
Laravel を理解し導入すれば、さまざまなWebアプリケーションなどの開発作業を効率化できます。
こちらの記事では初心者の方向けに、概要やインストール方法だけでなく、事例や効果的な学習方法についてもご紹介しています。
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PHPフレームワークLaravelとは
PHPフレームワークのLaravelは、Webアプリケーション開発を効率化するための強力なツールです。PHPは広く使われているサーバーサイドスクリプト言語で、フレームワークはその開発をさらに簡単にする枠組みです。
Laravelは2011年にTaylor Otwellによって公開され、以来急速に人気を集めてきました。その特徴は、エレガントな構文と豊富な機能セットにあります。Symfonyというフレームワークの一部のコンポーネントを基盤としていますが、より直感的で使いやすいインターフェースを提供しています。
Laravelの登場以降、PHPの開発環境は大きく変わり、多くの開発者がこのフレームワークを採用するようになりました。その理由は、Laravelが提供する優れた開発体験と、継続的な機能の拡張にあります。
名前の由来と読み方
Laravelの名前の由来は、クリエイターのTaylor Otwellが好きな「The Chronicles of Narnia」シリーズに登場する地名「Cair Paravel」からインスピレーションを得たと言われています。正式な読み方は「ララベル」ですが、日本では「ラーラベル」や「ララベル」と呼ばれることもあります。
この名前は、開発者コミュニティの中で親しみやすく、覚えやすいものとして広く受け入れられています。Laravelという名称は、優雅さと力強さを兼ね備えたフレームワークの特性を巧みに表現しているとも言えるでしょう。フレームワークの名前が与える印象は、開発者の選択に影響を与えることがあるため、この名称選びは非常に重要だったと考えられます。
シェアと人気度
Laravelは、PHPフレームワークの中で高いシェアを誇っています。2025年2月の調査によると、Laravelのマインドシェアは27.2%で、PHPフレームワーク市場でトップの座を維持しています。しかし、前年比で1.0%減少しており、競合の追い上げが見られます。特にCakePHPが24.8%で2位につけ、前年比6.5%増と急成長しています。
一方、かつて人気だったZendフレームワークは17.3%で3位に甘んじ、前年比8.3%減と苦戦しています。その他のフレームワークが30.7%を占めており、多様化が進んでいます。
さまざまなフレームワークの台頭により競争が激化していることがうかがえますが、Laravelはその中でも大きなシェアを維持しているのです。
フレームワーク | シェア率 | 前年比 |
---|---|---|
Laravel PHP フレームワーク | 27.2% | -1.0% |
CakePHP | 24.8% | +6.5% |
Zend フレームワーク | 17.3% | -8.3% |
Other | 30.7% | ― |
参照:PeerSpot|PHP Frameworks solutions mindshare
Laravelで実現できること

