メール到達率は、メール配信をする際に重要な指標のひとつです。メール到達率が悪いと、メール配信の効果も悪化すると考えられることから対策が求められます。
しかし、何が原因でメール到達率が悪いのかや改善するため何をするべきかが分からないと、適切な対策はおこなえません。この記事では、メール到達率とは何かといった基本から、メール到達率の目安、メール到達率が悪い原因や改善に必要な対策を解説します。
メール到達率が改善されずお悩みの担当者の方は、この記事を参考にしてください。
メール到達率とは? | 送信メールが送信先の受信ボックスまで到達した割合
メール到達率とはメールマガジンなどのメール配信において、送信メールが送信先の受信ボックスまで到着した割合を示す指標です。メールを一斉に配信した場合、その全てが宛先の受信ボックスまで到達するとは限りません。
送信先の迷惑メールフィルタで拒否されたり、そもそも送信先メールアドレスが削除済などですでに存在していなかったりすることもあります。そういった問題がなく、送信先の受信ボックスまで届いた送信メールの割合がメール到達率で表されるのです。
よく混同される配信成功率とメール到達率の違い
メール到達率とよく混同される指標として、配信成功率があげられます。いずれもメール配信における指標ですが、その意味は大きく異なるので注意しましょう。
メール到達率が送信先の受信ボックスまでメールが届いた割合であるのに対し、配信成功率とは送信先メールサーバーまで届いた割合です。メールが送信先のメールサーバーに届いても、それが確実に受信ボックスに届くとは限りません。迷惑メールフィルタにて迷惑メールボックスに振り分けられるなどして、受信ボックスに到着しないこともあるためです。
メール到達率を改善したい場合、配信成功率との違いも把握しておく必要があります。
メール到達率の計算方法
メール到達率は、以下の計算方法で算出できます。
到達数÷配信数×100=メール到達率(%)
たとえば10,000通配信し受信ボックスまで9,500通届いた場合、メール到達率の計算式は以下のとおりです。
9,500通(到達数)÷10,000通(配信数)×100=95%
メールマガジンなどにおけるメール到達率の目安は90~95%
一般的に、メールマガジンなど大量のメールを一斉送信した場合における、メール到達率の目安は90~95%と言われています。
メールマガジンなど大量のメールを配信した場合、全てのメールが受信ボックスへ到達するのは難しいでしょう。メール配信の運用をする際は、そのことを把握しておく必要があります。
一方でメール到達率が低過ぎると、メールマガジンなどの運用に問題があると言わざるを得ません。大量のメールを一斉配信する際は、メール到達率の平均が90%を下回ったら、改善するための対策が求められます。メール配信に関する大きな問題が発生している可能性も考慮した方がよいでしょう。
メール到達率が低くなる主な原因
メール到達率は、いくつかの典型的な原因で低くなることが多いです。メール到達率に問題がある場合は、まずはこれらが原因でないか調べるとよいでしょう。本項ではメール到達率が低くなる主な原因をひとつずつ解説します。
無効な送信先メールアドレスがリストに多く含まれている
送信先メールアドレスのリストに、無効なメールアドレスが多く含まれていると、メール到達率が下がる原因となります。退職などでメールアドレスが削除されていたり、登録時に誤ったメールアドレスが登録されていたりすることは少なくありません。
無効なメールアドレスが多く含まれていれば、当然ながらそれだけメールの配信に失敗しますからメール到達率が下がります。さらに無効なメールアドレスへメールを配信し続けると迷惑メールの送信元と認識され、迷惑メールと判定されやすくなるのです。
送信先メールアドレスのリストは、定期的にメンテナンスする必要があります。
IPレピュテーション(評価)が低い
IPレピュテーション(評価)が悪く、メールが送信先へ届かなくなりメール到達率が下がることも少なくありません。
IPレピュテーションとは、名前の通りIPアドレスに対する評判を表す指標のことです。迷惑メールを送信していたり、悪質なWebサイトを運営していたりするIPアドレスは、IPレピュテーションが悪くなります。そうしてIPレピュテーションが悪いIPアドレスから送信されたメールは、迷惑メールと判定されやすくなるのです。
IPレピュテーションの仕組み
IPレピュテーションは、Google・MicrosoftのようなISPや第三者機関によって評価されます。その評価基準はさまざまですが、その一例は以下の通りです。
- スパムトラップへのメール送信などブラックリストに入ってしまう行為をしていないか
- その送信元から送られているメールが、迷惑メールや有害メールとして数多く報告されているか
- 突発的に大量のメールを配信していないか
- メールのサイズや添付ファイルサイズが適正でないか
- 送信メールの開封率や本文に記載されたURLのクリック率が極端に低くないか
これらが確認されると、IPレピュテーションの数値が悪くなります。
