
「Prometheusを導入してみたいけど、インストール方法がわからない…」
そんな方のために、この記事ではPrometheusの基本的なインストール手順を初心者向けに図解付きでわかりやすく解説します。
Linux環境でのセットアップ方法を中心に、必要なコマンドや設定手順をシンプルに解説するので、この記事を読めば最短でPrometheusを導入できます。
目次 [非表示]
Prometheusとは?
まずは、簡単にPrometheusがどういったアプリケーションなのか、どういった機能があるのかについてご紹介します。
Prometheusの概要
Prometheusは、システムやアプリケーションのモニタリングとアラートのためのオープンソースのシステム監視およびアラートツールキットです。元々はSoundCloudによって開発され、現在ではCloud Native Computing Foundation (CNCF) のプロジェクトの一つとして、活発に開発が進められています。
Prometheusは、メトリクスと呼ばれる時系列データを収集、保存、クエリ、視覚化することができます。メトリクスは、システムやアプリケーションのパフォーマンスや状態を表す数値データで、CPU使用率、メモリ使用量、リクエスト数、エラー率など、さまざまな指標を収集できます。
Prometheusは、その柔軟性、スケーラビリティ、強力なクエリ言語により、マイクロサービスアーキテクチャ、コンテナ化された環境、クラウドネイティブアプリケーションなど、現代的なシステムの監視に最適なツールとなっています。
Prometheusの主な機能
Prometheusは、以下のような主要な機能を提供します。
機能 | 内容 |
---|---|
柔軟なデータクエリ | PromQL(Prometheus Query Language)を使って、保存されたデータを柔軟に検索・集計でき、時系列データのフィルタリング、演算、アラート条件といった設定も可能です。 |
プル型メトリクス収集 | 指定した監視対象のエンドポイント(Exporter)から定期的にメトリクスを取得し、時系列データとして保存できる。 |
時系列データベース | 収集したメトリクス(時系列データ)は、ローカルの永続的なストレージに保存されます。 |
アラート機能 | 事前に設定したルールにおいて、閾値を超えた場合の異常を検知、アラートで通知できます。 また、Alertmanagerと連携して、メール・Slack・PagerDutyなどへの通知が可能。 |
データの可視化 | 組み込みの式ブラウザやGrafanaなどの外部ツールとの連携機能を用い、分析が容易になります。 |
Prometheusのより詳細な情報については以下の記事で紹介しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。

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インストールの前提条件
続いては、Prometheusをインストールするための前準備として、必要なシステム要件や準備物についてご紹介します。
必要なシステム要件
Prometheusは、Linux、macOS、Windowsなど、さまざまなオペレーティングシステムで動作します。ただし、公式にサポートされているのはLinuxとmacOSです。
最小限のシステム要件は以下のとおりです。
- CPU:1コア以上
- メモリ:2GB以上
- ディスク容量:10GB以上
パフォーマンス要件は、監視対象のシステムやアプリケーションの規模、収集するメトリクスの量、クエリのパターンなどによって異なりますので、必要に応じてシステム要件の調整を行いましょう。
事前に用意するもの
Prometheusをインストールする前に、以下の3点を用意する必要があります。
- ターゲットシステム:監視対象のシステムまたはアプリケーション
- ネットワーク接続:Prometheusサーバーとターゲットシステム間のネットワーク接続
- ユーザーアカウント:インストールと設定を行うための適切な権限を持つユーザーアカウント
Prometheusのインストール手順(Ubuntu 24.04)
それでは、ここからは実際にPrometheusのインストール方法について解説します。
今回はKAGOYA CLOUD VPSを使用して、OSはUbuntu 24.04を選択してインストール方法を解説いたします。
KAGOYA CLOUD VPSではアプリケーションセットアップとしてPrometheusのテンプレートが初めから用意されています。

そのため、このテンプレートを利用する場合はここから紹介するコマンド操作などは不要でPrometheusのインストールが完了します。
OSの準備
まずは今回利用するOSであるUbuntu 24.04をKAGOYA CLOUD VPSで準備します。
アカウント作成(無料)後にアクセスできるコントロールパネルに移動し、「インスタンス作成」を行います。
初めにOSの選択肢が表示されますのでUbuntu 24.04を選択し、スペックはPrometheusの最小要件をクリアできる2コア/2GB/200GBを選択します。

