昨今、Web3.0という用語を目にする機会が増えてきました。近い将来、Web3.0の時代がやってくると言われています。しかし、Web3.0とはいったい何なのかをご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、Web3.0とは何なのかをわかりやすく解説します。
目次
Web3.0とは何かをわかりやすく紹介
Web3.0(読み方:ウェブ・サンテンゼロ)とは、簡単に説明すると、次世代の「分散型インターネット」という意味です。2018年頃から始まった新しい概念のため、明確な定義はまだ定まっていないと言えるでしょう。
Webの進化は、Web 1.0、Web 2.0、Web 3.0の3つの段階で分類されています。ひとつ前のWeb2.0では、特定の巨大企業(GoogleやAmazon、Facebookなど)が、個人情報や利益を独占しているという「中央集権型」の課題が問題視されおり、Web3.0の登場によって解決されることが期待されています。
Web3.0の仕組みは、ブロックチェーン技術によって構成されており、すでにインターネットの一部はWeb3.0へ移行されているものの、普及にはまだ時間を要すると考えられています。
また、Web3.0を深く理解するためには、それまでのWebにおける時代の流れを把握した方がわかりやすいでしょう。
これまでのインターネットは、Web1.0とWeb2.0の時代に分けられ、それぞれの時代の特徴は以下のように表されます。
名称 | 主流と なった年 | 型 | 特徴 |
---|---|---|---|
Web1.0 | 1990年~ | 中央集権型 | ・一方向 ・「ごく一部の人が」情報を発信する ・コミュニケーション:メールなど |
Web2.0 | 2000年 ~2020年 | 中央集権型 | ・双方向自由に ・「多くの個人が」情報を発信できる ・個人同士のコミュニケーションが可能 ・画像や動画が中心 |
Web3.0 | 2021年~ | 非中央集権型 | ・ブロックチェーン技術の活用 ・分散型の考え方 ・国や人種を超えたコミュニケーション |
Web1.0は、インターネットが始まったばかりの時代で、「情報の流れが一方通行な時代」と表せます。当時、ネットワークの速度が遅かったこともあり、テキストが主体であるWebコンテンツが一般的でした。発信する側の数も少なく、ユーザーは情報を得るために新聞やテレビと同じような感覚でWebサイトを閲覧していました。
一方通行の通信がメインで、コミュニケーションの手段としてはメールでのやり取りが主流でした。
2000年~2020年頃は、Web2.0の時代とされています。TwitterやYouTubeなどのほとんどのサービスがWeb2.0に分類されます。
インターネットにおける通信速度が高速となったため、双方向でのコミュニケーションが可能となりました。それにより、大きなデータのやり取りができるようになったため、動画サイトや動画広告が一気に普及し、テレビや新聞広告の総売り上げをインターネットの広告が初めて追い抜いたのもこの時代でした。
また、TwitterやInstagram、FacebookやLINEなどのSNSサービスも大きく拡大し、ユーザー同士が簡単にコミュニケーションを取れる時代へと変化しました。しかし、さまざまな情報やモノがインターネットに接続されるようになり、便利になった一方で、情報漏えいなどの「セキュリティリスク」が問題視されるようになりました。
これらの時代を経て、今後Web3.0の仕組みへと徐々に以降していくことが予測されています。
Web3.0の仕組みとブロックチェーン技術の関係性
Web3.0の仕組みに欠かせないのが、「ブロックチェーン技術」です。
ブロックと呼ばれる単位でデータが管理されており、鎖(チェーン)のようにブロックをつなげて保管することから、ブロックチェーンと称されています。この技術を活用することで、データを複数人で分散して管理できるため、情報を改ざんされる心配がなくなります。
ブロックチェーンの仕組みについて、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
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Web3.0とWeb3に違いはあるの?