Laravelを使用することで、幅広いWebアプリケーションの開発が可能になります。基本的なCRUD機能を持つ管理システムから、複雑な業務ロジックを含む大規模なECサイトまで、多様なプロジェクトに対応できるのです。また、APIの開発やマイクロサービスの構築も得意としており、モダンなWebアプリケーション開発に適しています。
実際の開発現場では、企業の社内システムや顧客管理ツール、予約システムなどの開発に広く活用されています。さらに、Laravelの豊富なパッケージエコシステムを活用することで、認証機能やペイメント処理、ファイルストレージなど、高度な機能も容易に実装できます。
Laravelは小規模から大規模まで、様々なWebプロジェクトの要件に柔軟に対応できる強力なフレームワークです。
基本的な開発事例
Laravelを使用して、様々な種類のWebアプリケーションを開発することができます。代表的な例として、業務システムやECサイト、SNSプラットフォーム、予約システムなどが挙げられます。
システム種別 | 具体例 | 主な機能 |
---|---|---|
業務システム | 勤怠管理、在庫管理など | データベース連携、ユーザー認証など |
Webサイト | コーポレートサイト、ブランドサイトなど | CMS機能、お問い合わせフォームなど |
SNSプラットフォーム | 社内SNS、一般ユーザー向けSNS | ユーザー認証、プロフィール管理、投稿機能、フォロー/フォロワー関係の構築 |
予約システム | 社内備品や会議室の予約システム、一般ユーザー向け予約システム | カレンダー機能やリアルタイムの空き状況確認、予約の作成・変更・キャンセル |
以下で、各システムやアプリケーションにおけるLaravelでの開発手法について詳しく解説します。
業務システムとECサイト
Laravelは業務システムやECサイトの開発に適しています。
業務システムでは、ユーザー認証や権限管理、データベース操作などの機能を簡単に実装できます。
例えば、社内の勤怠管理システムや顧客管理システムを効率的に構築できます。一方、ECサイトでは、商品管理、カート機能、決済システムの連携などが容易に実現可能です。
Laravelの強力なORM(Eloquent)を使用することで、複雑なデータベース操作も簡潔に記述できます。また、セキュリティ面でも優れており、クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクションなどの攻撃から保護する機能が標準で搭載されています。
さらに、拡張性が高いため、将来的な機能追加やスケールアップにも対応しやすい特徴があります。
SNSと予約システム
Laravelを使用してSNSプラットフォームを開発する際、ユーザー認証、プロフィール管理、投稿機能、フォロー/フォロワー関係の構築などの機能を効率的に実装できます。
例えば、Laravelの認証システムを活用してユーザーログインを簡単に設定し、Eloquent ORMを使用してデータベース操作を直感的に行えます。一方、予約システムでは、カレンダー機能やリアルタイムの空き状況確認、予約の作成・変更・キャンセルなどの機能を実装できます。Laravelのイベントシステムを利用して、予約状況の変更をリアルタイムで反映させることも可能です。
さらに、両システムともにLaravelのキュー機能を活用することで、メール送信や通知処理を非同期で効率的に処理できます。これらの機能を組み合わせることで、高機能なSNSや予約システムを比較的短期間で開発することができます。
Webアプリケーション開発の特徴
Laravelを使用したWebアプリケーション開発には、いくつかの特徴があります。まず、MVCアーキテクチャを採用しているため、コードの管理や保守が容易になります。また、Eloquent ORMを使用することで、データベース操作が直感的に行えるようになります。さらに、Bladeテンプレートエンジンにより、HTMLの記述が簡潔になり、開発効率が向上します。
他のPHPフレームワークと比較すると、Laravelは豊富な機能と拡張性を持ち、大規模なプロジェクトにも対応できます。セキュリティ面でも優れており、クロスサイトスクリプティングやSQLインジェクションなどの攻撃から保護する機能が標準で組み込まれています。また、Artisanコマンドラインツールを使用することで、開発作業の自動化が可能になり、生産性が大幅に向上します。
MVCモデルによる開発手法
LaravelはMVCモデルを採用しており、開発効率を大幅に向上させます。
MVCモデルとは、Model(データベース操作)、View(画面表示)、Controller(処理の制御)の3つの要素で構成されているフレームワークです。
構成要素 | 役割 | 具体例 |
---|---|---|
Model | データベース操作 | データの取得・更新 |
View | 画面表示 | テンプレート、レイアウト |
Controller | 処理の制御 | ルーティング、ビジネスロジック |
このように分離することにより、開発者は各要素に集中して作業できるため、効率が向上するのです。また、コードの再利用性も高まり、保守性も向上します。
例えば、データベースの変更があっても、Modelのみを修正すればよいため、他の部分への影響を最小限に抑えられます。このように、MVCモデルを採用することで、開発者は効率的かつ柔軟にWebアプリケーションを構築できるのです。
Artisanコマンドの活用
Artisanコマンドは、Laravelの開発効率を大幅に向上させる強力なツールです。このツールはコマンドラインから様々な作業を効率化し、開発者の手間を大きく削減します。例えば、以下のようなコマンドで簡単に作業が行えます。
モデルの作成
php artisan make:model
コントローラの作成
php artisan make:controller
マイグレーションの実行
php artisan migrate
これらのコマンドを活用すれば、開発者はコードの記述に集中できるため、プロジェクトの進行速度が格段に上がるのです。Artisanコマンドは、Laravelの学習曲線を緩やかにし、初心者でも効率的に開発を進められる大きな利点となっています。
Laravel導入のメリットとデメリット

