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FileMakerのクラウド運用~種類&選び方を徹底解説~

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FileMakerの活用

FileMakerとはプログラミングの知識なしで、データベースを活用した高品質なシステムを構築できるプラットフォームです。FileMakerを使うことにより、初心者の方でも機能豊富な社内システムを構築できます。

多くの企業がDX化を目指し古くなった自社システムの刷新を目指すなか、そのソリューションとしてFileMakerが注目されている状況です。またすでにFileMakerを利用している企業では、コスト削減や運用負担の軽減を目的としてクラウド化を目指すケースも少なくありません。

そこで今回はFileMakerのプロフェッショナルである未来Switch様に、FileMakerの魅力やクラウド運用の方法、クラウド化に必要なサービスの選び方を伺いました。

専門家に聞くーFileMakerとは? FileMakerの魅力とは?

─まずは未来Switch様の事業内容をお聞かせください。

未来Switch 片岡 様:

弊社は2015年2月に創業した開発会社で、FileMakerを使ったオーダーメイドシステムの開発が専門です。一般の開発会社は、いろいろな言語を使って開発するケースが多いと思います。しかし弊社の場合は、9分9厘ぐらいFileMakerを使ってシステムを開発・納品するというスタイルを続けている次第です。

また受注開発以外にも、FileMakerを使いインハウスでシステム開発されている技術者さん向けのコンサルや、FileMakerに関わる教育事業も行っています。それから、あまりFileMakerらしくはないのですが、パッケージとして販売するといったこともさせていただいている状況です。簡単に言うと、事業内容はこのような感じですね。

─ありがとうございます。FileMakerに関し受注開発を中心として、幅広い事業を展開されているのですね。次に片岡様のポジションや担当されている業務内容についてお聞かせいただけますか。

片岡 様:

わたしは未来Switchの代表を務めております。ただ小さい会社ですので、基本的に代表職というより、プレーヤーとして開発もしますし営業もします。

この業界では代表だから代表の仕事をしているという方は少なくて、現場でプレーヤーとして働いている方が多いのではないでしょうか。わたしも、いまだにずっとばりばり働いて開発をしています。

FileMakerを解説
未来Switch 代表取締役 片岡 達博 氏

FileMakerと出会ったときの衝撃

─片岡様は、以前在籍されていた会社でFileMakerに出会ったと伺っています。そのときのことをお話いただけますか。

片岡 様:

はい。もともとはゲーム開発をしていたのですが、システム関連の仕事をしたいと考えVB系プログラムがメインの会社へ転職しました。そこの社長さんから、「今後、規模や費用を抑えた開発が流行るだろうからFileMakerをやってみろ」と言われたのが、出会ったきっかけです。ビジネスの現場において、ローコード※という言葉もおそらくない時期でした。

ローコード

プログラム言語の記述をほとんど必要としないシステム開発の手法、またはその作業が行えるプラットフォーム。

─社長さんの先見性があったのですね。

片岡 様:

そうですね。その会社は今もFileMakerのプラチナ企業として活躍されています。そこでFileMakerに魅了されました。

─FileMakerのどんな点に魅力を感じたのでしょうか。

片岡 様: ゲーム開発をしていたときは、何十人もの担当者が関わって開発を行っていました。一方、FileMakerを使えばデザインからプログラム、データベース構築まで、基本的に全部1人で行えるんです。そういった意味では、FileMakerはシステム開発における究極のツールだと思いますね。

FileMakerとは?FileMakerをお客様におすすめする理由とは?

─ここからはFileMakerとはどんなものか、どういった特徴があるソフトウェアか伺っていきたいと思います。一般ユーザーの方でも、FileMakerを使ってシステム開発ができるものでしょうか。

片岡 様:

もちろん、一般ユーザーの方でも1人でシステムを作ることができます。

─初心者の方でも、GUIで開発に必要な操作を全て行えるのですか?