※本格導入を検討されている場合は、用途に応じてさらに上のスペックを選択する必要があります。
その後は、パスワードなど細かな設定を任意で行い、インスタンス作成を完了させます。
Prometheusのインストール
ここからは実際にPrometheusのインストール作業を行います。
初めにシステムを最新の状態に更新します。
sudo apt update
sudo apt upgrade -y
必要なパッケージのインストールします。
sudo apt install -y wget tar
Prometheus の公式サイトから最新のバージョンをダウンロードします。
wget https://github.com/prometheus/prometheus/releases/latest/download/prometheus-*.tar.gz
上記の方法でダウンロードのエラーが出た場合は、最新バージョンを確認したのちにバージョンを指定してダウンロードすることで進められます。
以下のコマンドで最新のバージョンを確認します。
curl -s https://api.github.com/repos/prometheus/prometheus/releases/latest | grep tag_name
このコマンドで最新のバージョンがタグとして表示されます。

例えばタグが上記のように「v3.1.0」と表示された場合は、以下のコマンドでバージョンを指定してダウンロードできます。
wget https://github.com/prometheus/prometheus/releases/download/v3.1.0/prometheus-3.1.0.linux-amd64.tar.gz
ダウンロードしたファイルを解凍します。
tar xvf prometheus-*.linux-amd64.tar.gz
解凍したフォルダを適切な場所に移動させます。
cd prometheus-*.linux-amd64
sudo mv prometheus promtool /usr/local/bin/
Prometheus用のユーザーを作成します。
sudo useradd --no-create-home --shell /bin/false prometheus
ディレクトリを作成します。
sudo mkdir /etc/prometheus
sudo mkdir /var/lib/prometheus
設定ファイルをコピーします。
sudo mv prometheus.yml /etc/prometheus/
ファイルの権限を変更します。
sudo chown -R prometheus:prometheus /etc/prometheus /var/lib/prometheus
Prometheusをシステムサービスとして登録します。以下のコマンドでテキストエディタを開きます。
sudo nano /etc/systemd/system/prometheus.service
以下の記述をコピペします。
[Unit]
Description=Prometheus
Wants=network-online.target
After=network-online.target
[Service]
User=prometheus
Group=prometheus
Type=simple
ExecStart=/usr/local/bin/prometheus \
--config.file=/etc/prometheus/prometheus.yml \
--storage.tsdb.path=/var/lib/prometheus \
--web.listen-address=0.0.0.0:9090 \
--storage.tsdb.retention.time=15d
[Install]
WantedBy=multi-user.target
※テキストエディタはCtrl+X→Y→Enterで閉じることができます。
なお、この設定では以下の内容での設定となりますので、必要に応じて値を調整して下さい。
- ExecStartでPrometheusを起動
- ポート9090で待機
- データ保存期間を15日間に設定
サービスの有効化と起動します。
sudo systemctl daemon-reload
sudo systemctl enable prometheus
sudo systemctl start prometheus
以下のコマンドで正常にPrometheusが動作しているか確認できます。
systemctl status prometheus
成功していれば、以下のような表示が出ます。

なお、ブラウザで確認する際にはIPアドレスの後ろに:9090を加えたURLにアクセスしましょう。
http://IPアドレス:9090

なお、Prometheus自体の基本情報や管理画面の操作方法に関しては、以下の記事でご紹介しておりますので必要な方はご覧ください。

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まとめ
以上が、Prometheusのインストール方法のご紹介となります。
Ubuntu 24.04へのインストールであればこの記事でご紹介しているコマンドをコピペするだけでインストールできます。
KAGOYA CLOUD VPSを利用される場合はテンプレ利用でコマンド操作が不要、かつPrometheusで収集したデータの可視化と分析を行えるGrafanaも同時にインストールできるため、基本的にインストール作業でコマンドを叩く必要はありません。
Prometheus利用を検討されている条件などに合わせて、最適な方法を選択いただければと思います。
KAGOYA CLOUD VPSではPrometheusのテンプレートを利用でき、初めからGrafanaがセットされている状態で運用開始できます。
自分で初めから構築する必要がないため時短になるだけではなく、日額20円から利用可能とコスパの面でも喜ばれています。