「サーバーを確保したい」と考えるときに、ずっと以前から自宅サーバーを使う方はいました。しかし昨今では、サーバーを手軽で安価に使えるレンタルサーバーやVPSなどのサービスが登場しており、自宅サーバーを使う人は少なくなっています。実際、サーバーを使いたいのであれば、今から自宅サーバーを選ぶ意味はほとんどありません。
この記事では、自宅サーバーとは何かといった基本から、自宅サーバーのメリット・デメリット、VPSを選んだ方がよい理由を解説しています。
自宅サーバーとは
自宅サーバーとは、文字通り自宅で運用するサーバーのことです。自宅にあるPCにOSやサーバーソフトをインストールしネットワークへ接続することで、さまざまな種類のサーバーを運用できます。
運用したいサーバーの種類や用途にもよりますが、自宅サーバーに数十万円もする高価格のPCは必ずしも必要ありません。昨今ではサーバーを運用するのに使える、大容量の常時接続回線も比較的低価格で提供されています。そのため一般ユーザーでも、手軽に自宅サーバーを構築・運用できるのです。
自宅サーバーの特徴・メリット
サーバーを運用する方法は、自宅サーバーだけではありません。レンタルサーバーを契約して利用することも可能です。それではレンタルサーバーに比べ、自宅サーバーにはどのような特徴やメリットがあるでしょうか。以下、主なメリットをみていきましょう。
※ここでいう「レンタルサーバー」は、VPSなどは含まないレンタルサーバーを指しています。
例:KAGOYAレンタルサーバー
拡張性が高い(超大容量の保存領域も比較的安価に利用できる)
超大容量の保存領域も比較的安価に利用できる点は、自宅サーバーを選ぶ最も大きなメリットです。
自宅サーバーの場合、ユーザーは自由にスペックを変更できます。たとえば自宅サーバーであれば、数TBの保存領域も、比較的安価な価格で利用可能です。同じスペックをレンタルサーバーで実現しようとした場合、一般的には高価な月額費用が発生することになるでしょう。
Linuxやネットワークなどに関する知識を習得しやすい
自宅サーバーを運用する場合、サーバーのセットアップからネットワークの設定まで全て自分でおこなわなくてはなりません。トラブルが発生した際も、インターネットなどを調べながら自分で問題を解決する必要があります。
そのためサーバーOSとして使われるLinuxや、ネットワークの詳細な設定に必要な知識を習得するのに適しているのです。実践の知識を学べるので、専門書を読むより効率的に学習できるでしょう。
LAN内では高速に使える
自宅サーバーをLAN内で利用する場合、レンタルサーバーを使うよりはるかに通信速度が速くなります。たとえば大容量のデータをサーバーに保存したり取り出したりするといった際は、インターネット上のサーバーよりずっと快適に使えるでしょう。
外部にデータを預ける必要がない
データの種類によっては、セキュリティ上の理由から外部サーバーへ預けたくないと考えるユーザーもいるでしょう。自宅サーバーであれば、外部にデータを預ける必要がないのでそういったデータも保存できます。
スペックの割にランニングコストは安い
スペックを任意で決められる自宅サーバーであれば、高いスペックの割に安いランニングコストで利用が可能です。たとえば数TBクラスのディスク容量をレンタルサーバーで確保したい場合、月額数万円程度の費用が必要になることも少なくありません。CPUやメモリといったスペックを上げる場合は、さらに高い費用がかかります。
一方で自宅サーバーなら、必要なランニングコストは月に1,000円~3,000円程度の電気代くらいです。ランニングコストで比べた場合、自宅サーバーの方がずっと安くすみます。
自宅サーバーを選ぶデメリット・注意点
自宅サーバーとレンタルサーバーを比較した場合、見てきたように自宅サーバーを使うメリットは多いです。一方で調達から運用まで全てユーザー自身でおこなう分、デメリットや注意点が多いのも否めません。
以下、レンタルサーバーに比べ自宅サーバーはどのようなデメリットがあるかみていきましょう。
導入時にかかるコストが高い
自宅サーバーを運用する場合、導入時にはまとまったコストが必要になります。サーバーに使うPCの他、必要に応じてルーターや各種ケーブルなどの備品も用意しなくてはなりません。安価なPCを利用するとしても、自宅サーバーの運用時には数万円程度のコストがかかる場合が多いでしょう。