このうちスパムトラップとは文字通り、迷惑メールの配信元にしかけられた罠のようなものです。ISPなどは迷惑メールを大量に送信する配信元を特定する目的で、使われていないメールアドレスをスパムトラップとして利用します。
使われていないわけですから、悪意のない配信元であればそのメールアドレス宛にメールを送信することは基本的にありません。スパムトラップ宛にメールを送信してくるのは、迷惑メール配信業者と想定できるわけです。
IPレピュテーションが悪いIPアドレスから送られたメールは、受信拒否されたり迷惑メールと判定されたりする可能性が高くなります。そのためメールマガジンを運用する際は、IPレピュテーションを気にする必要があるのです。
自社IPアドレスのIPレピュテーションについては、いくつかのWebサイトで確認できます。米サイバーセキュリティ企業「Return Path社」が運用する、以下Webサイトもその1つです。
Sender Score – Email Marketing Education and Free Tools
上記Webサイトでは会社名やメールアドレス、IPアドレスなどの簡単な入力でIPレピュテーションをチェックできます。
送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されている
送信先が送信元IPアドレス・ドメインをブラックリストに登録していることから、メールが宛先へ届かなくなっている可能性があります。多くのブラックリストに登録されることで、結果的にメール到達率が悪くなる可能性があるのです。
ブラックリストは送信先の任意で運用されます。送信先のメールアドレスごとに、別々のブラックリストを運用していることも少なくありません。送信先は、「迷惑メールが多く配信されている」などの理由で、対象のIPアドレス・ドメインをブラックリストに登録するのです。
メールの内容やサイズなどに問題がある
メールの内容やサイズに問題があり、メール到達率が下がっているケースも少なくありません。
たとえばメール本文に、迷惑メールによくあるようなキーワードがたくさん含まれていると迷惑メールと判定されやすくなってしまいます。その結果、メール到達率が下がる原因となるのです。
またメールのサイズが大き過ぎることで、以下のような問題が生じることがあります。
- 送受信中にエラーとなりメールが送れない
- 送信先のメールスプールが満杯に近く、容量の大きなメールを受け付けられなくなっている
- 画像サイズが大き過ぎると迷惑メールと判定されやすくなる
こういった問題を避けるためにも、メールのサイズはできるだけ抑えることをおすすめします。容量の大きなファイルを相手へ送る場合、圧縮するかファイル送信サービスを使った方が無難です。
迷惑メールと判定されやすいメールを送っている
迷惑メールと判定されやすいメールを送っていることで、メール到達率が下がることがあります。以下、迷惑メールと判定されやすくなる例をみていきましょう。
送信ドメイン認証が設定されていない
昨今ではメールドメインのなりすまし対策として、送信元ドメインの信頼性を高める送信ドメイン認証が設定されることが多くなっています。逆に言うと、送信ドメイン認証が設定されていないことで、迷惑メールと判定される可能性が高まるのです。
短い時間内に大量のメールを配信している
短い時間内に大量のメールを配信すると、迷惑メールと判定されやすくなってしまいます。一度に大量のメールを送信しない、メールの配信速度を調整するなどの工夫が必要です。
正しいリダイレクト先が設定されていない
メール本文内に表示されているURLと、そのURLをクリックした際に表示されるWEBサイトのURLが異なると、迷惑メールと判定されやすくなります。そのため、この2つは同じにすることが推奨されるのです。
記号を多用し本文を装飾している
記号を多用し本文を装飾することで、迷惑メールと判定されやすくなることがあります。そのため、このような装飾は避けた方がよいでしょう。
メール到達率を改善する対策
メール到達率は、基本的な対策をすることによって改善が可能です。ここではメール到達率を改善するためにおこなわれる、主な対策を解説します。
配信エラーとなる送信メールアドレスをリストから削除
無効なメールアドレスをリストに残したまま、配信エラーの数が増えると迷惑メールと判定される可能性が高まります。リストのなかに無効なメールアドレスが含まれていれば、その分だけメール到達率も下がることにもなるのです。リストは定期的に見直し、配信エラーとなる送信メールアドレスを削除する必要があります。
送信ドメイン認証をおこなう
送信ドメイン認証とは簡単に言うと、送信元メールアドレスのドメイン部分が詐称されていないかを判定するための技術です。
迷惑メールでは、送信元メールアドレスをなりすますことが多くなっています。有名な企業のメールアドレスを騙ることで、受信者に信頼させ開封を促すのです。
送信ドメイン認証を設定することによって、受信側は「メールアドレスがなりすまされていない」と判断できるようになります。その結果、迷惑メールと判定されづらくなるわけです。
送信ドメイン認証の仕組みや詳細については、以下記事で紹介しているので興味があれば参照ください。
