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サバ管への道!VPS道場~第1回 サーバー とは何のこと?種類は?~

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サーバーについて勉強
「サーバー」という言葉をご存知の方は多いと思います。普段の生活の中でも「サーバーが止まったらしく、サービスが使えなくなってる!」という経験がある方は多いのではないでしょうか。このように日常的に使用しているSNSやWEBサービスを、私たちユーザーに提供してくれるものがサーバーです。サーバーという言葉を聞くと、専門的なエンジニアだけが操作できる複雑なコンピューター のような印象を受けるかもしれません。サーバーの中にはいくつかの種類がありますが、それらは一旦置いておき「サーバー」とは何か?をまず確認したうえで、本連載のメインテーマである VPS の理解を深めていきたいと思います。

サーバー とは何か?

現在ではほとんどの方が日常的に学校や職場、家でコンピューターに触れています。ここでいうコンピューターはPC、スマートフォンやタブレット、ゲーム機などの機械、もう少し具体的に言うと「操作を入力すると結果を出力してくれるもの」と考えましょう。例えばスマートフォンで英単語を調べるときは、ブラウザを起動して英単語を入力し検索すると、英単語の意味や例文などが画面に表示されます。サーバーも同様で、アクセスがあったときに特定のページを表示させたり、送信されたメールを宛先に配送したりと、特定の入力に応じて適切な出力を行うので、以上に挙げたコンピューターに分類できます。同じ「コンピューター」とはいってもサーバーはそのほかの機器と全く別物のように感じられるかもしれませんが、サーバー機器もPCと同等に振る舞うことは可能です。ただし、それぞれのコンピューターにはそれぞれ役割があるため、一般的には役割に応じて適切な機器を使い分けています。つまりサーバーとは、サービスを提供する役割・能力に長けたコンピューターであると言えます。

サーバーの図解

サーバー の役割 と PC・スマートフォン の役割

もう少し具体的な用途でサーバーとPCやスマートフォンの役割を見ていきましょう。
オンラインストアで買い物するシーンをイメージしてみます。あなたは慣れた手つきでスマホからオンラインショップのアプリを起動し、購入したい品目を検索欄に入力し、いいなと思った商品を購入するでしょう。難しいことは何もありません。このやり取りを前述の役割に当てはめると以下のようになります。

サーバーの役割

スマホ・PC

サービスを受け取る側。オンラインで提供されているサービスにアクセスして、販売されている商品の情報を受け取り、欲しいものがあれば購入のリクエストを送信します。すべての操作はスマホ・PCで完結します。情報を依頼して受け取るという役割を行うので「クライアント」と呼ばれます。

サーバー

サービスを提供する側。スマホ・PCからのアクセスを受け付け、依頼内容に応じて適切な情報を送り返します。また、ログインを必要とするサイトでは認証や適切なユーザー情報の管理を行い、ユーザーの購入依頼があれば適切に処理を完了させます。サービスを提供する主体なので「サーバー」と呼ばれます。

つまり、下図のようにやりとりの流れが逆向きになると「クライアント」と「サーバー」の役割も逆になります。

しかし、サーバーは不特定多数のユーザー管理や依頼の処理を休むことなく行うという能力、クライアントは依頼して返ってきた情報をユーザーが見やすい形で表示し操作を助ける能力が必要です。そのためそれぞれのハードウェアが得意とする役割・用途で使い分ける方が効率的です。サーバーではあまり聞いたことのないハードウェアやOSが使われていることも多いですが、能力の高い-低い というよりも役割が違うため別の機器やソフトウェアが採用されています。

自分の サーバー を用意する方法

ここまでの内容でサーバーとはどんなものか、なぜサーバーを使うのか、といったイメージが湧いてきましたでしょうか?この記事を読まれている方の多くはサーバーに興味があり、使ってみたいと考えられている方もいるかと思います。ではPCやスマホのように、サーバーも自分で購入する必要があるのかが気になるところですが、一般的にクラウドサービス(レンタル)として提供されているものを利用します。これは、サーバーを置くスペースや環境、管理の体制がすでに整っているデータセンターから借りる方が現実的で、かつメリットも多いためです。以降の連載でも実際にサーバーを操作していきますが、VPS というサービスを利用してサーバーを用意します。クラウドサービス と聞くと企業向けで高額、などのイメージがある方もいるかもしれませんが、PC購入時に自分に合った性能・予算から選ぶときと同様に、用途に適したサービスを選択することで個人でも十分に維持が可能です。

サーバー を利用できるサービスは?