片岡 様:

はい、基本的にGUIで操作できます。黒いDOS画面をみる必要はないですね。

基本的に画面を見てビジュアルをイメージしながら、逆算してスクリプトを作ったりとか、画面のレイアウトや推移を作ったりできます。このようにイメージからシステム開発に入れるのは、FileMakerの魅力ですね。

─FileMakerは、特に「この業種でよく使われる」といった傾向はあるのでしょうか。

片岡 様:

そうですね。FileMakerは、もともとMacのパーソナルデータベースとして開発されたこともあり (現在ではWindows・Linuxなどでも利用可能) 、Macユーザーが使っていました。たとえば当時はお医者さんがMacを使っていらして、独自のカルテや診療記録用のシステムを作っていらしたということはあります。

しかし現状は医療に限らずどの業種でも、FileMakerで必要なソリューションを作ることが可能です。逆にFileMakerを活用できない業種というのはないですね。

FileMakerの種類

─FileMakerについて調べてみて、いろいろな種類があるのが分かりました。初めて扱う方は、これら種類の違いが分かり辛いと思うので、簡単に解説いただけますでしょうか。

片岡 様:

はい。まずクライアント向けのソフトウェアとして「File Maker Pro」という種類がありまして、これはパソコンにインストールして使います。File Maker Proのすごいところは、これ単体として、またオフラインでも使える点ですね。

次にFileMaker Serverを使えば、たくさんの人とFileMakerのデータベースやシステムを共有できるようになります

─FileMaker ProとFileMaker Serverが最も基本的な製品ということですね。他にも種類がありますか?

片岡 様:

FileMakerで作成したシステムをウェブ公開できるようにする「FileMaker WebDirect」があります。それからFileMaker Proで作成したソリューションを、iOSやiPadで持ち運べるようにする「FileMaker Go」という製品がありますね。

他にも、いろいろな製品がありますが、基本的な種類はこんなところです。

【FileMaker製品の主な種類】

FileMakerを使った製品
FileMaker ProFileMakerのクライアントソフト。オフラインや単体での利用が可能。
FileMaker ServerFileMakerで作ったシステムを、いろいろな人と共有するのに必要となる製品。
FileMaker WebDirectFileMakerで作ったシステムを、Webブラウザ上で使えるようにするための製品。
FileMaker GoFileMakerで作ったシステムを、iPadやiPhoneで使えるようにするための製品。

競合製品との違い/棲み分け

─FileMakerと同じように、ローコードでシステムを作れるソリューションは存在すると思います。それら製品とFileMakerの比較や違いについて伺えますか? たとえばサイボウズ社のkintone(キントーン)と比較されることは多いと思いますがいかがでしょうか。

片岡 様:

確かにkintoneとはよく比較されますね。ただ以前はライバル的な存在だと考えていたのですが、最近では「そうでもないな」と感じているのが正直なところです。

─それはどうしてでしょうか。

片岡 様:

kintoneの方が、フットワーク軽くいろいろなシステムを作れるという面があります。一方、kintoneで開発を進めていったあとで、より高度なシステムを作りたいというときに、FileMakerを選んでいただくお客様もいらっしゃいますね。まずkintoneでシステム作りの感触をつかんでから、FileMakerへお乗り換えになるわけです。

ですから、kintoneもFileMakerもそれぞれニーズの異なる選択肢の1つだと考えています。そういった意味では、「ここまではkintone、ここからはFileMaker」という棲み分けができるなと思っていますね。

─FileMakerはシステムを構築するにあたって、できることの幅が広いということでしょうか。

片岡 様:

はい。kintoneに限らずいろいろなサービス・製品を試してみて、お客様のニーズにあわずFileMakerにたどり着いていただけるというお客様の事例は多いです。

FileMakerの利用事例

─FileMakerを使ったシステム開発の事例で、特徴的なものがあればご紹介いただけますか?

片岡 様:

そうですね、最近「これはすごいな」と思ったのは、石油プラントで利用されている事例です。石油プラントの機材は、油圧など基本的なパラメーターを点検する必要があります。この点検に、FileMakerが使われていたんですね。

この事例のどこが興味深いかというと、石油プラントの機材がある場所はWiFiなどの環境がなく、全てオフラインで行う必要があるという点です。この事例ではFileMaker Goを利用し、必要な点検データをまずiPhoneで取得しておきます。その上で、現地でiPhoneを使って点検を行い、事務所に帰ってからデータとサーバーを同期させるわけです。

こういった仕組みは他のツールやソフトでも実現できるとは思います。けれどFileMakerの場合、スタンドアロンで動かせたりとかいろいろな人と共有したりとか、様々な使い方が可能なのです。

─それだけFileMakerは、いろいろなお客様のニーズを実現できるということですね。

片岡 様:

はい、その通りです。同じようにFileMakerを在宅医療の現場で使っている事例もありますね。訪問先のおじいさん・おばあさんのお宅は、インターネットにつながらないなど制約があります。そこで石油プラントの事例と同様の仕組みが使えるわけです。

