本記事ではクラウドストレージの導入を検討されている方に向けて、その基礎知識やメリット、選び方のポイントをご紹介します。
本記事を読むことで、クラウドストレージの概要を理解し、自社に最適なサービスを選択するための判断材料を得ることができるでしょう。
効率的なデータ管理とコスト削減を実現するために、IT管理者やビジネスオーナーの方々は是非お読みください。
目次
クラウドストレージとは
クラウドストレージは、インターネットを介してデータを保存・管理するサービスです。従来のローカルストレージとは異なり、クラウド上にデータを置くことで、いつでもどこからでもアクセスが可能になります。
その仕組みは、専用のクラウドサーバーにインターネットを使ってファイルを送受信し、ユーザーは必要に応じて手元の端末を使ってファイルの保存、共有、同期を簡単に行えるというものです。
ビジネスにおいては、チームでの情報共有や、リモートワークの促進に欠かせないツールとなっています。データ容量の拡張が容易で、コスト効率も高いため、多くの企業で導入が進んでいます。
オンラインストレージとの違い
クラウドストレージは、しばしば「オンラインストレージ」とも呼ばれます。人によっては企業向けを「クラウドストレージ」、個人向けを「オンラインストレージ」と呼び分けをするケースもあるようですが、実際のところ、両者の間に違いはありません。どちらも同じ意味であり、インターネットを介してデータを保存・共有するサービスを指します。
ファイルサーバーとの違い
クラウドストレージとファイルサーバーとの違いは、クラウドストレージがインターネット上にデータを保管する方法で、ファイルサーバーが社内のサーバーに保管する方法となります。
その為、ファイルサーバーは社内LANやVPN接続が可能な場所からでしかアクセスできず、業務を行える場所も限定されます。その点、クラウドストレージはインターネットに接続できる場所であれば、どこからでもアクセスが可能となります。
クラウドストレージの種類
一口にクラウドストレージといっても、データの保存方法にはいくつかの種類があります。
それぞれ特徴的な仕組みがあり、主に以下の3つが使われています。
ストレージ方式 | 特徴 |
---|---|
ファイル ストレージ方式 | どのフォルダにデータが保存されているかをメタデータに書き込んでデータを保管する方式。NASの保存方法としても一般的。 |
ブロック ストレージ方式 | データをブロックに分解して保管する方式で、読み込み時には分解されているブロックを結合して呼び出します。必要なデータだけにアクセスでき、素早くデータにアクセス可能。 |
オブジェクト ストレージ方式 | データを一律の情報のもとで圧縮も暗号化もされずに保管されているため、巨大なスケールでも素早くアクセスできる特徴があり、クラウドストレージに用いられることが多い方式。 |
クラウドストレージを導入するメリット
クラウドストレージには以下のようなメリットがあります。
- 社内外のどこからでもアクセスできる
- データのバックアップを取らなくていい
- 常に最新の状態にアップデートされる
- 物理ストレージの保守管理が不要
社内外のどこからでもアクセスできる
クラウドストレージを導入する最大のメリットの一つは、社内外のどこからでもデータにアクセスできることです。従来のオンプレミス環境では、社内のネットワークに接続しないとファイルにアクセスできませんでしたが、クラウドストレージなら場所を選びません。
オフィスはもちろん、出張先のホテルや自宅、カフェなど、インターネット環境さえあればどこからでも必要なファイルを閲覧・編集できます。スマートフォンやタブレットからもアクセス可能なため、移動中や急な対応が必要な場合でも素早く情報を確認できます。これにより、業務の効率化やフレキシブルな働き方の実現につながります。
データのバックアップを取らなくていい
クラウドストレージを導入することで、データのバックアップを自分で取る手間が省けます。通常、重要なデータは定期的にバックアップを取る必要がありますが、クラウドストレージではサービス提供者が自動的にバックアップを行ってくれます。これにより、ハードディスクの故障やデータの消失といったリスクから解放されるのです。
また、会社がある場所から離れた場所にデータが保存されるため、万が一の災害時でもデータを失う可能性が低減されます。さらに、過去のバージョンの復元も可能なサービスが多いため、誤ってファイルを上書きしてしまった場合でも簡単に元に戻すことができます。このように、クラウドストレージを利用することで、データ管理の負担が大幅に軽減されるのです。
常に最新の状態にアップデートされる
