世の中にはビジネス用途で利用できるチャットサービスが多数存在しています。
一見するとどのビジネスチャットも同じように見えますので、どのようにして選べば良いのか悩んでしまったり、安直に人気の高さで選んだら用途と噛み合わずに失敗してしまうというケースもあります。
そこでこの記事では、ビジネスチャットの選び方や選ぶ上で抑えておくべき重要なポイントなどをご紹介します。
目次
ビジネスチャットの機能一覧
まずは、ビジネスチャットにはどのような機能があるのかを把握する必要があります。
ここを把握できていないと、そもそも何ができるツールなのか分からないまま選ぶことになりますので、失敗の原因となります。
そこで初めにビジネスチャットにある機能を一覧でご紹介します。
機能名 | 内容 |
---|---|
チャット | 最も重要な機能であるチャット機能。 当然ビジネスチャットでも、このチャット機能は搭載されています。 |
グループチャット | チャットの中でも1対1ではなく、複数人でメッセージやデータのやり取りができるグループチャット機能があります。 特にビジネスシーンでは、プロジェクトごとにルーム(チャネル)を作成する機会が多いため、ビジネスチャットとしては必須の機能と言えます。 |
音声通話 /ビデオ通話 | 一部のビジネスチャットには、音声通話やビデオ通話の機能が備わっています。 特にビデオ通話は画面に資料を表示させながら説明できるため、こちらもビジネスシーンでは重宝されています。 |
ビデオ会議 (テレビ会議) | ビジネスチャットの中には、ビデオ会議の機能を使ってWeb会議を開催できます。 こちらもビデオ通話と同様に、資料を画面共有しながら会議を進めることが可能。 この機能をオンラインセミナーなどに活用させるなど、用途を広げることもできます。 |
スタンプ機能 | ビジネスチャットでは、メールとは異なりスタンプなどで手軽にリアクションすることができます。 もちろん使用する際には適切なシーンである必要がありますが、利用可能な状況であればワンクリックで返事をすることができます。 |
データ共有 | 基本的にほとんどのビジネスチャットは暗号化通信が可能な仕様ですので、データ共有も行えます。 データ添付者も一目で分かるため、脱PPAPとしても代用できます。 |
権限管理 (ユーザー管理) | ビジネスチャットでは、ユーザーを手動で追加するだけではなく招待により参加を促すこともできます。 その際に、どこまでの操作が可能かなどの権限付与を管理できる機能があります。 この機能を上手く使いこなすことで、ビジネスチャットを円滑に運用することができるようになります。 |
スマホ利用可能 | ほとんどのビジネスチャットは業務用PCからだけではなく、スマホからも操作することが可能です。 一部のビジネスチャットではアプリとしてAppStoreやGoogleStoreからインストールが可能で、Webブラウザからアクセスできるビジネスチャットも存在します。 |
他ツールと 連携できる | ビジネスチャットの中には他のツールト連携して使用することができる機能が備わっている場合もあります。 具体的にはGitHubだったり他のチャット、GoogleカレンダーやBacklogなどと連携できるチャットがあります。 ただし、この連携機能に関してはビジネスチャットによって大きく変動するため、事前に連携可否の確認は必要になります。 |
事前に確認しておくこと
ビジネスチャットで利用できる機能を一通り確認できましたら、チャットの選定を行う前にいくつかの項目を確認する必要になります。
この確認を行うことで、後に続くビジネスチャットの選定をスムーズに行えるようになります。
目的や用途を明確にする
1つ目の確認事項は、ビジネスチャットを導入する目的や用途は何かということです。
ここを明確にしておかないままビジネスチャットの選定を始めてしまうと、「人気だから」や「無料だから」といった安直な理由で決めてしまいがちになります。
そうなると、本来の目的や用途に適さないビジネスチャットを導入してしまい、結局本来の目的や用途を満たすことができずに業務効率が変わらない、もしくは反対に効率が落ちてしまうといった典型的な導入失敗の道を辿ってしまうことになります。
必要な機能をピックアップしておく
