Pythonは、シンプルで高機能なプログラミング言語です。使いやすさや、幅広い活用範囲から世界中で利用されています。Pythonを活用している企業やサービスも多く、AIやデータ分析、Webアプリケーションの開発など、今後もさまざまな分野での利用が見込まれるでしょう。
本記事では、Pythonの利用を検討しているエンジニアに向けて、Pythonの特徴やできることを解説します。Pythonが苦手としていることや活用している活用例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
Pythonとは
Pythonは、シンプルで高機能なプログラミング言語です。教育や科学の分野での利用や、企業からの支援による活動の維持など、さまざまな要因が人気の理由となっています。
他のプログラミング言語よりも理解しやすいPythonは、シンプルな文法であることが特長です。汎用性も高く、AIやデータ分析だけでなくWebアプリケーションの開発などにも適しています。
名前の由来は、開発者がイギリスのコメディ番組である「Monty Python’s Flying Circus」にインスパイアされたことにあります。
Pythonについては、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:【超入門】Pythonとは?できること・基本をわかりやすく解説
Pythonの特徴
非常に人気のあるプログラム言語のPythonには以下のような特徴があります。
- 他のプログラミング言語よりコードが簡単
- ライブラリが充実している
- 開発用のフレームワークが豊富にある
- API連携が可能
- 技術者のコミュニティが充実している
それぞれ見ていきましょう。
他のプログラミング言語よりコードが簡単
Pythonは、直感的な文法とシンプルな構造であるため、初心者にとって非常に学びやすいプログラミング言語です。「文章を読むようにわかりやすい言語」を目指して開発されたことから、他のプログラミング言語と比較してもPythonのソースコードは少なく、理解しやすくなっています。
Pythonは、ドキュメンテーションのように機能するため、エラーのデバッグも容易です。また、インタプリタ方式の言語であるため処理速度が遅くなるデメリットがあります。
しかし、プログラムが完成していなくても都度実行結果を確認できるので、初心者がプログラムを学びやすいといった評価につながっているのです。
ライブラリが充実している
Pythonには標準のライブラリだけでなく、外部ライブラリも充実しています。特に、高度な計算処理を可能にしたライブラリが充実している特徴があります。
以下の表で、代表的なライブラリについて解説します。
種類 | 用途 |
---|---|
NumPy | 複素数や積分もカバーしている数学処理に欠かせないライブラリ |
Pandas | 機械学習において、NumPyとセットでよく使われるデータ解析を支援するライブラリ |
TensorFlow | データ分析から深層学習まで、幅広いタスクを簡単かつ効率的に行うライブラリ |
Matplotlib | グラフ、プロット、チャートなどの各種の図を作成するのに役立つデータ可視化ライブラリ |
Scikit-Learn | 他のライブラリとの連携を行いやすいオープンソースの機械学習ライブラリ |
SciPy | データの可視化が簡単に行える、数学・科学・工学のための科学技術計算用のライブラリ |
OpenCV | 顔検出、文字認識、画像のパターンマッチングなどの画像処理・画像解析が行えるライブラリ |
ライブラリが充実していることで、開発者はゼロからプログラミングする必要がないため生産性が向上します。また高度なライブラリが用意されているので、専門的な処理や複雑なアルゴリズムを簡単に活用できる点がメリットです。
開発用のフレームワークが豊富にある
Pythonには開発に活用できるフレームワークが豊富にあります。
プログラムを自分で行う場合、多くのソースコードを記述する必要があります。基本的な機能をまとめて提供するフレームワークを活用すれば、開発作業を大幅に削減できるでしょう。
フレームワークは一定のルールに従ってどこに何を記述すべきかが決まっているため、プログラムの統一性が高まる点もメリットです。ほかの開発者がプログラミングした内容も解析しやすく、カスタマイズ性に優れたプログラムといえます。
代表的なフレームワークについて解説します。
種類 | 用途 |
---|---|
Django | 実用的に作られ情報も多い初心者におすすめのフレームワーク |
bottle | 軽量なフレームワークのためアクセスが速いシンプルなフレームワーク |
Flask | 小規模なフレームワークで、軽量で利用しやすいフレームワーク |
Tornado | ノンブロッキングネットワークI/Oを使用して、数万のオープン接続に拡張でき、処理スピードが早いフレームワーク |
web2py | セキュリティにも重点が置かれたアジャイルで開発するためのフレームワーク |
Pythonのフレームワークが充実していることによって、技術者が効率的にアプリケーションを開発できます。フレームワークはベストプラクティスで構築されているため、他の技術者も理解しやすい標準的なコードで記述できるでしょう。
