耐えられるようになりました。またメニュー入れ替えに関するコンテンツ更新に関し、ウェブサイトが高速化したことにより以前と比較して2/3の時間で完了できるようになったそうです。

今後のKUSANAGIの展開について

森:
「KUSANAGIを今後どうしていきたいかの展望を教えていただけますでしょうか」

KUSANAGIの将来性

楠木様:
「KUSANAGIでは、セキュリティアップデートというかたちでWAF・IPS/IDS・脆弱性スキャンツールを導入しました。またTLS1.1以下の無効化のアップデートも行っています。
速度に関してはもちろんですが、今後もこのようなかたちでセキュリティ的にもきちんと担保できる環境を用意してまいります。また、ユーザーの方がコマンドを使わなくても操作できるような、管理画面的なものを開発する予定があります。

それから、高速化・セキュリティの強化でSEO的に有利となることは、これからも広めていきたいですね。その上でカゴヤさんなどにも協力いただいて、KUSANAGIがデファクトスタンダードと言われるようになるまで努力を続けていきたいと考えています。」

あとがき

今回KUSANAGIの機能・全貌をおうかがいして、長年培われた高速化の技術が惜しみなく入っていることに感動いたしました。

KUSANAGI搭載のサーバーで、WordPressを高速で運用したい方はぜひ「カゴヤのWordPress専用サーバー」をご検討ください。初期費用無料、月額440円からWordPressのインストール、ドメインやDBの設定不要で初心者でも簡単にスタートできます。

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