ドメイン移管とは、利用中のドメインを管理している会社を変更することです。普段は意識しないドメイン移管ですが、失敗するとホームページが参照できなくなるなどの不具合が生じることもあります。
この記事ではドメイン移管をする際の流れや注意点をまとめて紹介しています。
目次
ドメインを移管するとはどういう事か?
ドメインの移管とは、ホームページなどで利用しているドメインの管理会社(レジストラ)について、他の事業者へ乗り換える際に必要となる対応をさします。
そもそも存在する全てのドメインは、ドメイン管理会社(=日本レジストリサービスに認定された「指定事業者」)が管理しています。よくある間違いとして「ドメインを取得すれば自分が管理していることになる」と思っている方が多いですが、ドメイン管理会社を通して取得し、管理会社がユーザーになりかわってそのドメインを管理しているが正しい認識です。
そこで別のドメイン管理事業者へ移行する必要が生じた場合は、ドメイン移管の対応が必要となるわけです。
ドメインの移管が必要な場合とは
通常、ドメイン移管が必要となるケースはそれほど多くありません。ユーザーがドメイン管理会社について意識する機会も、あまりないでしょう。
その上でドメイン移管が必要となるケースで特に多いのは、契約しているレンタルサーバーを移行する場合です。レンタルサーバーを契約する際に、一緒にドメインを取得するという方も多いでしょう。それができるのは、契約先のレンタルサーバー業者がドメイン管理会社を兼ねているためです。この場合、移行元のレンタルサーバーサービスを解約することになると、結果的にドメイン移管も必要となります。その他、ドメイン管理会社がドメインを運用する際に必要なDNSサーバーも提供していて、その機能に不足が生じた場合に別のドメイン管理会社に乗り換えるといったパターンなどが考えられます。
ドメイン移管にあたり、覚えておきたい用語
用語 | 内容 |
---|---|
【レジストラ】 | 世界に存在する全てのドメインは、データベースにより管理されています。このデータベースへドメインの情報を登録・変更する権限をもち、サービスとしてドメインの管理を提供する事業者のことをレジストラと呼びます。この記事では、レジストラのことを分かりやすく「ドメイン管理会社」と書いています。 ※ドメイン管理業者・指定事業者などと呼ばれることもありますが、いずれもレジストラのことを指します。 |
【トランスファー】 | ドメイン移管のことをトランスファーと呼ぶことがあります。 |
【whois】 | ドメインのデータベースに登録された情報をインターネットから参照できるサービスです。whoisが利用できるサイトとして以下があげられます。 ※ドメイン移管の際は、これらのサイトでドメイン情報をチェックします。 【JPRS WHOIS】 「.jp」で終わるドメインの情報を検索できるwhoisサービスです。 JPRS WHOIS それ以外のドメイン用のwhoisサービスに関しては、以下URLの一覧で確認ください。 JPRS WHOISご利用ガイド |
【JPドメイン】 | .jpで終わるドメインをさします。 |
【gTLDドメイン】 | 「.com/.net/.org/.info/.biz」などで終わるドメインをさします。 |
ドメインの移管の流れ
この項では、ドメイン移管の対応がどのような流れで行われるかを解説します。上図は一般的な移管の流れを示しており、ここでは新ドメイン管理会社へ移管申請をするまでに必要な手順を解説します。
なお細かい手順はドメイン管理会社ごとに異なりますので、詳細は契約先のドメイン管理会社へお問い合わせ下さい。
ドメイン移管にかかる期間
ドメイン移管にかかる期間は数日~数週間程度です。期間はドメインの契約状況や管理会社などによってかわります。
gTLDドメインの場合の移管の流れ
ドメイン移管の流れは、gTLDドメインかJPドメインかによってかわります。まずは、gTLDドメインの場合の移管の流れを解説します。
1)取得してから60日以上経過しているか確認する
取得後60日未満のドメインに関しては移管することができません。60日経過してから、ドメイン移管を行ってください。
2)契約者のドメイン登録情報を確認する
契約者のドメイン登録情報(担当者名・メールアドレス・住所・電話番号など)が正確がどうか事前に確認します。登録内容に誤りがある場合は変更する必要があります。現在の管理会社に登録情報の変更を申請してください。
3)現在の管理会社に移管が可能な状態にしてもらう
ドメイン移管ができるようにするため、現在の管理会社で以下の対応をしてもらう必要があります。
・ドメインロックの解除
不明なドメイン移管を防ぐ目的で、現在の管理会社で移管できない状態(ドメインロックの状態)にされている場合があります。この場合は、ロックを解除してもらうことが必要です。
