利用中のサーバーなどシステムの設置場所やその管理方法を変更する際、想像以上に負担がかかります。例えば、自組織で開発したソフトウェアを利用して商売をしている場合です。十分なセキュリティを維持する方法や、ソフトウェアのライセンスを適正に移行する方法など不明な点も多いのではないでしょうか。本記事では、それらの課題の整理と解消事例を紹介しています。
目次
「自社サービスをクラウドで提供できるようにしてほしい」と突然指示されても
依頼されたDさんの胸の内を明かせば、大変な思いをして準備し、やっと収益を上げられるようになってきた仕組みを、今になって引っ越しなんか絶対に無理ということに尽きるでしょう。
自社内のサーバー(オンプレミス)からクラウドに移行するには、多くの課題を理解し入念な準備が必要です。それでは経営判断でクラウドへの移行が決定されたら、実務担当者として何を優先して作業を進めればいいのでしょうか。
クラウドは決して全能ではありません。オンプレミスも同様です。絶対に安全な環境はなく、その維持には決して安くはないコストがかかります。想定できないリスクが、どこかに隠れているのではないかと不安になりがちです。
オンプレミスからクラウドへの移転には、目に見えて形のあるものばかりではありません。高価なライセンス料金のかかる複数のソフトウェアとその組み合わせや設定情報も、短時間で一気に引っ越しを完了していなければなりません。
クラウドへの移行について、カゴヤのサーバー研究室では以下のページでまとめています。あわせてご覧ください。
そこでDさんは問題を明らかにするため、上司や社内の関係者にヒアリングをした結果、以下のような3つの課題がわかりました。
【課題1】 コストを抑えてクラウドにサーバーなどを一式移行したい
【課題2】 セキュリティを維持しつつデータの移行を素早く行いたい
【課題3】 無駄のないよう可能な限りライセンスを移行したい
これらの3つを解く手がかりを、Dさんに代わって補足します。ここさえ押さえておけば、自組織の課題を解消する現実的な手段が見つけられるでしょう。これらの注意点をもとに、本記事ではまずは課題を明らかにし、次に解消するための事例をご案内しています。
【Dさんの課題(1)を解く手がかり】 コストを抑えてクラウドにサーバーなどを一式移行したい
コストとは
コストの把握は重要と理解できても、その内訳を明らかにして比較し、意思決定までしなければ意味がありません。クラウドへの移行するとこれまでのコストはなくなりますが、代わりにこれからは以下を負担することになります。
(1) 移行作業を実施する際に発生する費用(1回のみ)
(2) 移行後のクラウド上で運用するための維持費用(今後継続して発生)
一般的には移行時に以下のようなコストが考えられます。移行する内容や規模は利用者により異なり、費用の項目や金額は変動します。
(a) 専門家による事前調査費用
(b) 移行作業に必要な手段の購入費用(移行用の機器やプログラムなど)
(c) 運搬費用(機器の引っ越しなど)
(d) 作業者の人件費(移行元と移行先での各種作業)
上記とは別に、移行作業前には移行先の環境を用意する必要があります。あらかじめ移行先業者と契約し、初期費用や維持費用(月額または年額)の支払いが早い段階で発生します。
コストを抑えるための方法とは
不要なことを実施しなければ「余計なコスト」は発生しませんが、どのように判断すればいいのでしょうか。残念ながら移行の実務内容を知らないと、その判断する術がありません。そのため上記(a)で説明した調査費用の算出を専門家に依頼する際、想定できる作業内容を細かく確認してもらい、ある程度詳細な見積り書を入手しておくことが重要と考えます。
【Dさんの課題(2)を解く手がかり】 セキュリティを維持しつつデータの移行を素早く行いたい
移行作業の目標は、確実で安全に関連作業を実施することです。
作業の確実さとは
当たり前のようですが、「全て」をもれなく移行することです。その対象は、利用しているソフトウェアのプログラム本体や設定ファイルだけではありません。これらのプログラムによって管理されている、商品や顧客などのデータ一式(データベース)も含みます。わずかでも欠けているプログラムを移行すると全体が正しく動作しないように、データベースも元のままの状態で移行しなければ、取り扱う情報の正確さを保つことができません。
安全性の確保とは
移転するデータには顧客の個人情報や自組織の機密情報など、多くの重要な情報が含まれています。そのため自組織の規程にそって、細心の注意を払い移転作業をしなければなりません。個人情報の取り扱いなどでは、関連法規の順守が義務付けられています。一例としてデータの移転時に漏えいしないよう、作業者は決められた手順通りに作業を行い、記録し組織の管理者に報告を行う手順があります。
【Dさんの課題(3)を解く手がかり】 無駄のないよう可能な限りライセンスを移行したい
ソフトウェアの利用はその料金に関わりなく、たとえ無料でもライセンスというルールを守り取り扱いをしなければなりません。ソフトウェア毎にそのルールは異なるため、個別に丁寧に利用条件を調べましょう。
