メールによるマーケティングをおこなう際に、頭が痛いのが迷惑メールの問題です。なりすましメールをはじめとした迷惑メールの増加により、正常なメールさえユーザーに開封されづらくなっています。
その対策として、多くの企業が導入を検討している技術が「BIMI」です。BIMIを導入することで、自社から送信するメールの信頼性が向上しユーザーに開封してもらいやすくなります。実際にAmazonやYahoo、GoogleといったIT企業の最大手を中心として、多くの企業がBIMIを導入している状況です。
この記事では、BIMIとは何かといった基本から、BIMIを導入するメリット、仕組みまでわかりやすく解説しています。
目次
BIMIとは【メールに企業ロゴを付与し信頼性を高めるための技術】
BIMI(Brand Indicators for Message Identification)とは、DMARCと呼ばれる認証が成功したメールに対し企業ロゴを付与し信頼性を高める技術です。
有名企業から送信されたように装う「なりすましメール」は、ずっと以前から問題になっています。なりすましメールの指示に従い、メール内のリンクをクリックすると、ウイルスに感染したり個人情報が盗まれたりしてしまうのです。
BIMIによってメールに企業ロゴが付与されることで、そのメールがなりすましメールでないことがわかります。そのためユーザーは安心して、企業ロゴ付きのメールを開封できるのです。
BIMIを使うためには、メールを受信する側の対応も必要
全てのユーザーがBIMIを使えるわけではありません。利用中のメールサービス・メールソフトが対応している場合に限り、BIMIによる企業ロゴが掲載されるのです。BIMIに対応している代表的なメールサービスとして、Gmail・Apple Mail・Yahoo!メールがあげられます。
BIMIが使われている理由・メリット
BIMIを導入し、送信メールに自社のロゴを付与する企業は増えています。それでは、なぜBIMIが使われているのでしょうか。以下、主なメリットをみていきましょう。
なりすましメールと見分けがつきやすくなる
BIMIが使われる最も大きなメリットは、企業ロゴが付与されたメールが「なりすましメールではない」と見分けられるようになることです。
昨今ではAIの進化などで自然な文面のなりすましメールを作成しやすくなり、正しい送信元からのメールとの区別がつきにくくなっています。件名や送信元の表記は日本語としても自然で、一目でなりすましメールと判断するのは難しいでしょう。
その点、BIMIに対応していれば、正しい送信元から送られたメールに企業ロゴが付与されるようになるので、簡単に区別がつくようになります。
正しい送信元からのメールが迷惑メール判定されづらくなる
BIMIに必要なDMARC認証が成功することにより、迷惑メールと判定される可能性が軽減されます。
また企業ロゴが掲載されたメールであれば、ユーザーもなりすましメールでないと一目でわかるでしょう。そのため自社から送信したメールが、誤って迷惑メールとして報告されるのを防ぐこともできます。
これらの結果、正しい送信元からのメールが、迷惑メールと判定されづらくなるわけです。
企業やブランドの認知度・信頼性が向上する
メールに企業ロゴを付与することによって、企業やブランドの認知度向上が期待できます。
ユーザーは企業ロゴをみれば、一目でその企業・ブランドからのメールであることが分かるでしょう。BIMIに対応していないメールと比べ、自社のメールが目立つのも大きなポイントと言えます。また繰り返し企業ロゴを目にすることで、ユーザーはその企業・ブランドを認知しやすくなるのです。
BIMIに対応した場合、その企業・ブランドになりすましたメールによる被害も予防できます。さらにユーザーは、メールの見た目で企業・ブランドがなりすましメール対策をおこなっていることを簡単に把握できるわけです。これらの結果、企業・ブランドの信頼度の向上にもつながります。
メールが開封されやすくなる
ユーザーは、企業ロゴをみてすぐに「それがなりすましメールでない」と把握できます。その結果、安心してメールを開いてくれるようになり、開封率の向上を期待できるのです。
BIMIの仕組み
BIMIは、メールの送信元ドメインを認証するDMARCという技術を利用します。BIMIではDMARCによる認証が成功したメールに対し、企業ロゴを付与するのです。
自社メールをBIMIに対応させたい場合、自社のDNSサーバーにDMARCの設定を行う必要があります。一方で受信側のメールサーバーは、送信側のDNSサーバーに問い合わせてDMARCの認証を実行するわけです。DMARCの認証が成功したメールには、企業のロゴが付与されます。