以下にサーバーを利用できるサービス の代表的なものを挙げています。これらのサービスの中から用途と予算に応じて適したものを選択します。
※以下に紹介するサービスは一般的なもので、カゴヤ・ジャパンのサービス名とは異なります。

  • レンタルサーバー
  • VPS
  • IaaS ※法人向け
  • 専用サーバー ※法人向け

レンタルサーバー

サーバーのレンタルサービスとして最もスタンダードなサービスの一つで、個人や企業がホームページを公開する際の有力な選択肢の一つです。1台の物理サーバーを複数のユーザーで利用するため共用サーバーと呼ばれることも多く、比較的サーバーを安価に利用できます。また、ホームページ公開など必要な機能が最初から整っており、初心者でも使いやすいサービスです。多くの場合複数のプランからスペックを選択できるため中規模以上の環境でも利用が可能です。

□メリット

・安価にサーバーを利用できます。1ヶ月1,000円程度の価格から利用できるものが多く、初期費用が無料といったサービスもあります。
・管理や運用が簡単です。物理サーバーの管理はサービス事業者に任せることができ、必要な機能が揃った状態で使い始められるのですぐに利用を開始できます。

■デメリット

・他のユーザーから影響を受ける場合があります。サーバーを共用しているため別ユーザーの通信が急激に増えた場合などに全体の通信に影響がある可能性があります。
・利用に制限があります。サーバー管理の主体は事業者のため、自由にアプリケーションをインストールしたり、サーバー設定を変更することが難しい場合があります。

レンタルサーバーの図解

VPS

レンタルサーバーと同様、安価なサーバーとして人気です。1台の物理サーバーを別ユーザーと共用する点はレンタルサーバーと同様ですが、VPSの場合は仮想サーバーを1台専有することが可能です。1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーが存在し、それぞれ独立したサーバーとして利用することが可能です。これによりレンタルサーバーでは難しい、アプリケーションの自由なインストールやサーバー設定の変更などを行うことが可能です。また、仮想サーバーにはあらかじめCPUやメモリが割り当てられているので、別ユーザーからの影響を受けにくくなります。

□メリット

・柔軟な使い方が可能です。管理者権限と呼ばれるサーバー管理の権限は契約者が持つことになるので、アプリケーションの追加など気兼ねなく行うことができます。
・必要なとき必要な分だけ利用することが可能です。必要なくなればすぐに削除し、また必要になれば作成といった使い方ができます。またスペックの選択肢が比較的多く、小・中・大規模それぞれの環境で利用が可能です。

■デメリット

・ある程度専門的なスキルが要求されます。仮想サーバーの管理はすべて契約者が行います。ホームページ公開など、利用したい環境は自分で構築する必要があります。
・別ユーザーの影響を全く受けないわけではありません。物理サーバー1台を共用しているため別ユーザーの突発的なリソース消費による影響を受ける可能性もあります。

IaaS ※法人向け

サービス事業者によって若干意味が異なる場合もありますが、仮想サーバーを1台ごとで運用するVPSに対して、IaaSでは複数仮想サーバーの運用や頻繁なリソースの変更に対応できる環境が用意されており、VPSよりも比較的利用料金が高い傾向にあります。ITインフラを構成するネットワーク、ストレージなどと組み合わせた複雑な構成を前提としており、企業内のシステムや大規模WEBサービスの基盤として利用されることが多いサービスです。またもう一つの大きな特徴として、利用時間(1時間当たり○円)によって課金されるという仕組みが主流となっており、実際に利用した分だけ請求が発生するのでコストの最適化が可能です。