Laravelを導入すると、開発時間の短縮や保守性の向上が期待できます。豊富な機能と拡張性により、複雑な要件にも柔軟に対応できるようになるでしょう。また、学習コストが比較的低いため、新人開発者でも早期に習得できる点も魅力です。
一方で、デメリットとしては処理速度への影響があります。フレームワークの機能を使用することで、パフォーマンスが低下する可能性があります。大規模開発では、設計の複雑化や開発者間の調整が必要になる点も注意が必要です。
Laravelの導入を検討する際は、プロジェクトの規模や要件に応じて、これらのメリットとデメリットを慎重に比較検討した上で判断しましょう。
開発効率を高めるメリット
Laravelの導入には、開発効率を大幅に向上させる多くのメリットがあります。
まずコード自動生成機能により、開発者の作業時間を大幅に短縮できます。これにより、プロジェクトの進行速度が上がり、納期の短縮にもつながります。次に、MVCモデルの採用により、コードの管理が容易になります。この構造化されたアプローチにより、大規模なプロジェクトでも保守性が高まり、長期的なコスト削減につながります。さらに、豊富なライブラリが用意されているため、機能の追加が簡単に行えます。
これにより、クライアントの要望に迅速に対応でき、ビジネスの競争力向上にも貢献します。これらのメリットにより、Laravelは多くの開発者から支持を得ています。
メリット項目 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
開発効率 | コード自動生成 | 作業時間短縮 |
保守性 | MVCモデル採用 | コード管理の容易化 |
拡張性 | 豊富なライブラリ | 機能追加の容易化 |
豊富な機能と拡張性
Laravelは、開発者に豊富な機能と拡張性を提供しています。
標準で用意されている機能群には、認証システム、データベース操作、キャッシュ管理、タスクスケジューリングなどがあり、開発の効率化に大きく貢献します。さらに、Composerを通じて数多くのパッケージを簡単に追加できるため、必要な機能を柔軟に拡張できます。
例えば、決済システムの統合やSNS認証、画像処理などです。また、Laravelは独自のエコシステムを持っており、Nova(管理画面作成ツール)やVapor(サーバーレスデプロイ)など、公式が提供する強力なツールも活用できます。
これらの機能と拡張性により、開発者は複雑な要件にも柔軟に対応できるのです。
学習コストの低さ
Laravelの学習コストの低さは、多くの開発者にとって魅力的な特徴です。PHPベースのフレームワークであるため、PHPの基本を理解している開発者にとっては、スムーズに学習を進めることができます。
また、Laravelの公式ドキュメントは非常に充実しており、初心者でも理解しやすい説明が豊富に用意されています。さらに、オンラインチュートリアルやビデオ講座も数多く存在し、視覚的に学習を進められるのも大きな利点です。
Laravelの活発なコミュニティも学習をサポートしてくれます。疑問点があれば、フォーラムやSNSで質問することで、経験豊富な開発者からアドバイスを得られます。
このような豊富な情報源とサポート体制により、Laravelの学習曲線は比較的緩やかで、短期間で実践的なスキルを身につけることができるのです。
検討すべき課題・デメリット
Laravelの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題やデメリットも存在します。まず、処理速度の問題が挙げられます。Laravelは豊富な機能を持つため、適切に最適化しないと処理が遅くなるのです。この課題に対しては、必要な機能のみを選別し、不要な機能を削除することで対応できます。
次に、コードの複雑化があります。Laravelの高い自由度により、開発者によってコードの書き方が異なり、プロジェクト全体が散漫になることがあります。これを防ぐには、チーム内でコーディング規約を策定し、統一的なコーディングスタイルを維持することが重要です。
最後に、保守管理の問題があります。Laravelは頻繁にバージョンアップされるため、常に最新版への対応が求められます。この課題に対しては、計画的な更新スケジュールを立て、定期的にバージョンアップを行うことが効果的です。
課題項目 | 内容 | 対策案 |
---|---|---|
処理速度 | 機能過多による遅延 | 必要機能の選別 |
コード複雑化 | 自由度による散漫化 | コーディング規約策定 |
保守管理 | バージョン更新対応 | 更新計画の策定 |
処理速度への影響
Laravelは機能が豊富で開発効率が高い反面、処理速度に影響を与える可能性があります。フレームワークの持つ多くの機能や抽象化レイヤーが、パフォーマンスにオーバーヘッドを生じさせることがあるためです。他のPHPフレームワークと比較すると、Laravelの処理速度は中程度と言えます。
例えば、CakePHPやSymfonyは比較的高速な処理を実現しています。CakePHPはシンプルな構造で処理速度が比較的高速であり、Symfonyは基本機能に絞った構成により中~高程度の処理速度を維持しています。
ただし、適切な最適化や設定を行うことで、Laravelでも十分な処理速度を実現できます。キャッシュの活用やデータベースクエリの最適化など、パフォーマンスチューニングの手法を適切に適用することが重要です。
フレームワーク | 相対的な処理速度 | 特徴 |
---|---|---|
Laravel | 中 | 機能豊富だが処理負荷大 |
CakePHP | 中~高 | シンプルで処理速度比較的高速 |
Symfony | 中~高 | 基本機能に絞った構成 |
大規模開発での注意点
大規模開発プロジェクトでLaravelを使用する際には、いくつかの注意点があります。
まず、コードの管理が重要になります。多くの開発者が同時に作業するため、バージョン管理システムの適切な利用が不可欠です。また、チーム全体でコーディング規約を厳格に定め、それを遵守することが求められます。これにより、コードの一貫性が保たれ、保守性が向上します。
さらに、大規模なアプリケーションでは、パフォーマンスの最適化が課題となることがあります。データベースクエリの最適化やキャッシュの適切な利用など、細心の注意を払う必要があります。分業開発時には、各モジュールの責任範囲を明確に定義し、インターフェースを適切に設計することが重要です。
これにより、開発の効率化とバグの低減が期待できます。最後に、大規模プロジェクトでは、テストの重要性が増します。単体テストから統合テストまで、包括的なテスト戦略を立てることが不可欠です。
Laravel のインストール方法