また、セキュリティリスクを最小限に抑えられる点も活用するメリットといえます。
API連携が可能
Pythonで「WEB API」を活用することで、Webサイト上の情報を効率的に取得できます。
たとえば、金融系や株価情報サイトのデータを取得することで、リアルタイムの市場データを取得でき、株価の予測やAIの開発も可能になります。また、ECサイトでは商品ごとの売れ行き情報や特定の販売者で最も売れた商品などを検索してデータを取得できます。
PythonでAPI連携を利用すると、複数のシステムやサービスを統合し、新しい機能を追加することが可能です。異なるサービスやシステム同士がシームレスに連携し、データや機能を共有してアプリケーションの利便性を高めます。
技術者のコミュニティが充実している
Pythonの人気が上昇している背景には、技術者のコミュニティが充実している点があります。
世界中でPythonを利用しているユーザーが多いため、Pythonのライブラリに関する意見や問題点が多く提起され、開発者による機能の更新や改善がスムーズに進みます。それにより、Pythonのプログラミング言語としての進化が加速し、好循環が生まれやすくなるでしょう。
Pythonの利用者が投稿している技術系のブログ記事などは、コーディング問題への解決策として役立つことが多くあります。
Pythonでできること
Pythonでできることは以下のようなことが挙げられます。
- 機械学習
- 画像認識
- 自然言語処理
- 時系列解析
- データ収集
- データ処理・分析
- Webサイト・アプリ作成
- ブロックチェーン開発
それぞれ解説していきます。
機械学習
機械学習を使ったAI開発はPythonが得意とする分野です。
Pythonは大量のデータをコンピュータに学習させ、分類・回帰・推論などの人間の知能を模した機能を持つロボットの制作にも利用されます。
また、Pythonには機械学習を使ったAIを開発するための豊富なフレームワークやライブラリが用意されており、AIの開発を比較的容易に行えます。
画像認識
Pythonは、画像処理のライブラリであるOpenCVなどを用いて、画像データからパターン認識ができます。
さらに、数値計算ができるライブラリ・TensorFlowなどを組み合わせると、顧客の識別、カテゴリの振り分けなどの処理もできるようになります。
画像認識の分野では、画像分類、物体検知、セグメンテーションに活用されています。
自然言語処理
Pythonは、コンピュータが人間の言語を理解する自然言語処理を行うのに非常に適した言語です。自然言語処理を実行するための多くのライブラリやフレームワークがあり、翻訳サービスや文章生成に活用できます。
時系列解析
時系列解析は、時間の経過に伴って得られるデータの流れを分析する手法です。金融、気象、エネルギー、医療など、さまざまな分野で活用されています。過去のデータから未来を予測するための重要な手法であり、特に株価や天気の予測など、日常生活に密接に関わる分野での需要が高まっています。
Pythonは時系列解析に用いられるライブラリやツールが豊富であり、PandasやProphetなどのライブラリの活用で、初心者でも比較的簡単に時系列データの分析や予測が行えます。
データ収集
Pythonの活用で、Web上の情報を自動的に収集できます。スクレイピングは価格調査や市場調査、オルタナティブデータの収集などに利用され、特定のWebページの情報を定期的に監視することも可能です。
Webスクレイピングには、Requests、Beautiful Soup、Seleniumなどのライブラリが一般的に使用されます。ただ、一部のWebサイトではWebスクレイピングが禁止されている場合があるため注意が必要です。
データ処理・分析
Pythonは、大量のデータを迅速にかつ自動的に処理・分析できるという特長があります。データベースの整理や、指定したデータを抽出してExcelに出力するなどのタスクを瞬時に行えることがメリットです。
またWebサービスやAI開発に限らず、多くの企業が通常業務で利用するツールであるExcelやAccessなどのデータ処理・分析にも優れた能力を発揮します。
Webサイト・アプリ作成
Pythonは、画像解析や自然言語処理などの分野に長けているため、YouTubeやDropboxに加えて、InstagramやPinterestなどの画像共有サービスもPythonで開発されています。画像検索やテキスト検索などにおいて重要な役割を担っています。
WebサービスやWebアプリの開発でPythonがよく使われる理由は、さまざまなOSに対応しているためです。Windows、Mac、Linuxなど、OSの種類に関係なくPythonを使用できます。
異なるデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)でも同じように動作するため、開発者はそれぞれのデバイスに合わせて仕様を変更する必要がありません。
ブロックチェーン開発
Pythonは、ブロックチェーンの開発にも使われています。ブロックチェーンとは、ネットワーク上の端末同士を直接接続し、取引記録を暗号技術を使って分散的に処理・記録する仕組みです。
