Laravel を理解し導入すれば、さまざまなWebアプリケーションなどの開発作業を効率化できます。こちらの記事では初心者の方向けに、概要やインストール方法だけでなく、事例や効果的な学習方法についてもご紹介しています。
目次
Laravel(ララベル)とは?
2011年に公開された「Webアプリケーションフレームワーク」で、2022年6月時点の最新バージョンは9です。公式サイトによれば「 Web Artisans (職人)」を対象にしています。
人気の理由
名前の由来
開発者 Taylor Otwell 氏のTwitterでの発言(2013年)によれば、小説『ナルニア国物語』に登場する王都『 Cair Paravel(ケア・パラベル)』から命名しています。上品な印象が感じられます。
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こちらの調査では、「Web frameworks」の分野で約8%で第3位です。
人気の理由
- 備わっている機能が多いため自由度が高く作業の負担を減らすことができる
- 学習しやすいため、利用するまでの準備時間を短縮できる
- データベースとの連携など管理しやすい仕組みがある
できること
Laravel に備わっている機能「Artisans」により、以下のような仕組みを効率良く開発できるようになりました。特定の機能を急ぎで整えなければならない「Web Artisans (職人)」向きと考えます。
- Webアプリケーション開発(タスク管理など)
- 業務システム開発(勤怠管理システムなど)
- Webサイト制作(決済システム含むショッピングサイト、予約サイト、会員サイトなど)
- SNS制作
こちらの情報によれば、日本では2,000近くのWebサイトでLaravelが使われています(2022年7月時点)。
基本的な用語を知る
PHP
公式サイトでは、「Web 開発に適して」いる「オープンソースの汎用スクリプト言語」と説明しています。また「初心者に対しては非常に分かり易いと同時に、プロフェッショナルのプログラマに対しては多くの進んだ機能を提供」とメリットを整理しています。
カゴヤのサーバー研究室では、以下の記事でPHPについて詳しく解説しています。
PHPとは?基礎知識、できることを初心者にもわかりやすく解説します
使い方さえ分かれば、コードの知識なしでもWebサイトが作れるWordPress。ですが、HTMLやCSS、PHPといったプログラミングの知識を持つことで、よりオリジナルで自由なWebサイト(ホームページ)を作ることができるようになります。ここでは、Webサイトに様々な機能をつけたりカスタマイズを可能にしたりするPHPでWordPressを編集する場面での、基礎知識や記述ルールなどをわかりやすく解説…
フレームワーク
プログラミングの作業を毎回ゼロから始める必要がないように、あらかじめ「骨組み」としてまとめられている仕組みがフレームワーク(framework)です。これでWebアプリケーションの開発時間を短縮できるようになりました。Python や Ruby などの知名度の高いプログラミング言語でも、このフレームワークが公開され誰でも利用できるようになっています。
Webアプリケーション
PCのブラウザで動作するプログラムです。「アプリケーション」と似ている用語に「ソフトウェア」があります。このソフトウェアを利用するために、以前はプログラムをPCにダウンロードしてからインストールしていました。その後プログラムを都度インストールせず、ブラウザ上で動作させる方法ができました。これがWebアプリケーションです。
カゴヤのサーバー研究室では、以下の記事でWebアプリケーションについて具体的に説明しています。
【図解】WEBアプリケーションとは?仕組みと開発言語を解説!
WEBアプリケーションを自分で作ってみたくても、どうしたらいいかわからないという方は多いのではないでしょうか。この記事ではWEBアプリケーションの仕組みや作り方の概要、必要なプログラム言語は何かや最初にどんなものをつくるとよいかを解説しています。WEBアプリケーション作りをするにあたりまず必要となる知識がまとめてあるので、この記事を読めば学習に踏み出すことができます。 WEBアプリケーションとは …
Composer(コンポーザー)
PHPでWebアプリケーションを開発する際に重宝する手段です。例えば「フレームワーク」を利用して作業をする際に、特定のプログラムをインストールする場合があります。もし対象のプログラムに関連するものがある場合には、さらにインストールを繰り返さなくてはなりません。
Composerを利用することで、このような関連するプログラムもまとめてインストールできるようになります。PHPでパッケージやライブラリなどプログラムの依存関係を管理し、自動化するツールを Composer と呼んでいます。
Laravel の作業場所を用意する!
本章では公式情報をもとに、OS毎のインストール方法などの概要をまとめています。
手元のMacマシンやWindowsマシンにインストールする
用意する方法は複数あるなかで、「Docker Desktop」または「XAMPP」が利用しやすいのではないでしょうか。ともにMacマシンとWindowsマシンの両方で使えます。
Docker Desktop
Docker Desktopが導入済みの場合、比較的簡単なコマンドでインストールすることができます。詳細は以下の公式サイトをご参照ください。
- macOS の場合
https://laravel.com/docs/9.x/installation#getting-started-on-macos - Windows の場合
https://laravel.com/docs/9.x/installation#getting-started-on-windows
(注)Windows では Docker Desktop を用意した後に、さらに「WSL2」というLinuxの実行環境を用意する必要があります。「WSL2」についてカゴヤのサーバー研究室では、以下の記事でわかりやすく解説しています。
WindowsでWSL2を使って「完全なLinux」環境を作ろう!