※DMARCについては、以下の記事で詳しく解説しています。興味があればあわせてご覧ください。
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BIMIを導入する(自社メールに企業ロゴを追加する)手順
ここではBIMIを導入する(自社メールに企業ロゴを追加する)大まかな手順をみていきましょう。BIMIを導入するか検討する際の参考にしてください。
①送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)に対応する
まず、自社サーバーで送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)の設定を行います。
名称 | 概要 |
---|---|
SPF | 送信元メールサーバーのIPアドレスをもとに、なりすましメールか判別する認証方法 |
DKIM | 送信メールに電子署名を付与して、なりすましメールでないことを示す認証方法 |
DMARC | SPF・DKIMの認証結果をもとに、メールを処理するポリシーを設定する方法 |
DMARCでは、SPF・DKIMの認証に失敗したメールに対して以下から処理方法を指定します。
ポリシーの種類 | 内容 |
---|---|
none | 何もしない |
quarantine | 迷惑メールとして迷惑メールボックスなどに隔離することを求める |
reject | 受信を拒否する(メールを破棄する)ことを求める |
BIMIを利用する場合、DMARCのポリシーはquarantineかrejectを選ぶ必要があります。noneを選んだ場合、認証に失敗してなりすましメールと疑われるメールも、そのまま受信されてしまう可能性があるからです。
②メールに表示させるロゴを作成する
次に自社メールに表示させる企業ロゴを、SVG形式で作成します。作成した企業ロゴは、HTTPSでアクセスが可能なWEBサーバーに保存して下さい。
③ロゴの証明書(VMC)を取得する
VMC(Verified Mark Certificate)とは、ロゴの所有権を証明する電子証明書です。BIMIを導入する際は、認証局からVMCを購入しWebサーバーにアップロードします。
なおVMCを取得する場合、企業ロゴは商標登録されている必要があるので注意してください。(企業ロゴが商標登録されていない場合でも、VMCが取得できるようになる予定はあります。)
※BIMIを導入するにあたって、VMC取得は必須ではありません。しかしVMCが取得・アップロードされていない場合、多くのメールサービス・メールソフトでは企業ロゴが表示されないので注意が必要です。
④必要なDNSレコードを追加する
最後に、BIMI用のDNSレコード(TXTレコード)を、自社DNSサーバーに登録します。具体的な書式は以下のとおりです。
default._bimi.[自社のドメイン名] IN TXT “v=BIMI1; l=[ロゴが保存されたWebサーバーのURL]; a=[VMCが保存されたWebサーバーのURL]”
例:default._bimi.example.com IN TXT
“v=BIMI1;l=https://example.com/doc/logo.svg;a=https://example.com/doc/vmc.pem”
これで、VIMIの導入作業は完了です。正しく設定されていれば、受信側もBIMIに対応している場合に、自社メールに企業ロゴが付与されるようになります。
まとめ
BIMIを導入することによって、自社から送信するメールに企業ロゴを付与することが可能です。
なりすましメールをはじめとした迷惑メールが増えている昨今、メールが開封されづらくなっているのは否めません。なりすましメールによる被害も広がっており、ユーザーのメールに対する不信感も強くなっています。
一方でBIMIにより企業ロゴが付与されたメールは、なりすましメールでないと簡単に判断することが可能です。ユーザーは安心して企業ロゴ付きのメールを読めるので、開封率の向上が期待できます。企業ロゴ付きのメールは、受信箱のなかで目立ちやすいことから企業やブランドの認知度向上にも貢献するでしょう。
BIMIを導入する場合は、DMARCなどの送信ドメイン認証に対応し、企業ロゴの所有権に関する証明書を購入します。最後にBIMIを利用するのに必要なDNSレコードを、自社DNSサーバーに登録すれば導入作業は完了です。
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