・whoisプロテクトの解除
whois情報を不正に書き換えられないための制限(whoisプロテクト)をされている可能性があります。その場合、プロテクトを解除してもらう必要があります。
・AuthCodeの確認
AuthCodeとは不正なドメイン移管を防ぐために、ドメインに割り当てられているコードです。ドメイン移管が必要な場合は、現在の管理会社にAuthCodeを確認する必要があります。
4)移管先のドメイン管理会社へ申込み
上記1)~3)がすんでから、移管先のドメイン管理会社へ申し込みます。
JPドメインの場合の移管の流れ
次にJPドメインの移管の流れを解説します。gTLDドメインの場合と比べるとシンプルです。
1)現在のドメイン管理会社へ連絡
移管先のドメイン管理会社へ申込をする前に、現在のドメイン管理会社へドメインを移管する旨を伝える必要があります。
2)移管先のドメイン管理会社へ申込み
申込先のドメイン管理会社へ移管の申込を行います。
3)承認依頼メールの手続き
申込後、現在のドメイン管理会社へ承認依頼のメールが届き、メールに従って承認手続きをしてもらう必要があります。この手続きがされているか現在のドメイン管理会社へ確認・依頼します。
※現在のドメイン管理会社が手続きをしなかった場合、一定期間経過後に自動承認となります。
ドメイン移管と同時にサーバーも(DNSサーバー)移行する場合の注意点
ドメイン移管の際に注意すべきなのは、そのドメインでホームページなどをアップしているサーバーを同時期に移行するような場合です。
たとえばレンタルサーバーを移行する必要から、ドメイン移管も同時期に行わないといけないケースを想定してみましょう。このとき、ドメインとサーバーの住所であるIPアドレスを紐づけるDNSサーバー(ネームサーバー)が同時期に変更になる可能性が高いです。そうすると新旧のDNSサーバーで以下のように登録が食い違う場合があります。
※example.jpというドメインを利用していて、ホームページのURLが「www.example.jp」であると想定します。
移行元の旧DNSサーバー
www.example.jpに旧サーバーのIPアドレスが登録されている。
移行先の新DNSサーバー
www.example.jpに新サーバーのIPアドレスが登録されている。
ドメインのデータベースには、ドメインごとに「どのDNSサーバーを利用するか」という情報も組み込まれます。そこで移行のタイミングがうまく合わず、たとえば「新サーバーに移行がすんでいないのに、新DNSサーバーの情報が有効」という状態になると、訪問者がホームページのデータがアップされていない新サーバーへアクセスしてしまいホームページが参照できないという状態が発生してしまうのです。この不具合は、DNSサーバーの不整合が解消されるまで続くことになります。
DNSサーバーの登録の不整合を防ぐ方法
上述のようなDNSサーバーの登録の不整合は、ドメイン移管の際によく起こるトラブルです。ホームページを参照できないだけでなく、この問題によりそのドメインで運用されているメール(上の例でいうと@example.jp宛のメール)も不達となり、送信元へエラーが返されてしまうこともよくあります。
確実にこの問題を防ぐためには、新サーバーの申し込みや設定について以下の流れを守っていただくとよいです。
- 新サーバーへの申し込みを行う
- 新サーバーの設定を完了する。※新サーバーでホームページが参照できたり、メールが送受信できたりする状態にする。
- ドメインに新DNSサーバーを登録する。(新サーバーのIPアドレスが、有効なDNSサーバーに登録されている状態にする)
※ドメインへの新DNSの登録は、移転先のドメイン管理会社へ依頼します。
このとき、旧サーバーの設定(ホームページやメールなど)はすぐに削除せず、新サーバーとしばらく併用できる期間を設けておきます。DNSサーバー変更(設定変更)のタイミングにより、一時的に新旧両方のサーバーへアクセスが生じる期間が発生するためです。併用期間は長いほど安心ですが、DNSサーバーを切り替える期間やDNSサーバーに登録した情報が伝搬する(広まる)期間を考慮して2週間程度あるとよいでしょう。
なお、DNSサーバーは以前からのものをずっと利用する場合など、必ずしも上記設定通りにしなくてもよいこともあります。そのためより詳細な設定方法については、契約先のレンタルサーバーのサポートなどへお問い合わせください。
まとめ
普段は意識されることが少ないドメイン移管ですが、レンタルサーバーを移転する際などに必然的にドメイン移管が必要になることがあります。いざドメイン移管することになった際に迷わないように、移管の流れやDNSサーバーの登録の不整合を防ぐ方法を把握しておくことをおすすめします。
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