Laravelのインストールを始める前に、いくつかの前提条件を確認する必要があります。
まずPHPがインストールされていることが重要です。Laravel 10は最新のPHPバージョンを推奨しており、通常はPHP 8.1以上が必要になります。
次に、Composerというパッケージ管理ツールが必須です。Composerを使用してLaravelをインストールするため、事前にComposerをセットアップしておく必要があります。
また、LaravelはMySQLやPostgreSQLなどのデータベースと連携することが多いため、これらのデータベースシステムの準備も考慮に入れるとよいでしょう。
さらに、フロントエンドを作るためにNode.jsとNPMの開発環境も推奨されます。
環境が整ったら、Composerを使用してLaravelをインストールできます。コマンドラインから簡単にプロジェクトを作成し、すぐに開発を始められるのがLaravelの魅力の一つです。
手元のMacマシンやWindowsマシンにインストールする
Laravelを手元のMacやWindowsマシンにインストールする方法は、比較的簡単です。
1.ターミナルやコマンドプロンプトから以下のコマンドを入力し、PHPとComposerがインストールされていることを確認しましょう。
php -v
composer --version
2.インストールされていない場合は以下のコマンドでインストールします。
【Macの場合】
brew install php composer
【Windowsの場合】
公式サイトからPHPをダウンロードしてインストールし、Composerのインストーラーを使用します。
まずPHPからインストールしましょう。
PHPダウンロードサイトから環境に合ったパッケージをダウンロードします。

