
添付ファイルの送信は、メールサーバーに負担をかけ、ウイルス感染などのリスクも伴います。
相手の安心のためにも、配慮ある送り方を心がけましょう。
ここでは、添付ファイル付きメールを送る際の基本マナーと書き方(例文)、データ容量の目安や容量が大きい場合の対処法、パスワード付き圧縮ファイルの送信(PPAP)について解説しています。
メールで添付ファイルを送る際の基本マナー4つ
メールに添付ファイルを付けて送る場合は、相手に安心してもらえるよう、以下の4点に気を付けましょう。
- マナー①事前にファイル共有の方法を確認する
- マナー②本文で何を添付しているか明記する
- マナー③添付ファイルに関する問い合わせ先を明記する
- マナー④添付ファイルに分かりやすい名前をつける
マナー①事前にファイル共有の方法を確認する
添付ファイルの送付は、受信側のメールサーバーに負担をかけます。また、添付ファイルはウイルスの感染経路となることも多く、企業によってはファイルの共有方法について厳密なルールを設けていることもあります。
だからこそ、メールで添付ファイルを送る前には「どういったファイルを共有したいのか」「送付方法はメールで良いか」「どの形式で送れば良いか」といったことを確認しましょう。
以前は、添付ファイルをパスワード付き圧縮ファイルにして送り、別途パスワードを送付する方法(PPAP)が多くの企業・機関で採用されていました。しかし、現在は他の手段に切り替えるケースが増えています。
パスワード付きの圧縮ファイルを送付すると、相手にパスワードの確認やファイル解凍の手間をかけさせてしまいます。また、添付ファイルとパスワード双方の情報が盗聴されたり、暗号化された添付ファイルがウイルスチェックをすり抜けたりするリスクもあるのです。
PPAPのリスクや課題、代替案については後の章で詳しく解説しています。
マナー②本文で何を添付しているか明記する
メールで添付ファイルを送る際は、本文でその概要を記載しましょう。概要が書かれていれば、相手も「ウイルスメールでない」と安心できます。
具体的には、以下の4点を記載してください。
- 添付ファイルの内容(「見積書」「請求書」など)
- 添付したファイルの数
- 具体的なファイル名
- ファイル形式(pdfやjpgなどの拡張子)
マナー③添付ファイルに関する問い合わせ先を明記する
万が一添付ファイルを開けなかったり、開いたファイルの内容について不明点があったりした場合のために、添付ファイルに関する問い合わせ先を明記しましょう。
以下に、書き方の例をご紹介します。
- メールの送信者に問い合わせれば良い場合:
「添付の資料につきましてご不明点等ありましたら、本メールにご返信ください。」 - 別の担当者が窓口となる場合:
「添付の資料につきましてご不明点等ありましたら、下記担当までご連絡ください。」(部署や電話番号、連絡先などを記載)
マナー④添付ファイルに分かりやすい名前をつける
添付ファイルは、相手側の社内で別の部署や担当者に回されることも多いです。だからこそ、誰が見ても分かりやすいファイル名にする必要があります。
具体的には、以下の2点を押さえるようにしましょう。
- 短く分かりやすいファイル名にする
- 日付やバージョンを記載する(例:〇〇請求書_20250201、ご提案書_ver2)
【参考】メールで添付ファイルを送るときの例文
メールで添付ファイルを送る際、本文の書き方に不安がある人は以下の例文を参考にしてください。
件名:【株式会社◯◯】△△に関する見積書の送付
本文:
株式会社□□ □□部
(相手の氏名)様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の(送信者の氏名)です。
先日ご依頼をいただきました△△の見積書を作成いたしました。
pdfファイルとして本メールに添付しておりますので、ご確認をお願いいたします。
添付ファイル名:△△請求書_20250201.pdf
ご不明点等ございましたら、本メールへの返信にてお気軽にお問い合わせください。
何卒よろしくお願いいたします。
―――――――――――――――――
株式会社〇〇 〇〇部
〇〇 〇〇
TEL:123-456-7890
E-mail:〇〇@〇〇.co.jp
容量が大きい添付ファイルの送り方
ちょっとした文書ファイルであれば、添付ファイルの容量は100~500KB 以内に納まるのが一般的です。しかし、文書ファイルや画像ファイルを複数送る場合、或いは動画ファイルを送る場合は、メールの容量が大きくなってしまいます。
こうしたケースでは、添付の方法に工夫が必要です。以下でメール1通あたりの容量目安を確認するとともに、添付ファイルの容量が大きい場合の送付方法を検討しましょう。
- 【前提】メール1通の容量目安は「2~3MB以下」
- 方法①データを分割して送る
- 方法②ファイルを圧縮して送る
- 方法③ファイル転送サービスを使う
- 方法④クラウドストレージで共有する
【前提】メール1通の容量目安は「2~3MB※ 以下」
そもそもメールは、無限に送受信できるものではありません。メールサーバーごとに定められた容量があり、その限度を超えると送信や受信ができなくなります。
メール1通あたりの容量制限は、フリーメールであれば20~25MBまで対応できるのが一般的です。また、企業のメールサーバーでは、一般に10MB程度を上限としています。
しかし、サーバーやシステムが古い場合は、2~3MBが上限となっていることもあります。そのため、ビジネスメールで添付ファイルを送るときは「容量2~3MB以下」がマナーとされています。
※1MB≒1,024KB程度
方法①データを分割して送る
送付するファイルが複数ある場合や、1つのファイルをいくつかに分解できる場合は、データを分割して1通あたりの容量を小さくして送る方法があります。
ただし、この方法はメール1通あたりのデータ容量を小さくできても、相手のサーバーにかかる総合的な負担は大きいままです。そのため、対処法としてはあまりお勧めしません。
方法②ファイルを圧縮して送る
ファイルの圧縮は、その名の通りデータを圧縮して容量を小さくすることです。特別なソフトをダウンロードしなくても簡単に実行でき、複数のファイルが入ったフォルダをまとめて圧縮することもできます。圧縮形式の種類はいくつかありますが「zip形式」が最も一般的です。
しかし、前章でもご紹介したように、最近はこの圧縮ファイルにパスワードを設定して送る方法(PPAP)を認めない企業が増えています。詳しくは後の章を確認してください。
方法③ファイル転送サービスを使う
ファイル転送サービスとは、ファイルをネット上にアップロードし、そのファイルを転送できるサービスです。送信者がファイル転送サービスにデータをアップロードし、相手にはダウンロードURLとパスワードを伝えます。そして、相手にファイルをダウンロードしてもらう仕組みです。現在、PPAPに代わる手段として普及しています。
なお、ファイル転送サービスは送信側の作業負担が少し多い点がデメリットです。これに対して、KAGOYAのメールプランで採用している「Active! Gate」では、一連の作業を自動化させることができます。
【サービス案内】KAGOYAのメールプランでセキュリティ課題を解決!
方法④クラウドストレージで共有する
メールで送る方法とは異なりますが、ファイルの共有方法としてクラウドストレージを使う手段もあります。
クラウドストレージは、ファイルを複数人で共有できるサービスです。オンライン上のストレージ(データを保存する場所)にファイルをアップロードし、割り当てられたURLを相手に伝えれば、ファイルを共有できます。
クラウドストレージでの共有は、送信者・受信者双方の負担を考えると最も効率的といえます。また、多くの場合は無料で利用が可能です。
ただし、ファイルの容量によっては有料のサービスを利用する必要があります。さらに、不正ログインを許せば、ファイル内の情報を盗聴されるかもしれません。
添付ファイルの容量が大きいと、以下のようなことが起こり得ます。
- そもそもメールを送れない(相手に届かない)
- メールの送受信に長い時間がかかる
- 相手がそれ以上のメールを受信できなくなる
1通あたりのメール容量が大きすぎると、まず相手に送れない可能性があります。この場合は「maximum message size」などと記載されたメールが返ってくるのが一般的です。
また、先ほどご紹介したように、サーバー容量が限界を超えると、相手はそれ以上のメールを受信できなくなってしまいます。
メールが届かない原因と対策については、以下の記事で分かりやすくご紹介しています。併せて参考にしてください。