一方でレンタルサーバーなら、初期費用が無料のケースも少なくありません。このようにレンタルサーバーに比べ導入時のコストがかかってしまう点は、自宅サーバーの大きなデメリットと言えます。
使えるようになるまで手間がかかる
自宅サーバーは、導入を決めてから使えるようになるまで手間がかかるのも否めません。
レンタルサーバーであれば、オンラインで契約してすぐに使えるケースがほとんどです。必要な設定はレンタルサーバー事業者が行ってくれるので、ユーザーは手間がかかりません。
一方、自宅サーバーはPCやネットワークの調達から、サーバー・ネットワークの構築まで全て自分で対応する必要があります。運用するサーバーの種類や用途、ユーザーの技術レベルにもよりますが、使えるようになるまで数日以上かかることもあるでしょう。
構築の途中でトラブルが発生し、なかなか先にすすめないといったケースも珍しくありません。自宅サーバーを運用する場合、手間がかかる点は許容する必要があります。
メンテナンスの手間がかかる
自宅サーバーは構築時だけでなく、アップデートやハードウェアの取り換えなど、メンテナンスに手間がかかる点も注意が必要です。レンタルサーバーであれば、OSのアップデートやハードウェアの交換など、サーバー運用に必要なほとんどのメンテナンス作業は業者がおこないます。自宅サーバーでは、それら作業を全てユーザー自身で行うことから、レンタルサーバーに比べはるかにメンテナンスの手間がかかるのです。
不具合・障害が発生したらほぼ全て自分で対応しなくてはならない
自宅サーバーの場合、サーバーに不具合や障害が発生したら、ほぼ全て自分で対応しなくてはなりません。一方でレンタルサーバーであれば、故障したハードウェアの交換など不具合・障害の対応は業者側がおこないます。
そのためレンタルサーバーに比べて、自宅サーバーは不具合・障害発生時の対応に手間と時間がかかる点は注意しなければなりません。
サーバーを設置するスペースを確保しなくてはならない
自宅サーバーを運用する場合、PCやルーターを設置する場所を確保しなくてはなりません。コンパクトなノートPCを使うことも可能ですが、それでもある程度のスペースは自宅サーバー以外の用途で使えなくなります。
物が多いなどで自宅のスペースが少ない場合は、その一部を自宅サーバー用に使わなければならないのはきついかもしれません。
サーバー用のPCを設置する部屋は熱や騒音に悩まされる可能性がある
自宅サーバー用に高いスペックのPCを使うほど高熱となり、サーバーを設置する部屋の温度も上昇します。また使うPCやサーバーにかかる負荷の程度などにもよりますが、PCの動作音がうるさく感じることも少なくありません。
このように熱や騒音に悩まされる可能性があるので、静かな寝室やリビングなどにサーバー用のPCを設置するのはおすすめできません。
電気代がかかる
自宅サーバーを使う場合、電気代が高くなる可能性がある点も注意が必要です。
どのくらい電気代がかかるかは状況により異なりますが、高いスペックを利用しより重たい処理を長時間させるほど電気代もかさみます。
一方でレンタルサーバーであれば、電気代を気にする必要はありません。
セキュリティのリスクが高い
自宅サーバーは、インターネットからさまざまな攻撃にさらされることになり、セキュリティのリスクが高い点も注意が必要です。
サイバー攻撃の対象は、必ずしも企業のサーバーだけではありません。サイバー攻撃によって自宅のサーバーが、他サーバーを攻撃するための踏み台とされる可能性もあります。その結果、攻撃の実行者として疑われてしまうことも考えられるのです。自宅サーバーがウイルスに感染したのをきっかけに、同じLAN内の他PCもウイルスに感染し被害が広がる可能性もあります。
自宅サーバーを運用する場合、自分でセキュリティ対策を全てしなくてはなりません。自宅サーバーの運用を開始したあとにファイアーウォールのログをみると、攻撃の形跡が多いことに驚くでしょう。
自宅サーバーよりVPSをおすすめする理由
今から自宅サーバーを運用したいと考えている方は、まずVPSの利用を検討することをおすすめします。