ダウンロードできたらZipをCドライブ直下に展開し、「システムのプロパティ」を起動したのち下部の「環境変数」からパスを通します。


最後にコマンドプロンプトを起動し以下のコマンドでテストしてみましょう。バージョンが表示されたらインストール成功です。
php -v

次にComposerダウンロードサイトからインストーラーをダウンロードし、起動します。Composer-Setup.exeというリンクからダウンロードできます。

インストーラーが起動したらガイドに沿って進めるだけでインストールできます。

インストールが終わったらコマンドプロンプトから以下のコマンドでテストします。
composer -v

バージョン情報が表示されたら成功です。
3.Composerを使ってLaravelをインストールします。ターミナルまたはコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行しましょう。
composer global require laravel/installer
4.以下のコマンドで新しいLaravelプロジェクトを作成します。
laravel new プロジェクト名
5.プロジェクトディレクトリに移動し、以下のコマンドでローカルサーバーを起動すれば、ブラウザでLaravelアプリケーションにアクセスできます。
php artisan serve
Docker Desktop
Docker Desktopが導入済みの場合、比較的簡単なコマンドでインストールすることができます。詳細は以下の公式サイトをご参照ください。
- macOS の場合
https://laravel.com/docs/9.x/installation#getting-started-on-macos - Windows の場合
https://laravel.com/docs/9.x/installation#getting-started-on-windows
※Windows では Docker Desktop を用意した後に、さらに「WSL2」というLinuxの実行環境を用意する必要があります。「WSL2」についてカゴヤのサーバー研究室では、以下の記事でわかりやすく解説しています。

WindowsでWSL2を使って「完全なLinux」環境を作ろう!
WSLとは、Windows上でLinuxを動作させるための実行環境です。新しいバージョンである「WSL2」ではWindows上で「完全なLinux」が動かせるようになり、できることが大幅に増えました。この記事ではWSL(WSL2)とは何かや、WSL1・WSL2の違い、WSL2を使ってLinux環境を構築する方法について解説します。 Windows上でLinuxを動かせる「WSL」とは? 「WSL(…
XAMPP(ザンプ)
XAMPPは、ローカル環境でPHPの開発を行うための便利なツールです。Apache、MySQL、PHP、Perlなどがパッケージ化されており、簡単にインストールできます。Laravelの開発環境構築にも適しています。
XAMPPをインストールしたら、まずApacheとMySQLを起動します。次に、XAMPPのhtdocsフォルダにLaravelプロジェクトを配置します。
ただし、設定時には注意が必要です。特にポート番号の競合に気をつけましょう。他のアプリケーションが同じポートを使用している場合は、XAMPPの設定ファイルで変更が必要です。また、パスの設定も重要です。環境変数にXAMPPのPHPフォルダを追加することで、コマンドラインからPHPを使用できるようになります。
トラブルが起きた場合は、ログファイルを確認し、エラーメッセージを確認しましょう。丁寧に読み解くことで、多くの問題を解決できます。もし、自力での解決が難しければフォーラムで質問するのも有効です。
【参考サイト】
XAMPP とは?
https://www.apachefriends.org/jp/index.html
VPSを利用する
VPSを利用してLaravelの開発環境を構築することは、多くの開発者にとって有効な選択肢です。VPSを使用すると、本番環境に近い状態でアプリケーションをテストできるため、より信頼性の高い開発が可能になるからです。
まず、信頼できるVPSプロバイダーを選択し、適切なスペックのサーバーを契約します。次に、SSHを使用してVPSに接続し、必要なソフトウェアをインストールします。
Laravel公式サイトの情報を参考に、Docker環境にインストールしていきましょう。数コマンドでの操作で完了します。
カゴヤ・ジャパンの場合、専用コントロールパネルの「アプリケーションセットアップ」より、Dockerテンプレートを選択することで簡単に環境を用意できます。