今回のような移転作業では、インストールするサーバーを移転元から移転先に変更が必須になります。現在利用中のライセンスが、移転先でも利用できるかを必ず調査すべきです。ライセンスの移転が一切不可の条件もあるため、注意が必要です。さきほどご説明した「専門家による事前調査費用」算出の際が、精査をするタイミングと考えます。
ソフトウェアのライセンスは、その制作者の権利を保護する目的で料金や利用条件などが細かく決められています。制作者の権利を尊重し、くれぐれも違反のないように慎重に対処しましょう。
カゴヤからの提案(1)コスト削減に効果のある手段の選択
それでは解決策としてカゴヤ・ジャパンの事例をご紹介します。
事情
全体のコスト低減につなげるために、移転先としてどのような業者のサーバーのプランを選択すればいいのでしょうか。大きく分けて2つの選択肢があると考えます。
(1) 超大手の業者が提供する、比較的操作が難しく高価だが機能が豊富なプラン
(2) データセンターを保有するレンタルサーバー業者が提供する、敷居を下げ用途を絞り料金を抑えたプラン
どちらを選択するかは、事業目的やその規模によって異なります。比較的規模の小さいときは、後者が忙しい実務担当者に向いていると痛感しています。
カゴヤの解決策
ベアメタルサーバーの活用
1台のサーバー丸ごと自組織で使える利用形態です。転送量無制限やライセンス持ち込みなど、費用を抑えることができます。標準的な機能に加え、豊富なオプション機能が用意されているため、利用状況にあわせて必要な機能で補強することができます。
月額定額で物理サーバーを専有利用できるFLEX ベアメタルサーバー。クラウドサーバーとのハイブリッド構成が可能で「高い処理能力」と「安定性」に優れています。オンプレミス環境の 再現性が高く、シームレスなクラウド移行による、運用負荷低減が可能です。ライセンス持ち込み可能・キャリアフリー・転送量無制限・高負荷システム対応。
バックアップの仕組みの整備
データのバックアップとその復元作業を一括して管理し障害に備えることは、自組織の事業を継続する手段としても重要です。単にバックアップを取ればいいのではなく、基本的なセキュリティ対策がされているプランを選択しましょう。
カゴヤ・ジャパンには「クラウドバックアップ/Acronis」サービスがあり、データの容量によってメニューを用意しています。
世界No.1アクロニスのクラウドバックアップ、仕組みと魅力を徹底解説
ランサムウェア対策・災害対策などのため、企業においてバックアップの重要性は増していることは言うまでもありません。 しかし、バックアップをとっているもののうまく復元できる自信がない、バックアップ対象が増えて作業が煩雑化してしまっているなど、バックアップに関して課題を抱える企業様は多いのではないでしょうか。 今回は世界150ヵ国でバックアップを含めたサイバープロテクションのソリューションを展開するアク…
カゴヤからの提案(2) 確実で安全な移行作業の実施
事情
移行するデータ量が巨大な場合、インターネット回線経由では転送に時間がかかりすぎることがあります。そもそも重要な情報が含まれるファイルまでこの方法で送付するのは、果たして大丈夫なのでしょうか。
カゴヤの解決策
重要情報が含まれるデータをハードディスク(HDD)などに一旦保存し、作業者自身がその機器をデータセンターに持ち運び、移転作業を続ける方法があります。昔ながらのやり方で一見非効率に見えますが、まさに確実で安全な手段と言えるでしょう。
カゴヤ・ジャパンでは以下のページで紹介しているように、利用者の目的や用途によりさまざまな提案をしています。個々の作業をより確実で安全に実施する方法に迷ったら、検討してみてはいかがでしょうか。
(まとめ) 複雑で多数の課題から明確な解消方法を実施する
クラウドへの移行を低コスト・確実・安全に実施するために、把握し解消すべき課題は多くあります。忙しい勤務中に、実務担当者が全てを完璧にこなすことは現実的ではありません。課題は特殊で、それぞれが高度で専門的なことが多いからです。自力で関連技術を調べたり、個別に解消方法の導入手続きができることは理想ですが、実際には無理があります。
クラウドへの「移行」作業は、あくまでクラウドでの「運用」に切り替えるための手段であり、一時的な作業にしかすぎません。それでも、まずは移行作業から入念に準備を進めるべきです。利用者にとって、安心して商売を続けることができる基盤を整える時期だからです。
そのためには領域の異なる多くの専門分野を知り、それらを組み合わせ、利用者の課題を解消できる業者に依頼するのが近道と考えます。その際に「セキュリティ」全般の対策が鍵になります。重要なデータを扱う限り、取り得る限りの「情報セキュリティ」対策の経験がある業者に依頼する方が安全と言えるでしょう。
カゴヤ・ジャパンでは、高度で専門的な技術とこれまで実施してきた実例により、利用者の情報セキュリティが維持できるよう提案を続けています。
KAGOYA FLEX
カゴヤ・ジャパンは、自社国内データセンターを基盤に、月額4,400円の低価格からクラウド導入を強力サポート。
VMware ベースの仮想サーバーと物理サーバーの組み合わせで最適なコストバランスをご提案いたします。
回線引き込みや、ライセンスの持ち込みなど柔軟な対応も可能です。