Web3.0を「Web3」と表記する記事も多く見られますが、厳密には違いがあるとされています。
例えば、Wikipediaでは以下のように解説されています。
Web3は、ティム・バーナーズ=リーが1999年に提唱し、2006年にWeb 3.0の構成要素に位置づけたセマンティック・ウェブとは異なる[20]。Web3という用語は、イーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッドが、2014年に「ブロックチェーンに基づく分散型オンライン・エコシステム」を指して作った造語である。
セマンティック・ウェブとは、Webサイト上の情報(データや文章)に意味(semantics:セマンティクス)を持たせることによって、コンピューターがより正確に情報を分析してユーザーへ提供することを目指した技術です。
上記の文章は、Web3.0はWeb2.0の延長線上にあるセマンティック・ウェブを指すもので、Web3とは異なるものであると表されています。
またWeb3は、イーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッドがブロックチェーンの技術を活用した分散型のオンライン・エコシステムを指したものであるとしています。
Web3.0の特徴
Web3.0は、これまでのWeb2.0のようにプラットフォームに依存することなく、個人間でも自由にやり取りが行なえる特徴があります。
ここでは、その他のWeb3.0における以下4つの特徴について解説します。
- データの所有権がユーザーにある
- セキュリティ性能の向上
- 通信に仲介組織が不要
- サービス利用がグローバル化
データの所有権がユーザーにある
1つ目の特徴は、データの所有件ユーザーにあることです。Web2.0では、Web上におけるデータを所有しているのはプラットフォームの提供企業です。仮にプラットフォーム側でデータが削除されてしまえば、購入したデータであっても利用することができなくなります。
例えば、Spotifyでダウンロードした楽曲は、もしSpotifyがデータを削除してしまうと、購入したデータを失うことになります。
しかし、Web3.0では、複数のコンピューターが分散管理しているため、ユーザーがデータを所有できます。したがって、データの改ざんや消失するリスクを抑えられるのです。
セキュリティ性能の向上
続いての特徴は、セキュリティ性能が向上する点です。
Web2.0では、Web上における個人情報を含んだあらゆるデータを、プラットフォーム企業が管理・運用しています。もし、サイバー攻撃にあえば個人情報が流出してしまう可能性があります。
しかしWeb3.0では、ブロックチェーンの技術によって、複数のコンピューターでデータを分散管理しているので、情報漏洩が発生することがありません。
またWeb3.0は、メールアドレスやパスワードの登録を行わなくても、サービスを安全に利用できます。
通信に仲介組織が不要
3つ目の特徴は、通信の際に仲介組織を介す必要がなくなることです。
Web2.0では、ユーザーは自信のパソコンやスマホなどの端末から、Webサービス提供会社が運用するサーバーへアクセスすることで、Webサービスを利用していました。
Web3.0では、P2P(読み方:ピア・ツー・ピア)と呼ばれる方式によって、企業のサーバーを介さなくても、ユーザーの端末同士でネットワーク通信が可能となります。
サービス利用がグローバル化
Web3.0の分散型アプリケーションDApps(読み方:ダップス)は、国境や人種を超えて自由に利用可能です。
DAppsを活用することで、自由に誰もが世界中のサービスへアクセスできるようになります。また、匿名での利用も可能なため、企業や国が規制できないという特徴もあります。
【活用事例付き】Web3.0を活用した代表的な技術
ここでは、Web3.0を活用した代表的な技術について解説します。
NFT(非代替性トークン)
NFT(読み方:エヌ・エフ・ティー)とは、Non-Fungible Tokenを略した用語で、非代替性トークンと訳されます。
「非代替性」とは、言い換えれば「替えがきかない」という意味です。ブロックチェーン技術によって、データの改ざんができなくなり、「替えのきかない世界で唯一のモノ」であることを証明できるようになりました。
この仕組みを利用することで、デジタルアートや動画作品に作成者や購入者を記憶させられるため、価値を付けられるのです。
有名な例をあげると、Twitterの創業者が最初のツイートをデジタルオークションに出品したところ、1ドルから始まった入札は、オークションが報じられると共に高騰して最終的に当時の日本円にして3億1700万円で落札されました。
これまで、絵画などの美術品のオークションへの参加は、ハードルも高く難しいものがありました。しかしNFTアートは、インターネット上のプラットフォームから誰でも出品や購入がしやすいというメリットがあります。
NFT技術の活用事例:NFTマーケットプレイス
NFTマーケットプレイスとは、NFT商品の取引が可能なプラットフォームです。NFTを取引できる日本企業のマーケットプレイスはさまざまあり、その一部を以下に紹介します。
NFT技術の活用事例:NFTゲームアプリ
NFTゲームとは、ブロックチェーンを利用したゲームのことで、以下のような特徴があります。
- ゲーム内での取引は不正や改ざんがしにくい
- ゲーム内で取得したアイテムはユーザーの資産になる
- ゲームで取得したアイテムを自由に売買可能
このように、NFTはゲームでお金を稼ぐことが可能です。これまでゲームにはない特徴があるため、将来性に注目が集まっています。
また、以下にNFTゲームアプリの一部を紹介します。