【図解】DKIMとは?SPFとの違い、最新のDMARCも!なりすましメール対策の仕組みを解説
個人・企業を問わず、送信元を詐称されたメールによる被害が後を絶ちません。中でも企業を対象とした攻撃の事例では、その被害額が甚大になることもあります。この攻撃を対策するためには、DKIM(ディーキム)やSPF(エスピーエフ)・DMARC(ディーマーク)といった送信ドメイン認証による対策が不可欠です。この記事ではDKIMとは何かや、古くからあるSPF、最新のDMARCとの違いについて解説します。 Pi…
同じIPアドレスからの大量送信は避ける
同じIPアドレスから大量送信を繰り返すことで、迷惑メールの送信業者と認識されやすくなってしまいます。その結果、そのIPアドレスから送信されたメールが、迷惑メールと判定されやすくなってしまうのです。
同じIPアドレスから一度に大量の配信をしないか、複数のIPアドレスから分散してメール送信をすることが推奨されます。
相手に迷惑と思われないようなメールを配信することを心掛ける
相手に迷惑メールと思われないようなメールを配信することも、メール到達率をあげるためには重要です。具体的な対策の例としては、以下があげられます。
意図せずメールマガジンなどが送信される仕組みを改善する
たとえば商品購入時に、「メールマガジンを購読する」にチェックが入ったままになっていることがあります。このような場合、ユーザーは意図せずそのメールマガジンを受信することになる可能性が高いのです。メールをユーザーに配信する際はこういった設定を避ける必要があります。
露骨な勧誘など、迷惑メールとみなされやすいメールの送信は避ける
たとえば「リスクなしでお金を稼げます」「●●まで初期費用が完全無料」といったような露骨な勧誘をメールでおこなうのは避けるべきです。これら迷惑メールとみなされやすいキーワードを多く含むと、そのメールも迷惑メールと判定されやすくなります。
配信の頻度が高過ぎる
いくらユーザーにとって興味のある内容でも、配信の頻度が高過ぎるとユーザーに迷惑と思われかねません。ユーザーに嫌がられない頻度での送信を心がけることが重要です。またメールマガジンの配信設定欄には、配信頻度を掲載しておくとよりユーザーから信頼されやすくなります。
メールアドレスのリストは購入しない
メールマガジンの配信数を増やす目的で、有料のメールアドレスリストが購入されることがあります。しかし、こういったリストの購入は避けるべきです。
そのリストに掲載されたメールアドレスの持ち主が、メールマガジンを読みたいとは限りません。また有料のメールアドレスリストには、前述したスパムトラップが含まれていることも少なくないのです。スパムトラップや希望しないユーザー宛にメールマガジンを配信することで、迷惑メールと判定される可能性が高くなります。
メール配信の停止方法をわかりやすく明記する
メールマガジンの配信停止方法は、できるだけわかりやすく明記することが求められます。
メールマガジンの配信解除方法が分からず、不本意ながら購読を続けている例も少なくありません。その結果、そのメールマガジンが迷惑メール報告されてしまうケースもあるのです。
メールマガジンの配信解除方法は、メール本文内に誰がみてもわかるように記載しておくことが推奨されます。また、メール本文内のリンクからログインなしですぐ配信解除できるようにするなど、設定の手間をなくす工夫も有効です。
ダブルオプトインの仕組みを導入する
メールマガジンが迷惑メールと判定されないようにするには、ダブルオプトインの仕組みを導入するのも有効です。
ダブルオプトインとは、メールマガジン購読の申し込みを二段階にすることで、意図しない購読を確実に防ぐ方法を指します。具体的な例は、以下のとおりです。
- Webサイトで「メールマガジンを購読する」のチェックをして、会員登録や商品購入をすませる。※この段階では仮登録の状態で、メールマガジンは配信されない
- ユーザー宛に届いたメール本文内のリンクをクリックすると正式登録となり、メールマガジンが配信される
上記のうち①のみをおこなう一般的なメールマガジンに比べ、ダブルオプトインはユーザーの購読意思を確実に問うことができます。その結果、迷惑メール報告されてしまうリスクも軽減されるわけです。
まとめ
メール到達率とは、メールの配信において送信したメールが送信先メールアドレスの受信ボックスまで届いた割合です。メール到達率の目安は90%~95%とされ、それより低い場合は改善が求められます。
まずは、メール到達率が悪化する主な原因を見直し、必要な対策をおこないましょう。具体的には、リストから無効なメールアドレスを削除したり、送信ドメイン認証を設定したりといった対策を実行します。きちんと対策をおこなうことで、メール到達率を改善できるでしょう。
KAGOYAのメールプランにはメールサーバー1台を専有できるだけではなく、ビジネス利用には必須となっているSPF/DKIM/DMARCがすべてコンパネから簡単設定が可能なタイプを取り揃えています。
さらにメールアドレス数は無制限で高い法人利用率をほこる高コスパなプランとなっています。