□メリット

・あるゆるケースに対応が可能です。サーバーの柔軟性に加えストレージ容量の拡張性、高機能なネットワークオプションなど様々な機能を組み合わせることが可能です。
・最適なコストで運用可能です。時間帯や時期によってリソース消費の変化が大きいという場合でも、適切な機能・スペックを適切なコストで利用できます。

■デメリット

・VPSなどのサービスと比べて高価です。また管理体制によっては無尽蔵にリソースを消費し続ける場合もあり、課金額が膨れ上がる場合を考慮しておく必要があります。
・高度な専門スキルが要求されます。機能が豊富な反面、最適な環境・構成を検討し、構築を実行するスキルが必要になります。

専用サーバー ※法人向け

名前の通り物理サーバー1台をまるごと契約者専用のサーバーとして利用できます。1台を共有したときのような別ユーザーからの影響が無いため安定した環境として利用できます。自分でサーバー1台を購入したイメージと同様で、柔軟なカスタマイズが可能な反面、管理・運用は契約者にて行う必要があります。サーバーはサービス事業者のデータセンター内に置かれているので、安定した電力の供給や災害への対策としても有効です。主に基幹システムなどの安定性が要求されるケースで重宝されます。

□メリット

・専用のサーバーなので別ユーザーからの影響を受けることが無く安心です。また企業のシステムなどに要求される複雑なシステムを、安定した環境で利用可能です。
・データセンターという理想的な場所でサーバー運用が可能です。サーバーを自社内に設置する場合、空調など適した環境を用意する必要があるためコストがかかります。

■デメリット

・価格は高くなります。利用に関してはメリットなどをよく吟味し、トータルの運用コストを含めて検討する必要があります。
・高度な専門スキルが要求されます。データセンターに管理・運用を任せるようなオプションが提供されている場合もありますが、追加のコストが生じます。

専用サーバーの図解

この中から当連載では、VPSの理解を深め操作方法を学ぶことを目的としています。VPSは個人で利用する場合でも月数百円程度から利用可能です。またメリットにもある通り管理者権限が付与され自由な使い方ができるため、サーバーについて理解するうえで非常に有用なサービスです。ここまでで色々なサービスのご紹介をしましたが、ここからはVPSに焦点を絞り進めていきますので、次の項目でVPSでできることを簡単におさらいします。この連載のゴールと、読み進めてできるようになることもあわせて確認しておきましょう。

VPS の何がよいのか?できることは?

VPS のおさらい

サーバーを利用できるサービスの説明で、VPSの特徴として以下のようなものが挙がりました。
1. 安価に利用でき、必要なときに必要な時間だけ利用できる
2. 用途と予算に応じてスペックを選択できる
3. スキルが必要だが、管理者権限が渡されるため自由にサーバーをカスタマイズできる

1. 安価に利用でき、必要なときに必要な時間だけ利用できる

月額数百円~、サービス事業者によっては 日額、時間額での料金体制の場合もあります。また初期費用が無料という場合が多く、「今月は学習用にサーバーを作成したけれど、来月は忙しいから削除しておこう」といった気軽な使い方が可能です。さらに日額利用できるサービスの場合は「3日間だけ動作確認用にサーバーが欲しいけど、1ヶ月も使わないなあ」といったときにも便利です。
※サーバーの設定を残したままサーバーを削除したい場合は「スナップショット」を作成しておくことでいつでも同環境を再現可能です。※カゴヤ・ジャパンのVPSサービスでスナップショットを使用する場合、容量単位で料金が発生します。

つまり、 学業や仕事と並行して少しずつ学習を進めることや、連休のときに集中学習する ことにも適しています。

2. 用途と予算に応じてスペックを選択できる

「学習用途なので、高機能なサーバーはいらないから月千円以内に収めたい」、「ある程度理解も進んできたので、若干機能の高いサーバーで自分のWEBサイトを公開してみよう」といった目的に応じてスペックを選択できるのでコストパフォーマンスがよいと言えます。「自分の用途に対してどの程度のスペックが必要かわからない」という場合は、とりあえず最安のプランから始めてみて機能が足りないとなったときに上位スペックに移行するような使い方もできます。