現地でiPhoneを使って点検を行い、事務所に帰ってからデータとサーバーを同期させる

FileMakerをクラウド化する方法の種類や選び方

─つづきまして、FileMakerのクラウド化について、いろいろとお話を伺っていきたいと思います。

片岡 様:

かしこまりました。

クラウド化を希望する企業が増えている背景

─FileMakerをクラウド化したいというニーズは、従来からあるのでしょうか。

片岡 様:

はい。以前は東北の震災に関連して、「オンプレミスにサーバーを設置すると、水に浸かって使えなくなるね」と心配されるお客様がいました。そういった背景があって、クラウド化を目指すわけです。一方、今ではそれとは異なる理由でクラウド化を検討するお客様が増えていますね。

─一般的にクラウドを利用することで、オンプレミスなどに比べコストを削減できる上に、サーバー運用の負担も軽減されます。FileMakerを使うお客様も、そのような理由でクラウド化を検討されているのでしょうか。

片岡 様:

そうですね。あとは世間的にクラウドへ移行する流れが強まっていて、今では社内サーバーを外部に預けるというのが一般的になった点も大きいと思います。なかでもFileMakerのお客様はオフィスの外で利用したいという要望が強く、その結果としてクラウド化を目指す方が多い印象です。

クラウド化する選択肢2つ

─FileMakerをクラウド化するためには、どんな方法がありますか。

片岡 様:

1つ目はFileMaker Cloudというサービスを使う方法です。

─それはどういったサービスでしょうか

片岡 様:

簡単に言うと、FileMaker Serverをクラウド化しパッケージ化して、提供しているサービスです。FileMaker Cloudを使えばFileMakerの利用やクラウド化を、手っ取り早く安く実現できます。またクラウド化に限らず、FileMakerをぱっと始めたいとか感触をつかんでもらう際にも、適したサービスです。

─もう1つはどういった方法でしょうか

片岡 様:

ハウジングサービスなどを利用するパターンですね。FileMakerによるシステムを15年とか使い続けている場合、ソリューションファイルだけで100GBを超えているケースもあります。

さらにPDFや画像ファイルなども含めると、200GB・300GBまで膨れ上がっていることも少なくありません。このようなケースでは、FileMaker Cloudにぱっとデータをアップロードするのは困難です。システムの規模が大きい場合は、FileMaker Cloudでなくハウジングサービスなどを利用する方法が適していますね。

クラウド化する際の注意点

─FileMakerをクラウド化する場合の注意点はありますか。

片岡 様:

FileMakerは、もともと社内ネットワークのなかで使うことを想定して開発されたシステムです。それをクラウドに上げることで、ネットワークのコストがかかったり速度が低下したりする点は注意しなくてはなりません。そのため15年もののシステムを「クラウドに預けたい」と相談されたときには、その分失うものがあるという話はさせていただきます。

一方、新規でFileMakerを使うにあたりクラウドを前提にされているお客様の場合、クラウド用の作り方をすることは可能です。問題になりやすいのは、古くからFileMakerを使っているお客様のシステムをクラウド化する場合ですね。

─クラウド化するにしても、注意点をふまえて慎重に計画すべきということですね。

クラウド基盤にカゴヤのサービスを採用した理由

─未来Switch様には、FileMaker Serverをクラウド化するにあたって、よく弊社のKAGOYA FLEXをクラウド基盤に採用いただいています。弊社をお選びいただく理由について、お聞かせいただけますか?

片岡 様:

第一に自由度の高さですね。KAGOYA FLEXではお客様のオンプレ環境を丸ごと再現できるという点は大きいです。

─おっしゃる通り弊社サービスなら、自社運用の利便性を継承しつつサーバーのクラウド化を実現いただけます。この点は他のお客様からも評価いただいていますね。

片岡 様:

そのため規模の大きなFileMakerシステムをクラウド化する際は、弊社としてもカゴヤさんのKAGOYA FLEXを選択しています。

─ありがとうございます。KAGOYA FLEXは自社データセンターで運用されていることもあり、たとえばネットワーク周りも自由に構築可能です。また、お客様からハードディスクをお預かりして、弊社の方でサーバーにコピーすることもできます。

片岡 様:

はい、回線の引き込みができること、VPN環境が構築できること、ルーターの持ち込みが可能であることは大きいですね。あとリモートデスクトップサーバー2台、共有型2台を併設させていただくなど、いろいろな要望を聞いていただいています。