料金・機能・テンプレート | KAGOYA CLOUD VPS
VPSの料金・機能・テンプレートに関するページです。

最初に一般ユーザーを追加する
Laravelをインストールする際は、rootではなく一般ユーザーを追加して行うことが推奨されます。これは、rootユーザーが最高権限を持つため、マルウェア感染時やアプリケーションの脆弱性を突かれた場合にシステム全体が危険にさらされるためです。また、誤って重要なシステムファイルを削除・変更するリスクも高くなります。
一般ユーザーの追加は、rootから以下のコマンドで簡単に行えます。
まずVPSのコントロールパネルにアクセスし、一覧からインスタンスを選びます。

コンソールタブからコンソールを起動します。

※ブラウザでポップアップ禁止設定を行っていると、コンソールが起動しない場合があります。
起動できたらrootでログインし、以下のコマンドでユーザーを追加します。
adduser ユーザー名
ユーザー名の部分は任意の名称で設定を進めましょう。今回はaaaaaaaaで解説を進めます。

ユーザーが追加できたら、次は以下のコマンドでsudoアクセス権限を付与します。
usermod -aG sudo aaaaaaaa
dockerグループにも追加しましょう。以下のコマンドで追加します。
usermod -aG docker aaaaaaaa
これで一般ユーザーの追加と設定が出来ました。以下のコマンドでrootから一般ユーザーに切り替えて使いましょう。
su - aaaaaaaa
Laravelをインストールする
一般ユーザーを追加できたらいよいよLaravelをインストールします。
以下のコマンドを実行すると、「example-app」という名前のLaravelプロジェクトが作成されます。このコマンドはLaravel Sailを使用して、Dockerベースの開発環境を自動的にインストールします。
curl -s https://laravel.build/example-app | bash
インストール完了後、以下のコマンドでプロジェクトを起動できます
cd example-app && ./vendor/bin/sail up
「example-app」には判別しやすいディレクトリ名(プロジェクト)に変更しましょう。
ブラウザのURL入力欄にVPSのIPアドレスを入力し以下の画面が表示されれば、インストールは完了です。

Laravel Sail について
今回は「Laravel Sail」を利用しています。これでLaravel + Dockerの開発環境を簡単に作成し、操作できるようになりました。
Apache、PHP、Composer、Laravelと順番にインストールしていくのに比べて、数コマンドのみの操作で導入が自動的に進んでいきます。初心者だけでなくWebアプリケーションの実務者にとっても、開発環境を用意する手間が大幅に減ります。Linux だけでなくWindows や macOS でも利用できます。
今回はKAGOYA CLOUD VPSで検証しています。サーバーを用意する際に、「アプリケーションセットアップ」としてdocker/docker-composeも選択しています。
CPU | 4コア |
メモリー | 4GB |
ストレージ | NVMe SSD 600GB |
OSテンプレート | Ubuntu 24.04 LTS |
アプリケーションセットアップ | Docker Engine Community Edition 28.0.0 Docker Compose 2.33.0 |
料金 | 日額 63円、月額上限 1,760円(税込価格) |
各種サービスを利用する
開発環境を用意するサービスの利用により、すぐに始められます。一例として「PaizaCloudクラウドIDE」があります。まずは無料プランより試行してから、有料プランに移行してみてはいかがでしょうか。
有料のライトプランは月1,078円から利用可能です。
Laravelの基本的な使い方