WSLとは、Windows上でLinuxを動作させるための実行環境です。新しいバージョンである「WSL2」ではWindows上で「完全なLinux」が動かせるようになり、できることが大幅に増えました。この記事ではWSL(WSL2)とは何かや、WSL1・WSL2の違い、WSL2を使ってLinux環境を構築する方法について解説します。 Windows上でLinuxを動かせる「WSL」とは? 「WSL(…
XAMPP(ザンプ)
Webアプリケーション開発などを手元のPCですぐに始められるように、あらかじめ必要なソフトウェアがまとまっています。XAMPPでは「Apache + MariaDB + PHP + Perl」を一気に導入でき、個別にダウンロードやインストールする設定の手間を省くことができます。こちらもWindows だけでなくmacOS でも利用可能です。詳しくは以下の専用サイトを確認ください。
【参考サイト】
XAMPP とは?
https://www.apachefriends.org/jp/index.html
VPSを利用する
Laravel公式サイトの情報を参考に、Docker環境にインストールしていきます。数コマンドでの操作で完了します。
カゴヤ・ジャパンの場合、専用コントロールパネルの「アプリケーションセットアップ」より、Dockerテンプレートを選択することで簡単に環境を用意できます。
最初に一般ユーザーを追加する
テストとは言え、root ユーザーのままDocker環境にLaravelをインストールしようとすると、途中でエラーが出て進まなくなります。まずは一般ユーザーの作成をしてから作業を始めましょう。
【参考サイト】
Docker 環境で Laravel を動かしたらエラーが発生した話
https://qiita.com/fukuchan-senpai/items/4db2e49b473d6cf1e726
【コマンド】
#一般ユーザーを追加
adduser aaaaaaaa
#sudo アクセス権限の付与
usermod -aG sudo aaaaaaaa
#docker グループに追加
usermod -aG docker aaaaaaaa
(注)「aaaaaaaa」の部分を任意のユーザー名にしてコマンドを実行します。
root ユーザーで作業をしている場合は、以下のコマンドで一般ユーザーに切り替えてから、Laravelをインストールします。
【コマンド】
su - aaaaaaaa
Laravelをインストールする
【コマンド】
curl -s https://laravel.build/example-app | bash
【コマンド】
cd example-app && ./vendor/bin/sail up
「example-app」には判別しやすいディレクトリ名(プロジェクト)に変更しましょう。
ブラウザのURL入力欄にVPSのIPアドレスを入力し以下の画面が表示されれば、インストールは完了です。
Laravel Sail について
今回は「Laravel Sail」を利用しています。これでLaravel + Dockerの開発環境を簡単に作成し、操作できるようになりました。Apache、PHP、Composer、Laravelと順番にインストールしていくのに比べて、数コマンドのみの操作で導入が自動的に進んでいきます。初心者だけでなくWebアプリケーションの実務者にとっても、開発環境を用意する手間が大幅に減ります。Linux だけでなくWindows や macOS でも利用できます。
カゴヤのサーバー研究室では、Dockerについてさまざまな項目を解説しています。詳しくは以下のページよりご覧ください。
ピックアップ記事 Pick UP
今回はカゴヤ・ジャパン提供のVPSプランで検証しています。サーバーを用意する際に、「アプリケーションセットアップ」としてdocker/docker-composeも選択しています。
CPU | 4コア |
メモリー | 4GB |
ストレージ | SSD 30GB |
OSテンプレート | Ubuntu 20.04 LTS |
アプリケーションセットアップ | Docker Engine Community Edition 最新版、Docker Compose 1.27.4 |
料金 | 日額 55円、月額 1,540円(税込価格) |
各種サービスを利用する
開発環境を用意するサービスの利用により、すぐに始められます。一例として「PaizaCloudクラウドIDE」があります。まずは無料プランより試行してから、有料プランに移行してみてはいかがでしょうか。有料のライトプランは月1,078円から利用可能です。
Laravel で初めてのプログラムを動かす!
定番の Hello World の表示方法で説明します。念のためcpコマンドなどで更新するファイルをバックアップしておくと安心です。
【コマンド】
vi example-app/routes/web.php
ファイルを開いたら16行あたりを以下の青字に書き換えます。
【コマンド】
Route::get('/hello', function () {
return 'Hello World';
});
ブラウザのURL入力欄に以下を入れて画面に「Hello World」が表示されれば成功です。
http://(VPSのIPアドレス)/hello
Laravel を効率的で体系的に学ぶ方法
スキルを向上することができる代表的な学習サイトや書籍を紹介します。
学習サイト
事業者 | コース名 | 備考 |
---|---|---|
Laracasts | Exploring //Laravel | ・英語のサイトだがカリキュラムは充実している ・中級以上の内容は有料(月15ドル) |
Udemy | Laravelコース | ・幅広い分野で、レベル毎に豊富なコースが提供されている ・有料、キャンペーン実施時には破格の料金になる |
ドットインストール | Laravel 8入門 基本機能編 | ・Laravel を少しずつていねいに動画で解説している ・一部は無料で公開されている ・プレミアム会員(月千円程度)で多くのサービスが受けられる |
書籍
断片的な情報ではなく体系的にまとまっている書籍で、まずはポイントを理解し作業をしてから、また必要な部分を読み返すのが身につく方法と考えます。おすすめは以下の4冊です。
- 「PHPフレームワークLaravel入門 第2版」(秀和システム)
- 「PHPフレームワーク Laravel実践開発」(秀和システム)
- 「プロフェッショナルWebプログラミング Laravel〈最新Laravel 9対応〉」(エムディエヌコーポレーション)
- 「速習 Laravel 改訂2版 速習シリーズ Kindle版」(WINGSプロジェクト)
Twitter アカウント
- 公式 Laravel(@laravelphp)
- 日本語コミュニティ laravel.jp(@laraveljp)
まとめ
まずはLaravel の概要を把握し、実践しながら徐々に技術を高め、Webアプリケーションなどの開発作業を効率化していただきたいと考えます。
Laravel の動作環境をVPSで用意する場合、カゴヤ・ジャパンの「KAGOYA CLOUD VPS」プランよりご検討されてみてはいかがでしょうか。
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