- Decentraland(ディセントラランド)
- Sorare(ソラーレ)
- The Sandbox(ザ・サンドボックス)
- CRYPTO SPELLS(クリプト・スペルズ)
- Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)
DeFi(分散型金融)
DeFi(読み方:ディファイ)とは、Decentralized Financeを略した用語で、日本語では「分散型金融」と訳されます。ブロックチェーンの技術によって構築された金融サービスで、銀行などの金融機関を介さずに利用できるという特徴があります。
従来の「中央集権型」システムでは、中央管理者である金融機関(銀行など)がお金の取引を管理していました。ユーザーはお金を引き出す際や振り込むときは、金融機関へ手数料を支払う必要があります。
DeFiでは、ユーザー同士で直接取引や管理が可能のため、手間やコストを大幅にカットできます。
DeFi技術の活用事例:DEX(分散型取引所)
DEX(読み方:デックス)とは、Decentralized Exchangeを略した用語で、「分散型取引所」を指します。中央管理者を必要とせずに、ユーザー同士が直接取引できる取引所を意味します。
ブロックチェーン技術における「スマートコントラクト」によって確立した、分散型の金融システムです。スマートコントラクトとは、契約を自動的に実行できる仕組みで、イーサリアム(ETH)などの仮想通貨に実装されています。
DEXは、通常の取引に比べて以下のようなメリットがあります。
- 手数料が安い
- 本人確認なしで利用可能
- イールドファーミング※が可能
※イールドファーミングとは、仮想通貨をプラットフォームに預けて、利息を受け取る運用方法です。
また、主要なDEXを以下に紹介します。
DeFi技術の活用事例:DeFi保険
DeFi保険とは、ブロックチェーンの技術を活用した、健康保険や生命保険、災害保険などの保険商品を、AIや暗号技術を使って取引できる保険です。
DeFi保険は、以下のようなメリットがあります。
- プラットフォームを使用して誰でも独自の保険を作成可能
- 世界中の人に保険商品を販売できる
DeFi保険が生まれた背景としては、「従来の保険の内容が分かりづらい・使いづらい」「気軽に加入して、簡単に保険金を受け取れるようにしたい」といった理由から誕生しました。
代表的なDeFi保険は、以下のようなサービスがあります。
DAO(分散型自律組織)
DAO(読み方:ダオ)とは、Decentralized Autonomous Organizationを略した用語で、日本語では「分散型自律組織」と訳されます。ブロックチェーン上で、世界中のメンバーが協力して共同所有・管理する組織のことを指します。
DAOではスマートコントラクト(契約を自動的に実行できる仕組み)を活用し、独自のルールを設定して運営する体制を構築しています。分散型のため中央管理者が存在せず、メンバーの投票によって組織の意識決定がなされます。インターネットの環境さえあれば、誰でも自由に参加できる特徴があります。
従来型の組織は、意思決定者が存在して、トップダウンで組織の末端まで指示が行き渡り運営されます。しかし、DAOでは、意思決定や取引は全てブロックチェーンを活用して実施されます。したがって、不正や改ざんが難しく、透明性の高い組織運営が可能であるメリットがあります。
組織にトップが存在しない新しい体制で、投票による民主的な意思決定である仕組みは、今後さらに増えていく組織形態として注目されています。
DAO技術の活用事例:DAOオペレーティングシステム
DAOオペレーティングシステムとは、簡単に誰もがDAOを作成できるプラットフォームを指します。
DAOオペレーティングシステムには、以下のようにさまざまな種類があり、トークン作成や投票などの機能を備えています。
DAO技術の活用事例:Investment DAOs
Investment DAO(インベンスメント・ダオ)とは、スタートアップ企業と投資家の仲介をする組織です。
スマートコントラクトと仮想通貨を使用して、特定の資本へ迅速に投資が可能で、投票によって投資先が決定されるという特徴があります。
Investment DAOの種類としては、以下にあげるようなDAOがあります。
Web3.0が抱える問題点・課題点
さまざまな分野での活用が期待されるWeb3.0ですが、新しい技術のため以下のような問題点や課題点があります。
- 法整備が追い付いていない
- 手数料(ガス代)が高額
- ユーザーの知識が薄いため利用にはまだハードルが高い
- 使いにくいサービスが多い
- 詐欺などのトラブルは自己責任
Web3.0は新しい技術のため、法整備やユーザビリティが整っていないという課題があります。また、非中央集権のため、情報や資産などはすべてユーザーが自分で管理を行う必要があります。初心者を狙った詐欺などのトラブルに巻き込まれても、自分で解決しなければなりません。
Web3.0を拡大するためには、これらの課題を解決することが重要です。日本国内では法改正後に本格的な盛り上がりを見せることが予測されるため、本質的な問題については今後さらに解決されていくことが予測されます。
まとめ
Web3.0は、ブロックチェーン技術を活用した新しいインターネットの概念です。仮想空間におけるゲームや独自のコンテンツ、NFTアートやゲーム、保険や組織といった、これまでに無かったさまざまな可能性を秘めています。
しかし、まだ課題も多いため、日本国内で普及するには時間を要します。新しい仕組みであるWeb3.0の拡大を、今後も注力して見ていきましょう。
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