Laravelの基本的な使い方を理解するには、まず開発フローから把握しましょう。
ルーティング設定をします
例えば、以下のファイルをエディタで開きます。
example-app/routes/web.php
ファイルに以下のように記述します。
Route::get('/hello', function () {
return 'Hello World';
});
このように記述することで、’http://(VPSのIPアドレス)/hello’というURLにアクセスした際の処理を定義できます。上記の例ではアクセスすると” Hello World “と表示されます。実際に試してみましょう。
コントローラーを生成
以下のコマンドでコントローラーを生成します。
php artisan make:controller HelloController
このコマンドを実行すると”app/Http/Controllers”の下に” HelloController.php”が自動的に生成されます。このphpファイルをエディタで開いてプログラミングしましょう。
ビューを作成
ビューを作成します。resources/views
ディレクトリ内にBladeテンプレートファイルを作成し、HTMLとPHPを組み合わせて動的なコンテンツを生成します。
例えば”hello.blade.php”という名前のファイルを作成し、この中にHTMLを記述します。そしてコントローラから呼び出すことでビューを表示します。
モデルを作成
データベース操作には、Eloquent ORMを使用します。例えば以下のコマンドでモデルを作成しましょう。
php artisan make:model User
これでphp内で以下のように記述し簡潔にデータを取得できます。
$user = User::find(1);
これらの要素を組み合わせることで、効率的にWebアプリケーションを開発できます。Laravelの強みは、これらの操作を直感的に行える点にあります。開発者は、ビジネスロジックに集中することができ、生産性が大幅に向上します。
Laravel の効率的な学習方法

Laravelを効率的に学習するには、まず基本的なPHPの知識を身につけることが重要です。オブジェクト指向プログラミングやMVCアーキテクチャの概念を理解しておくと、Laravelの学習がスムーズに進みます。
次に、公式ドキュメントを丁寧に読み込むことをおすすめします。Laravelの基本的な機能や使い方が詳しく解説されているため、全体像を把握するのに役立ちます。
また、実際にサンプルプロジェクトを作成しながら学ぶことで、理解が深まります。オンラインのチュートリアルやビデオ講座も活用すると、視覚的に学べるので効果的です。さらに、Laravelコミュニティに参加することで、最新の情報や他の開発者からのアドバイスを得ることができます。
定期的に小さなプロジェクトを作成し、学んだ内容を実践することで、着実にスキルアップを図ることができます。
学習サイト
Laravelの学習には、オンラインの学習サイトが非常に効果的です。代表的なサイトとして、Laracastsが挙げられます。英語のサイトですが、カリキュラムが充実しており、特に中級以上の内容は月額15ドルで利用できます。
また、Udemyでは幅広い分野でレベル別の豊富なLaravelコースが提供されており、キャンペーン時には破格の料金で受講できます。
日本語での学習なら、ドットインストールがおすすめです。「Laravel 8入門 基本機能編」では、動画でていねいに解説されており、一部は無料で公開されています。プレミアム会員(月額千円程度)になると、さらに多くのサービスを受けられます。
これらのサイトを活用することで、効率的にLaravelのスキルを身につけることができます。
事業者 | コース名 | 備考 |
---|---|---|
Laracasts | Exploring //Laravel | ・英語のサイトだがカリキュラムは充実している ・中級以上の内容は有料(月15ドル) |
Udemy | Laravelコース | ・幅広い分野で、レベル毎に豊富なコースが提供されている ・有料、キャンペーン実施時には破格の料金になる |
ドットインストール | Laravel 8入門 基本機能編 | ・Laravel を少しずつていねいに動画で解説している ・一部は無料で公開されている ・プレミアム会員(月千円程度)で多くのサービスが受けられる |
書籍
Laravelの学習には、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応した書籍が用意されています。初心者向けには「PHPフレームワークLaravel入門 第2版」(秀和システム)がおすすめです。基礎から丁寧に解説されており、Laravelの概念を理解するのに適しています。
中級者向けには「PHPフレームワーク Laravel実践開発」(秀和システム)が役立ちます。実践的な開発手法や応用テクニックを学べます。
上級者向けには「プロフェッショナルWebプログラミング Laravel〈最新Laravel 9対応〉」(エムディエヌコーポレーション)がおすすめです。高度な機能や最新のテクニックを網羅しています。
また、短期間で効率的に学びたい方には「速習 Laravel 改訂2版 速習シリーズ Kindle版」(WINGSプロジェクト)が適しています。書籍を選ぶ際は、対応しているLaravelのバージョンに注意が必要です。最新のバージョンに対応した書籍を選ぶことで、最新の機能や開発手法を学ぶことができます。
- 「PHPフレームワークLaravel入門 第2版」(秀和システム)
- 「PHPフレームワーク Laravel実践開発」(秀和システム)
- 「プロフェッショナルWebプログラミング Laravel〈最新Laravel 9対応〉」(エムディーポレーション)
- 「速習 Laravel 改訂2版 速習シリーズ Kindle版」(WINGSプロジェクト)
Laravelが「オワコン」と言われる理由