VPSとは仮想的に用意されたユーザーごとの専用サーバーであり、ユーザーの自由度が高いのが特徴です。VPSではOSのルート権限が渡されるので、ユーザーは自由にOSを操作できます。VPSについての詳細は、以下の記事を確認ください。
この項では、自宅サーバーよりVPSをおすすめする理由をみていきましょう。
自宅サーバーでできるほぼ全てのことをVPSでもおこなえる
前述の通り、VPSではOSのルート権限が渡されるので、自宅サーバーでできるほぼ全てのことをVPSでもおこなえます。VPSを使って、どのようなサーバーを構築してどのように利用するかは、基本的にユーザーの自由です。OSの操作を最初からおこなうのは自宅サーバーと同じなので、VPSを使う場合もLinuxの勉強ができます。
サーバーのスペックについても、ある程度自由に選択が可能です。個人で使用するレベルであれば、「スペック不足で使えない」ということもほとんどないでしょう。
一例として、「KAGOYA CLOUD VPS」であれば、以下のなかからサーバーのスペックを選択できます。これだけのスペックがあれば、個人が使うようなサーバーはほとんど全て快適に動作するでしょう。
vCPU | 1コア | 2コア | 4コア | 4コア | 6コア | 12コア |
メモリ | 1GB | 2GB | 4GB | 4GB | 8GB | 32GB |
SSD | 25GB | 200GB | 30GB | 800GB | 800GB | 1600GB |
自宅サーバーに比べ格段に安価かつ手間なく使える
VPSは自由度が高い上に、自宅サーバーに比べ格段に安価かつ手間なく使えるので非常に手軽です。
たとえばKAGOYA CLOUD VPSであれば、初期費用が0円となっています。また月額費用も550円~と非常に安価です。本番環境に適した4コアのプランでも、月額1,540円で利用できます。
PC購入などのため導入時に数万円のコストがかかり、毎月1,000円~3,000円程度の電気代がかかる自宅サーバーと比べてもずっと安価です。
またVPSはオンラインで契約さえすませれば、すぐに利用できます。ハードウェアの手配やネットワーク機器の基本的な設定は、業者がすべておこなうのです。OSのインストールについても、コントロールパネルで簡単な選択をするだけですぐに使えるようになります。ユーザーの手が煩わされることはありません。
そのほか、ハードウェアやネットワーク機器に対する日々のメンテナンスも業者が全ておこないます。このように手間がかからない点は、自宅サーバーと比較した場合の、VPSにおける大きなメリットといえるでしょう。
サーバーを設置するスペースを確保する必要がない
オンラインで契約・利用するVPSの場合、自宅にサーバー用のPCを設置する必要がありません。自宅サーバーのように、サーバー用のPCが発する熱や騒音に悩まされることもないです。
当然のことではありますが、この点は自宅サーバーと比較した場合の、VPSに関する大きなメリットといえます。
サーバー機器にもしものことがあっても自分でメンテナンスする必要がない
VPSの場合、ハードウェア故障やネットワーク機器の不具合などがあってもユーザーがメンテナンスをする必要がありません。ハードウェアやネットワーク機器の管理に関しては、業者が全ておこなってくれるからです。ユーザーは常に安定した環境を、安心して使い続けることができます。
簡単に新しい環境を作り直せる
VPSでは新しい環境が必要になった場合、既存のインスタンス(仮想専用サーバー)を削除してすぐに作り直すことができます。この作業はすべてオンラインで完結できるので、手間も時間もかかりません。
自宅サーバーの場合、新しい環境を作り直すためには、OSの再インストールからはじめる必要があります。サーバーのスペックを変えたい場合は、サーバー用のPCを買い替えるか自分で組み直す必要もあるでしょう。
VPSであれば、これらの作業がコントロールパネル上の簡単な操作で完結できるのです。
スペックを簡単に変更できる
自宅サーバーのスペックを変更する場合、機器の調達やハードウェアの組み直しなどの作業が必要です。そのため手間も時間もかかります。
VPSの場合、スペックの変更が必要であればコントロールパネル上で簡単にスペックを変更可能です。スペックを変更するのに時間もかかりません。
自宅サーバーとVPSのどちらを使うべき?