─その他に、KAGOYA FLEXをお選びいただいた理由はございますか。

片岡 様:

第2にコスパの良さですね。従量課金でなく固定費として見積もれる上に、カゴヤさんのプランはしっかりしていて、比較した中では1~2番くらいに安かったです。

FileMaker Cloudを利用する場合も、スケールアップしていけば当然費用がかさみます。同程度の予算でカゴヤさんのプランを使えば、ハードディスク容量に余裕を持たせられるなど圧倒的に環境的な条件が良いですしね。だから、規模が大きくなりそうなお客様には、カゴヤさんのプランを提案させていただいています。

─弊社のプランは、お客様の運用に合わせて柔軟にお選びいただけます。その上で、従量制でない点は、多くのお客様に支持いただいているところですね。

片岡 様:

それからカゴヤさんと他社さんとの違いは、サポートを受ける際に人の顔が見えるか否かですね。

─それはどういったことでしょうか。

片岡 様:

他社のサービスであると電話でサポートを申し込んでも、メールでしか回答が返ってこない場合もあります。その上で回答が遅れたり、18時以降に電話しても「この時間は対応できません」なんて断られたりする例も少なくありません。

一方、カゴヤさんのサポートの場合は、いつ電話で問い合わせをしてもきちんと電話で回答してくれます。このようにある程度サポート担当者の顔がみえて、緊急でサポートしていただけるのは大きいですね。

FileMakerでは医療業種系のシステムにみられるように、ミッションクリティカルな種類も存在します。そういったシステムでは、できるだけダウンタイムも抑えなくてはなりません。このような場合、カゴヤさんのサポート体制は頼りになりますね。

─はい、KAGOYA FLEXでは24時間いつ連絡いただいても、サーバー保守を担当するエンジニアが電話に出られます。いつお問合せいただいても品質の高いサポートを提供できるため、お客様には安心してお使いいただけていますね。

未来Switch様の今後の展望

─最後に、未来Switch様の今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか

片岡 様:

お客様にFileMakerのソリューションを紹介する際、複雑だと分かりにくくなってしまいます。その上で従量制課金であると、お客様に「結局どのくらいかかるの?」と聞かれ、「このぐらいだと思います」と曖昧な回答しかできません。

ですから、「FileMakerでシステムを構築するなら、このプランを使えば5年はしっかり運用できます」というパッケージを作りたいと考えています。また、カゴヤさんが新しいサービスを追加された際は、お客様に提案しやすそうなら採用してパッケージを強化したいですね。 ─はじめからパッケージ化されていれば、お客様も迷うことはありませんね。

【参考】FileMakerの拠点間利用や外出先からの利用をセキュアに実現

本項では、未来Switch様が弊社サービスを利用し運用されているFileMakerシステムの事例を紹介します。本事例にもとづき、弊社サービスにおけるその他の活用方法についても紹介するのであわせて参考にして下さい。

【ポイント】

  • シンプルにSSL通信のみで FileMaker Server を使える構成の他、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」などVPNが必要なケースも対応可能。
  • 拠点間での利用や外出先からのアクセスにも対応できるように、お客様ルーターをお預かりしてVPN接続環境を実現
  • その上でコストパフォーマンスの高いベアメタルサーバーでリモートデスクトップとFileMakerを提供し、安全なテレワーク環境を構築可能
  • カゴヤのFLEXは「指定のキャリア/プロバイダ回線を引き込んで使用できる」などネットワークの柔軟性が高い
  • 標準でカゴヤの回線も提供されるので、「お客様:プロバイダ回線」「メンテナンス用:カゴヤ回線」と棲み分けて利用することも可能
  • リモートデスクトップ(FileMaker PRO)+FileMaker Server+ADサーバーの構成として、RemoteApp で FileMaker PRO を開いて利用できるようにする
  • これにより利用者はリモート接続を意識することなく、あたかもローカルにインストールされているFileMaker を使っているように操作できる

まとめ

FileMakerを使うことによって、社内にプログラミングに長けた担当者がいなくても自社独自のシステムを開発できます。一方、FileMakerをクラウド化する場合、システムの規模やユーザー数によってはハウジングサービスなどで必要な環境を用意しなくてはなりません。KAGOYA FLEXであれば自由度が高いことから、お客様のオンプレミス環境をそのままクラウド上に再現可能です。

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