前述でもご紹介の通り、ビジネスチャットには様々な機能がありますが、全てのビジネスチャットが全ての機能を有しているわけではありません。
そのため、ビジネスチャットの選定を行う際には目的や用途に適した機能が備わっているビジネスチャットを選ぶことが重要になります。
そこで、目的・用途を再確認した上でそれに必要な機能を事前にピックアップしておく必要があります。
これを行うことで実際の選定時に一気に選択肢を絞ることができ、ビジネスチャットの選定で失敗してしまうリスクを大幅に下げることができます。
予算を決める
ビジネスチャットの中には無料のものに加えて、有料のものまで存在します。
更に有料プランの中では更に安価なプランから高コストなプランまで非常に選択肢が広いですので、事前にビジネスチャットに対して月々もしくは年間でどれ位の予算を充てることができるのかを確認しておく必要があります。
初めに予算感を把握しておくことで、機能面だけで絞り切れない選択肢の中から更に厳選することができるようになります。
利用するユーザ―数を把握
予算にも関係する項目ではありますが、最終的に社内でどれ位の人数がビジネスチャットを利用することになるのかを確認する必要があります。
多くの場合、ビジネスチャットは利用するユーザー数に対して課金される仕様になっています。
※無料の場合はユーザー数自体がかなり少数に制限されています。
中にはKAGOYA Chatのようにユーザー数に関係なく月額固定費で利用できるサービスもありますが、そういったサービス以外の場合は利用予定のユーザー数、今後利用者が増えた場合のユーザー数を事前に確認しておかなければ、導入後に予想外の出費に膨れ上がる危険性があります。
導入形態を決めておく
ビジネスチャットの導入形態は一つだけではなく、「オンプレミス」と「クラウド」のどちらで導入するのかも事前に確認しておく必要があります。
オンプレミスの場合は社内で管理できる反面、当然ながらサーバーの用意やビジネスチャットの導入、管理・運用まで社内で対応できる従業員がいることが条件となります。
もちろんそれに対する設備費や人件費が発生しますし、障害時には自社内で解決する必要もありますので、導入の難易度はクラウドよりも高くなります。
- 目的や用途
- 必要な機能
- 予算
- 利用するユーザー数
- 導入形態
用途別ビジネスチャットの選び方
ここまでご紹介したビジネスチャットの機能や事前の確認事項を踏まえて、用途別にビジネスチャットの選び方とマッチするサービスをご紹介いたします。
無料であることが絶対条件
ビジネスチャットに対して必要性は感じるがそこに対して捻出できる予算がないという場合には、無料のビジネスチャットであることが最低条件となります。
無料版となると、ユーザー数の制限や過去履歴の自動削除など利便性に乏しいサービスになってはしまいます。
ただ、幸いなことに無料のビジネスチャット自体はいくつか選択肢があるため、ここから最適なサービスを選択することができます。
ビジネスで利用できるチャットサービスの中には無料で利用できるチャットサービスもあります。 もちろん無料ですので、有料版と比較すると劣る部分もありますが、それでもチャットサービスに求める機能など条件次第では無料のビジネスチャットでも十分なケースもあります。 そこで今回は、無料のビジネスチャットの中でも特にオススメできるチャットサービスや注意点などについてご紹介します。 無料と有料のビジネスチャットの…
ユーザー数に関わらず定額で使いたい
ビジネスチャットの導入は検討しているが、利用するユーザー数が50名や200名もしくはそれ以上になる予定で、ユーザー数課金だとどうしてもコストが高くなってしまうという場合には、ユーザー数に関わらず定額で利用できるビジネスチャットを選択することが望ましいです。
特に初めの導入時は50名ほどでスタートするが、その後に社内の別部署でも導入する可能性があったり取引先が多く頻繁に社外ユーザーの招待が発生しうる環境である場合は、月額固定のビジネスチャットが手間も掛からずコスパも良くなります。
>>ユーザー数に関係なく月額固定費で利用できるビジネスチャット
オンプレミスでビジネスチャットを導入したい
クラウド版のビジネスチャットが多い中、社内のオンプレミス環境にビジネスチャットを導入して自社で管理したいというケースもあります。