ブロックチェーンは従来のデータベースと比べて、データの構造や管理方法が堅牢で、改ざんされる可能性が低い特徴があります。そのため、仮想通貨に限らず、さまざまな分野での活用が期待されており、Pythonの重要性が高まっています。
Pythonでできないこと(苦手なこと)
Pythonには、以下のような不得意で苦手にしていることもあります。
- 高速処理が必要なシステムの開発
- スマホアプリやデスクトップアプリの開発
それぞれ紹介します。
高速処理が必要なシステムの開発
汎用性が高いPythonですが、他の言語と比べて処理速度が遅い点はデメリットの1つです。Pythonは自由に記述できる反面、プログラム内の型を推論する必要があるため、パフォーマンス低下に影響を与えていると考えられています。
インタプリタ型言語であるPythonは高速処理が得意ではないため、プログラムの処理速度向上を重要視する場合は、C言語・Java・C++といった言語で開発した方が適しています。
複雑で高速な処理が求められる用途には向かないため、高速なグラフィックス処理が必要なゲームや多数のアクセスが集中する基幹システムに活用するのにはあまり適していません。
スマホアプリやデスクトップアプリの開発
スマートフォンアプリの開発に関して、Pythonは最適とは言えないでしょう。スマートフォンアプリの開発自体は可能ですが、Python向きのライブラリがAndroidやiOS向けにはあまり存在しないため、開発がスムーズに進むとは限らないからです。
デスクトップアプリも同様で、Windows向けのアプリケーション開発にはあまり適していないと言えます。したがって、マイクロソフトが開発したC#を活用する方が、開発には効率が良いでしょう。
Pythonの活用例
Pythonを活用しているサービスには、以下のような事例があります。
- Dropbox
- Amazon
- Netflix
- YouTube
それぞれ解説します。
Dropbox
さまざまなOSやデバイスで利用できるDropBoxは、Pythonを導入している代表的な事例です。DropBoxでは、GoogleでPythonの開発に携わっていたエンジニアが移籍し、Pythonを使ったプロトタイプを作成したことがきっかけで、同社のサービスがPythonで構築されました。
Amazon
非常に幅広い品目を扱うロングテール戦略で知られるAmazonでは、商品や取引に関するシステムにPythonを採用することを推奨しており、多くの場面でPythonが活用されています。Amazonは情報の変化に柔軟に対応しつつ、他のプログラミング言語との連携が容易なPythonを好んでいます。
Amazonでは、顧客が検索した情報を元に推奨商品を表示する機能がありますが、Pythonを用いた機械学習を活用して、個々の顧客ニーズを分析し、購買意欲を高めるのに役立っています。
Netflix
NetflixがPythonを利用していることは、使用しているライブラリの名前を具体的に挙げて公開していることからもわかります。
たとえば、保守運用における数値分析にはNumPyやSciPy、統計分析にはNumPy、SciPy、ruptures、Pandasなどを用いており、アラート後に発せられる信号の分析にもPythonを活用しています。映画中の最適なシーンを探し出して切り取る作業にも、Pythonの機械学習が利用されているとされています。
写真や映像を共有できるサービスとして広く普及しているInstagramは、Pythonを積極的に利用しています。Instagramは、Pythonで実装されたWebアプリケーションフレームワークの「Django」を活用して作成されています。
当初2人のみで設立されたInstagramは、驚異的な勢いでユーザー数を増やしてきました。理由の一つには、Pythonが少ないコードで高品質なWebアプリを構築できるため、急速な成長に対応でき、ユーザーのニーズを満たすことができたからです。
YouTube
Pythonを積極的に活用している企業として、Google社が提供しているYouTubeが挙げられます。Googleでは、検索エンジンやAndroid開発だけでなく、動画投稿サイトであるYouTubeでPythonを活用しています。
GoogleにPythonの開発者が在籍していたこともあり、Pythonがオフィシャルな言語のように扱われているのです。
YouTubeはPythonを活用していますが、検索に関わるインデックス処理はC++で書かれているなど、モジュールに応じて言語を使い分けています。
まとめ
Pythonは、シンプルで高機能なプログラミング言語であり、教育や科学の分野での利用や企業からの支援による活動の維持など、さまざまな要因が人気の理由となっています。ライブラリやフレームワークを活用することで開発効率を向上させ、初心者でも開発しやすいプログラミング言語です。
また、他のプログラミング言語よりも理解しやすく、シンプルな文法に特徴があります。汎用性も高く、AIやデータ分析だけでなくWebアプリケーションの開発などにも適しています。
その上GoogleやAmazonなどの有名企業でも採用されており、検索エンジンや動画投稿サイト、画像共有サービスなどのさまざまな分野でもPythonが活用されています。
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