つまり、 学習後の実用(ホームページ公開や、ブログの広告収益、研究用途など)までVPSのサービスだけで済ませる ことも可能です。

3. スキルが必要だが、管理者権限が渡されるため自由にサーバーをカスタマイズできる

ホームページの公開だけできればいい というように用途が完全に決まっている場合は学習・運用の負担が少ないレンタルサーバーなどのサービスが適している場合もあります。逆に将来ホームページ公開だけでなくサービスの開発や提供など、目標が今の段階で決まっていない場合にはVPSをお勧めします。管理・運用を自分で行う必要があるということは、学習しておけば将来どんな用途でもサーバー操作の知識を活用できます。また実際の料金を比べてみると、管理・運用を任せられる分若干レンタルサーバーの方が高いという場合もありますので、学習で得られる効果は想像以上に大きいかもしれません。

つまり、 サーバー管理のスキルを身に着けることで、長期的にはコスト削減が可能 で、マーケットでも需要の高いビジネススキルに繋がります。

今回使用する VPS のサービスについて

今回の連載は 「KAGOYA CLOUD VPS」のサービスを利用し、サーバー作成・操作の手順を紹介していきます。利用する料金プランは学習用に最適な「CPU-1core/メモリ-1GB/SSD-20GB/月額料金-660円 or 日額料金-24円」のプランです。すでにお使いのサービスや他に利用したいサービスがある場合はそちらでも問題ありません。他社サービスの場合コントロールパネル操作などいくつか記事内容と異なる部分が出てきますので、適宜ご利用のサービスの内容に読みかえて進めてください(これから新しくサービスを契約する場合は、本連載に沿って進めやすい KAGOYA CLOUD VPS のご利用がおすすめです。)

VPS について詳しく解説している記事もありますので、こちらもあわせてご確認ください。

VPSとは?仕組みと活用、選び方をわかりやすく解説

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VPS(Virtual Private Server)は、日本語に訳すと「仮想専用サーバー」となります。1台のサーバーを複数のユーザーで共有する点は共用サーバーと同じですが、VPSでは、仮想的に専用サーバーと同様の自由度・性能を利用できるよう設定されています。ここでは、VPSの魅力や性能、そしてメリット・デメリットを初心者の方にも分かりやすくまとめました。 VPSの仕組み、レンタルサーバーやクラウ…

日額 20円 で使えるVPS

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カゴヤのVPSは初期費用無料でアカウント登録さえしておけば、必要なときだけ日額課金でサーバーを立ち上げ可能!料金は使った分だけ。

今後の連載内容について

次回以降の連載内容を簡単にご案内します。

” 第2回 VPSアカウントを作成し、サーバーを作成する “
実際に仮想サーバーを作成し、手元のPCからサーバへの接続と操作を行います。

” 第3回 LAMP 環境の構築 ‐ LAMPって何? ‐ “
ホームページなどWEB上にコンテンツを公開する際のサーバーの働きや、標準的なミドルウェア Apache のインストールを行います。

” 第4回 LAMP 環境の構築 ‐ MariaDBとPHP ‐ “
サーバーがユーザーやコンテンツなどの情報を管理する際に、標準として使用される MariaDB のインストールを行います。

” 第5回 WordPress でサイトを公開する “
現在最も使用されているWEB公開の標準環境を、自分の手で構築していきます。

【次回】 ‐ 第2回 VPSアカウントを作成し、サーバーを作成する ‐

次回から実際に仮想サーバーを作成し、自分専用のサーバーとして設定・管理を行っていきます。慣れるまでは聞き覚えのない言葉も多く難しく感じる部分もあるかもしれませんが、サーバー操作に必要な知識は多くのサーバーである程度統一されており、一度慣れてしまえば対応の幅がぐっと広がります。一緒に頑張っていきましょう。


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