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知っておくべき「PPAP」のリスクや課題
以前は多くの企業や機関で採用されていたPPAP。しかし、現在はこの送付方法に複数のリスクや課題があると考えられ、脱PPAPの動きが進んでいます。
内閣府や内閣官房も、2020年11月に脱PPAPを宣言しています。
PPAPとは何か

PPAPとは、パスワード付きzipファイルをメールで送信し、そのパスワードを別のメールで送信する手法を指します。PPAPは、以下の頭文字を取ったものです。
- P:Password付きzipファイルを送付
- P:Passwordを送付
- A:Angoka(暗号化)
- P:Protocol(プロトコル)
過去には「万が一添付ファイルが盗聴されても、パスワードを別で送っていれば安心」という考えがあり、添付ファイルの送付手段としてPPAPが推奨されていました。
PPAPに潜むリスクや課題
実は、PPAPには以下のようなリスク・課題があります。特に、セキュリティ面のリスクは企業において見逃せない問題です。
- パスワードを記載したメールも含めて盗聴される可能性がある
- 脆弱なパスワード設定でパスワードを突破される可能性がある
- 添付ファイルがセキュリティチェックをすり抜ける可能性がある
- メールの送信者にも受信者にも手間がかかる
- 相手の端末次第でファイルの解凍ができない
一般に、PPAPでは添付ファイル付きのメールとパスワードを知らせるメールが同じ経路で送信されます。そのため、通信経路自体が攻撃を受けると両方のメールを盗聴される可能性が高いです。また、たとえパスワードを記載したメールが盗聴されなくても、簡単なパスワードであれば突破されてしまいます。
さらに、圧縮ファイルはウイルス感染のリスクもあります。メールの添付ファイルはウイルスチェックをかけられるのが一般的ですが、パスワード付きzipファイルはこのチェックをすり抜けることが少なくありません。
圧縮ファイルの解凍に関しては、相手がスマートフォンやタブレットで受信すると、解凍できない場合があります。
正しいPPAPの代替案とは
PPAP以外の方法で添付ファイルを送る手段としては、たとえば添付ファイルとパスワードを別ルートで送ったり、前述のファイル転送サービスを使ったりする方法があります。また、クラウドストレージによるファイル共有も一つの選択肢です。
以下の記事では、脱PPAPに関する最新動向やおすすめの代替案、危険な代替案などをご紹介しています。

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相手があるからこそセキュリティ対策の徹底を
添付ファイル付きメールの送付は、相手のメールサーバーに負担をかけるだけでなく、ウイルス感染などのリスクも伴います。だからこそ、マナーやデータ容量について気を付けるとともに、セキュリティ面の対策も徹底して行うことが重要です。
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