クラウドストレージを導入するメリットの1つに、ストレージの機能が常に最新の状態にアップデートされることが挙げられます。これは、クラウドプロバイダーが継続的にサービスを改善し、新機能を追加することで、ユーザーは常に最新のストレージ技術の恩恵を受けられることを意味します。
これらの更新は、ユーザー側で特別な操作を行うことなく自動的に適用されるため、常に最新かつ最適化されたストレージ環境を利用できます。結果として、データの管理や活用がより効率的になり、ビジネスの生産性向上にもつながるのです。
物理ストレージの保守管理が不要
クラウドストレージを導入することで、物理的なストレージ機器の保守管理から解放されます。従来のオンプレミス環境では、サーバーやハードディスクの定期的なメンテナンス、故障時の交換、容量不足時の増設など、様々な管理作業が必要でした。
しかし、クラウドストレージではこれらの作業をサービス提供者が行うため、企業は本来の業務に集中できます。また、ハードウェアの寿命や故障のリスクを考慮する必要がなく、データの安全性も向上します。さらに、物理的なスペースの確保や電力コストの削減にもつながり、総合的なコスト削減効果も期待できます。
クラウドストレージのデメリット・注意点
クラウドストレージにはメリットだけでなくデメリットや注意点も存在します。例えば以下のような点が挙げられます。
- 万全なセキュリティ対策が必要
- 安定した通信環境が必要
ここからは各デメリットについて詳しく解説します。
万全なセキュリティ対策が必要
クラウドストレージを導入する際、最も重要な注意点の一つが万全なセキュリティ対策です。クラウド上にデータを保存し、アクセスにはインターネットを経由するため、なりすましや不正アクセス、マルウェア、データ漏洩などのリスクが高まります。そのため、強固なパスワード設定や多要素認証の導入が不可欠です。
また、データの暗号化やアクセス権限の厳密な管理も重要です。さらに、定期的なセキュリティ監査やログ分析を行い、不審な活動を早期に検知する体制を整えることが求められます。従業員への教育も欠かせません。フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングなどの脅威に対する意識を高め、適切な利用方法を徹底することで、人的ミスによるセキュリティリスクも最小限に抑えられます。
安定した通信環境が必要
クラウドストレージを利用する際、安定した通信環境の確保は非常に重要です。インターネット接続が不安定だと、ファイルのアップロードやダウンロードに時間がかかったり、作業が中断されたりする可能性があります。特に大容量のファイルを扱う場合や、複数のユーザーが同時にアクセスする環境では、安定した高速回線が不可欠です。
対策として、有線LANの利用や、高速・大容量の通信プランへの切り替えを検討しましょう。また、モバイル環境での利用を想定している場合は、通信速度や電波の届きやすさも考慮に入れる必要があります。さらに、通信障害に備えてオフライン作業機能があるサービスを選ぶことも一案です。
クラウドストレージの選び方のポイント
クラウドストレージのサービスを選ぶ際には以下のポイントに注意しましょう。
- 個人向けか法人向けか
- データ容量は十分か
- 必要な機能が揃っているか
- コストが予算内におさまるか
- インターフェイスは使いやすいか
- スマートフォン等に対応しているか
- セキュリティは整備されているか
- 保存するファイルが暗号化されるか
各ポイントについて詳しく解説します。
個人向けか法人向けか
クラウドストレージを選ぶ際、個人向けか法人向けかを確認することは非常に重要です。個人向けサービスは使いやすさや低コストが特徴ですが、法人で使おうとすると機能面で物足りない場合があります。法人向けはセキュリティや管理機能が充実していることが多いです。
まずは利用規約やセキュリティポリシーを確認し、ビジネス利用が許可されているか、データの所有権や機密保持について明確に定められているかを確認しましょう。
また、ユーザー管理や権限設定、監査ログなどの機能が必要な場合は法人向けサービスを選ぶべきです。特に注意すべきは、セキュリティやガバナンスの面です。個人向けサービスをビジネスで使用すると、データ漏洩や法的リスクが高まる可能性があります。用途や規模に応じて適切なサービスを選択しましょう。
データ容量は十分か
クラウドストレージを選ぶ際、データ容量が十分かどうかは非常に重要なポイントです。まず、現在使用しているデータ量を把握し、将来的な増加も見込んで必要な容量を見積もりましょう。多くのサービスは段階的に容量を増やせるので、初期は控えめに設定し、必要に応じて拡張するのも一案です。
ただし、容量が不足すると業務に支障をきたす可能性があるため、余裕を持った初期設定が望ましいでしょう。また、一部のサービスでは無制限プランも提供されていますが、コストとのバランスを考慮する必要があります。特に大容量のファイルを扱う業種では、アップロード制限にも注意が必要です。十分な容量を確保することで、効率的なデータ管理が可能になります。