前項までで解説した内容をもとに、自宅サーバー・VPSそれぞれのメリット・デメリットをまとめ直してみましょう。次の項から、自宅サーバー・VPSそれぞれどのようなユーザーにおすすめするかを解説します。
自宅サーバー | VPS | |
---|---|---|
主なメリット | ・ハードウェアからLinux OSまで学習ができる ・お金さえかければ、任意にスペックを変更可能 ・超大容量のディスクをつかうときは、自宅サーバーの方がコストパフォーマンスは高い ・他ユーザーの影響を一切受けない | ・自宅サーバーほど手間もコストもかけず、手軽にサーバーを確保できる ・OSのルール権限は提供されるので、自宅サーバーで実現できるほぼ全てのことをVPSでも実現可能 ・自宅サーバーに比べセキュリティの不安がない ・ハードウェアやネットワーク機器の故障がおきても対応の必要がない ・簡単に新しい環境を作り直せる ・サーバーのスペックを簡単に変更できる (自分でハードウェアを調達するなどの必要がない) ・サーバー専用のスペースを確保する必要がない ・サーバーの動作音や熱に悩まされることもない |
主なデメリット | ・サーバー構築から日々のメンテナンスまで手間がかかる ・サーバー機器の購入から日々の電気代までVPSに比べ格段にコストがかかる ・サーバー用のPCを設置するスペースの確保が必要 ・PCが発する熱や騒音に悩まされる可能性がある | ・自宅サーバーと違いハード面での学習機会は少ない(Linux OSの学習は可能) ・自宅サーバーほど、自由にスペックは選べない ・他ユーザーの影響をうける場合がある※ |
自宅サーバーはこんなユーザーにおすすめ
はじめに結論を述べると、VPSは個人で使う分には十分なスペックで価格も安いので、あえて自宅サーバーを選ぶ意味はほとんどありません。それでも、以下のように考えるユーザーの方は、自宅サーバーを選ぶ価値はあるでしょう。
- 手間やコスト、音や熱に悩まされるなどの不便さを許容してでも、自分でサーバーを構築・運用したい
- さまざまなトラブルや問題を解決しながら、Linux OSやハードウェア、ネットワークについて深く学習したい
- 自宅LAN内で、数TBクラスの高性能・高速なファイルサーバーをできるだけ安価に運用したい
VPSはこんなユーザーにおすすめ
VPSは自宅サーバーに比べ、はるかに安価で手軽に使える上に、自宅サーバーでできるほとんど全てのことを行えます。そのため特別な理由がない限り、自宅サーバーでなくVPSを利用するのがおすすめです。
- 手軽・安価にLinuxの学習環境・テスト環境・本番環境を利用したい
- 一般的にサーバーが快適に動作する程度のスペックがあれば十分
どちらがよいか分からない方は、まずVPSを使ってみることをおすすめします。VPSでどうしてもやりたいことができなかった場合に限り、自宅サーバーを選び直すとよいでしょう。
VPSなら価格も安価なので、あとから自宅サーバーに切り替えたとしても高いコストはかかりません。KAGOYA CLOUD VPSであれば、初期費用0円、日額20円(月額550円)~の非常に安価な価格で、十分なスペックのサーバーをすぐに利用開始できます。
まとめ
自宅サーバーとは、文字通り自宅で構築・運用するサーバーのことです。ずっと以前は、サーバーを確保したいときに自宅サーバーを選ぶユーザーは一定数存在しました。
しかし現在では、自宅サーバーよりずっと安価で手軽に使えるVPSが登場しています。VPSはOSのルート権限がユーザーに提供されるので、自宅サーバーでできるほとんど全てのことを実現可能です。さらにハードウェアやネットワークの手配・構築などの手間もなく手軽で安価に利用できます。
「どうしても自分でいちからサーバーを構築・運用したい」といった特別な理由がない限り、VPSでサーバーを確保するのがおすすめです。VPSなら自宅サーバーと違い、コストやさまざまなメンテナンスの手間、サーバーの騒音・熱などに悩まされることなく、手軽に使えます。
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