この場合は当然、クラウド版ではなくオンプレミス型のチャットシステムもしくはオープンソースのものを利用することになります。
この場合に利用できるビジネスチャットとしては、以下の様な選択肢があります。
- RocketChat:オープンソースソフトのウェブチャットサーバ(設定手順)
- ChatLuck:社内外の連絡を一括して行える
- Tocaro:ワークフローやタスクを可視化できる
Googleカレンダーと連携できるビジネスチャット
普段の業務上のスケジュールをGoogleカレンダーで管理されている企業は、このGoogleカレンダーとビジネスチャットの連携を希望されるケースもあります。
その場合は、以下の様なGoogleカレンダーと連携が可能なビジネスチャットが選択肢に入ります。
- Google Chat:名前の通りGoogleが提供するシンプルなチャット
- Chatwork:日本産のチャットサービスで無料・有料どちらも提供
- Slack:世界的に利用されており、カスタマイズ性に富んでいる
- Wowtalk:日本産のチャットサービスで翻訳機能なども搭載
- JANDI:海外でも利用されているチャットサービスで、VWSとの連携も可能
- etc
音声通話/ビデオ通話機能があるビジネスチャット
頻繁に社員間や社外ユーザーと資料を確認しながら通話する機会がある企業の場合、画面共有しながら通話が可能な音声通話やビデオ通話の機能が備わっているビジネスチャットの需要が高まります。
無料版の中にはビデオ通話機能が付いているチャットもありますが、1対1限定だったり通話時間に制限があったりと本格的にビジネスとして活用するには機能不足であるため、基本的には有料のサービスが候補となります。
- KAGOYA Chat:PC、スマホどちらからでもビデオ通話に参加できる
- LINE WORKS:LINEと連携可能でB2C業界で人気
- Workplace:ライブ動画配信にも活用できる
- Teams:世界中で利用されており認知度が高い
- Slack:外部連携やテキストベースの場で真価を発揮する
- Chatwork:無料版ではビデオ通話の制限が大きい
併せてチェックしておきたいポイント
ここまでのご紹介の内容に加えて、最終確認としてチェックしておきたいポイントについてご紹介します。
トライアルの有無
ビジネスチャットの中には、無料でお試しができる無償トライアルなどを実施しているサービスもあります。
仮にテキスト上では希望するビジネスチャットの条件を満たしていても、実際に触ってみたら思っていたのとは違ったというケースもあります。
こういった失敗を避けるためにも、可能な限り無償トライアルを提供しているビジネスチャットから検討の最終確認として活用していく方法が推奨されます。
サポート体制の充実度
ビジネスチャットのほとんどは何かしら問題が発生した時に対応するためにサポート窓口を設置しています。
しかし、そのサポートがメールだけなのか電話も可能なのか、土日でも対応可能かどうかはビジネスチャットの提供元次第でサポート体制が大きく異なります。
仮にビジネスチャットの導入を検討している企業が技術者集団であればその価値は下がりますが、専門家や詳しい社員がいない場合はこのサポート窓口の有無や対応範囲についてはチェックが必要な部分となります。
スマホ対応可能かどうか
ビジネスチャットがスマホ対応かどうかも、最終確認のポイントとしては重要です。
仮にビジネスチャット導入時にはスマホでの利用は検討していなかったが、導入後に外回りをする営業部門の従業員も使いたいとなった場合、スマホ非対応のビジネスチャットを選んでしまっていると使い勝手が悪くなってしまいます。
特に電車移動が多い場合はPCを開ける環境ではないので、スマホで利用できるかどうかは業務効率をあげられるかどうかのラインとなります。
まとめ
ビジネスチャットは様々な機能がありますので、サービスを選ぶ際には機能面などから絞り込むことで時間短縮が可能です。
ただし、方向性が定まっていない状態でいきなり選び始めると、最終的にビジネスチャット選びで失敗してしまう危険がありますので、事前に確認が必要な項目は漏れなくチェックしておく必要があります。
特に有料のビジネスチャットは利用ユーザー数の増減で利用金額も変動するため、予算や手間も含めて総合的に選定していきましょう。