Laravelが「オワコン」と言われる理由について、SNSなどで時折見かけることがあります。しかし、この評価は必ずしも正確ではありません。確かに、Laravelには処理速度の面で課題があると指摘されることがあります。特に大規模なプロジェクトでは、フレームワークの複雑さが開発の障害になる可能性があります。また、新しい技術との比較で、Laravelが時代遅れに感じられることもあるでしょう。
しかし、これらの批判は必ずしも妥当とは言えません。処理速度の問題は、適切な最適化技術を用いることで大幅に改善できます。大規模開発での複雑化も、適切な設計とモジュール化によって管理可能です。新技術との比較についても、Laravelは常にアップデートを重ね、最新のトレンドを取り入れています。
実際、Laravelは依然として多くの開発者に支持されており、企業での採用も続いています。「オワコン」という評価は、一部の声が誇張されたものと言えるでしょう。Laravelの豊富な機能や使いやすさ、大きなコミュニティサポートは、依然として大きな魅力となっています。フレームワークの選択は、プロジェクトの要件や開発チームのスキルセットに基づいて慎重に行うべきです。
Laravelの将来性と発展
Laravelの将来性は非常に明るいと言えます。継続的なアップデートが行われており、最新のウェブ開発トレンドに常に対応しています。
バージョン10がリリースされ、さらなる機能強化が図られました。コミュニティの活性度も高く、世界中の開発者が活発に情報交換を行っています。
GitHubでのスター数も増加傾向にあり、多くの開発者から支持されています。企業での採用事例も増えており、大手企業から中小企業まで幅広く利用されています。
特にスタートアップ企業での採用が顕著で、迅速な開発と拡張性の高さが評価されています。市場での需要も高まっており、Laravel開発者の求人数は増加傾向にあります。フリーランス市場でもLaravelスキルへの需要が高まっています。
今後も、AIとの連携やマイクロサービスアーキテクチャへの対応など、最新技術との統合が進むことが予想されます。Laravelは、PHPフレームワークの中でも特に注目されており、今後も成長が期待されています。
まとめ
Laravelは豊富な機能と拡張性を持つPHPフレームワークとして、継続的な進化を遂げています。処理速度などの課題はありますが、適切な最適化で対応可能です。開発効率の向上や学習コストの低さから、多くの企業やスタートアップで採用され、今後もAIやマイクロサービスとの連携など、さらなる発展が期待されています。
LaravelをVPS環境で構築する場合、VPSサービスも選択肢として有用です。
特に、KAGOYA CLOUD VPSでは業界トップクラスのコストパフォーマンスと高性能を実現しています。日額20円から利用できたり本格導入する場合は割引適用ができる年額プランなど、VPSでのLaravel利用を行う上ではオススメできます。
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