必要な機能が揃っているか
クラウドストレージを選ぶ際には、必要な機能が揃っているかを慎重に確認することが重要です。業務でよく使う機能と言えば例えば以下のような機能があります。
- ファイルの共有や同期
- バージョン管理
- 検索
- アクセス権限の設定
- ファイル暗号化
- 共同編集
- ワークフロー管理
- タスク、スケジュール管理
- 他のビジネスツールとの連携
- 法令への対応(電子帳簿保存法など)
- APIの提供
もしこれらの機能が必要な場合は、導入前に確認が必要です。特に注意すべき点は、将来的な拡張性です。ビジネスの成長に合わせて、これらの機能を途中から追加できるのかどうかも考慮に入れてください。
コストが予算内におさまるか
クラウドストレージを選ぶ際、コストが予算内におさまるかを確認することは非常に重要です。まず、月額や年額の基本料金を確認し、必要なストレージ容量に応じた料金プランを選びましょう。また、追加料金が発生する条件や、データ転送量に応じた課金がないかも確認が必要です。長期契約による割引や、ユーザー数に応じた料金体系も考慮しましょう。
さらに、将来的な拡張性も視野に入れ、容量増加時のコスト変動も把握しておくことが大切です。特に注意すべきは、隠れたコストや予期せぬ追加料金です。利用規約をよく読み、サポート費用やバックアップ、セキュリティ機能などの付加サービスにかかる費用も含めて総合的に判断しましょう。
インターフェイスは使いやすいか
クラウドストレージを選ぶ際、インターフェイスの使いやすさは非常に重要です。直感的に操作できるか、ファイルの整理や検索が容易かどうかを確認しましょう。多くのサービスは無料トライアル期間を設けているので、実際に使ってみることをおすすめします。
特に、ドラッグ&ドロップでのファイルアップロード、フォルダ構造の分かりやすさ、共有設定の簡便さなどに注目してください。また、デスクトップアプリケーションの有無や、ウェブブラウザでの操作性も確認しましょう。使いづらいインターフェイスは作業効率を下げ、ストレスの原因にもなるため、自分や組織のニーズに合った使いやすいものを選ぶことが大切です。
スマートフォン等に対応しているか
クラウドストレージを選ぶ際、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスへの対応は非常に重要です。外出先や移動中でもファイルにアクセスできるかどうかが、利便性を大きく左右するからです。確認すべきポイントとしては、まずiOSやAndroidなど主要なOSに対応したアプリが提供されているかどうかです。
さらに、アプリの機能性や使いやすさも重要です。ファイルの閲覧だけでなく、編集や共有が可能か、オフライン時のアクセスはどうかなども確認しましょう。特に注意すべきは、モバイルデバイスでのセキュリティ対策です。データの暗号化やリモートワイプ機能など、紛失時のリスク対策が整っているかを必ず確認してください。
セキュリティは整備されているか
クラウドストレージを選ぶ際、セキュリティの整備状況を確認することは非常に重要です。まず、データの暗号化方式や強度を確認しましょう。転送中と保存時の両方で暗号化されているかどうかが重要なポイントです。
次に、アクセス制御機能を確認します。多要素認証やIPアドレス制限など、不正アクセスを防ぐ仕組みが整っているかを確認してください。また、データセンターの物理的なセキュリティ対策や、定期的なセキュリティ監査の実施状況も重要な判断材料となります。
さらに、プロバイダーのコンプライアンス対応状況や、セキュリティインシデント発生時の対応体制についても確認が必要です。特に注意すべき点として、自社のセキュリティポリシーとの整合性を確認することを忘れないでください。
保存するファイルが暗号化されるか
クラウドストレージを選ぶ際、保存するファイルが暗号化されるかどうかは非常に重要なポイントです。暗号化されていないデータは、第三者に容易に読み取られる可能性があるため、セキュリティリスクが高くなります。確認すべき点として、転送中と保存中の両方でデータが暗号化されているかを確認しましょう。具体的には、SSL/TLS暗号化やAES-256ビット暗号化などの強力な暗号化方式が採用されているかをチェックします。
また、暗号化キーの管理方法も重要です。ユーザー自身がキーを管理できるゼロ知識暗号化を提供しているサービスであれば、より高いセキュリティが期待できます。特に機密性の高いデータを扱う場合は、これらの暗号化機能が充実しているクラウドストレージを選択することが大切です。
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