ITの世界におけるハウジングとは、別名「コロケーション」とも呼ばれ、サーバーを設置・運用するためのスペースを貸し出すサービスを意味します。ハウジングサービスを利用することで災害やBCPの対策になり、コスト削減にも繋がります。この記事ではハウジングとホスティングの違い、ハウジングのメリット、サービス選定のポイントを紹介します。
目次
ハウジングとは?
ハウジングとは、英語の「house」に由来する言葉で「家を供給すること」を意味します。特にITの世界では、サーバーを設置・運用するためのスペースを提供するサービスを指します。
ハウジングを利用する場合、利用者は自分でサーバーを用意し、ラック・電源・ネット回線などはサービス提供者からレンタルします。「サーバーを預けて運用してもらうサービス」だと考えると分かりやすいです。
ハウジングでは、サーバーを置くラック単位で申し込むのが一般的です。しかし面積単位でも借りられる場合が多く、その場合は「コロケーション」と呼ばれます。
ハウジングが注目される理由
以前は「データは社内で厳重に管理するもの」という風潮が強く、サーバーを自社内サーバールームに設置する企業が多くありました。しかし最近では「データはより安全な場所に設置するべき」と考えられるようになり、災害対策やセキュリティ対策、電力や空調などが整ったデータセンターにサーバーを移設するケースが増えています。
このような考え方の転換が起こったきっかけの一つが、2011年3月11日の東日本大震災です。企業のサーバールームが被災し、サーバーが停止したことで業務やサービス提供が続けられなくなるケースが相次ぎました。またサーバールームそのものは無事でも、停電によってサーバーが停止するというトラブルもありました。
このような経験も踏まえて、近年では非常時でも事業を継続できるようにする「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」が重視されるようになっています。そしてその対策の一つとして、安全な環境・設備が整ったデータセンターにサーバーを移設するハウジングが改めて注目されています。
ホスティングとの違い
データセンターにあるサーバーを使うサービスには、ハウジングの他に「ホスティング」があります。ホスティングはレンタルサーバーのようなサーバー所有権が事業者側にあるサービスです。
ハウジングがサーバーを「預ける」サービスなのに対し、ホスティングはサーバーを「借りる」サービスだと考えると分かりやすく、以下のような違いがあります。
ハウジング | ホスティング | |
---|---|---|
データセンターの保有者 | サービス提供者 | サービス提供者 |
電源、ネット回線、空調の提供 | サービス提供者 | サービス提供者 |
ラック | サービス提供者 | サービス提供者 |
サーバーのハードウェア手配・所有 | 顧客 | サービス提供者 |
サーバーのシステム構築 | 顧客 | サービス提供者 (顧客の場合もあり) |
運用保守 | 顧客 | サービス提供者 (顧客の場合もあり) |
どちらもデータセンターの中にサーバーが保管され、そのセキュリティやネット回線、電源などが利用できる点は共通しています。しかし利用できるサーバーの調達や運用保守など、ハードウェアの所有権と責任範囲という点に違いがあります。
ハウジングの場合、サーバーのハードウェアの所有者は顧客(サービス利用者)です。サーバーやネットワーク機器を持ち込みできるため、既に所有する資産を活かすことができます。しかし自社で機器を調達して構築するため、設置作業に時間がかかるうえ、保守管理も自分たちで行う必要があります。
ホスティングを利用すれば、自社でサーバーを用意しなくて済みます。またハードウェアの保守管理も不要なため、自社でハードウェアの手配や保守管理をするハウジングに比べると費用が割安で済むというメリットもあります。ただし利用できるサーバーの種類や構成には限りがあります。
Q&A ハウジングとホスティングはどちらを選ぶべき?
ハウジングは自社でサーバーを用意するのが大前提であるため、社内に一定の知識や経験のある人材が必要です。他方で既に自社サーバーを運用している場合、その設定をそのまま引き継ぐことができる点はハウジングの大きなメリットでしょう。
一方のホスティングは、サイトやブログを始めやすいように初期設定が済んでいたり、ドメインなどもセットになっていたりと、手軽に始められるものが多いです。
上記のような違いから、社内にサーバーの運用・管理に明るい人材がいる場合、既に自社サーバーを運用している場合はハウジングがおすすめです。他方でこれからサーバー運用を開始する場合、あまり知識や経験がない場合はホスティングの方が良いでしょう。
KAGOYAでは、ハウジングとホスティングの両方を提供しています。災害に強い立地条件と高度なセキュリティ体制のデータセンターで、お客様の大切なデータを保管します。「サーバー選びから相談したい」「ハウジングとホスティングのどちらにするか迷っている」といった相談も承っていますので、まずはお気軽にお声がけください。
ハウジングサービスを利用する5つのメリット
ハウジングを利用することには、以下のような5つのメリットがあります。
- 災害やBCPの対策になる
- セキュリティ対策になる
- 安定した高速回線を利用できる
- 設備拡張にも柔軟に対応できる
- 自社サーバールームよりコストを抑えることができる
メリット① 災害やBCPの対策になる
ハウジングのメリットの中で最も注目されているのが、災害やBCPへの対策になるという点です。なぜなら一般的なオフィスビルの立地や設備では、災害対策に限界があるからです。
その点、ハウジングに使われるデータセンターは、大きな地震や洪水が起きにくい土地を選んで建設されています。また建物も耐震・免振構造などを備えた堅牢な造りをしており、自家発電による非常用電源も備えています。
そのため災害などの非常時でも事業を継続できるようにする「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」の対策として、ハウジングは非常に有効です。
メリット② セキュリティ対策になる
災害だけでなく、不審者の侵入といったセキュリティの面でもハウジングには大きなメリットがあります。
一般にオフィス内のサーバールームの場合、オフィスビルへの人の出入りは制限しにくく、費用の制約からも導入できる警備体制には限界があります。
しかしサーバー管理に特化したデータセンターであれば、出入りする人を限定することができ、また自社だけでは導入しづらい「24時間365日の有人監視体制」など充実した警備システムを利用することができます。
例えばKAGOYAのデータセンターでは、侵入感知や監視カメラはもちろんのこと、ICカード認証や生体認証など以下のようなセキュリティ対策を取り入れています。
メリット③ 安定した高速回線を利用できる
安定した高速回線が使えるのも、ハウジングを利用するメリットです。
データセンターの通信回線は、災害などの時にも停止や遅延を起こさないような対策が取られています。また大容量の回線なので、急にデータトラフィックが増えた時でもサーバーがダウンするリスクを抑えることができます。
メリット④ 設備拡張にも柔軟に対応できる
「サーバーを増やしたい」という時に簡単に追加することができるのもハウジングのメリットです。
自社内のサーバールームを拡大するよりもスムーズに、しかもラック単位で少しずつ調整することができるので、アクセス増や事業拡大などに柔軟に対応できます。
メリット⑤ 自社サーバールームよりコストを抑えることができる
ハウジングには、BCPやセキュリティ対策が「より安く」できるというメリットもあります。
自社でデータセンターを建設したり、データセンター並みの設備を揃えたサーバールームを用意したりするとなると相当なコストがかかります。その点、ハウジングであれば毎月一定の使用料を支払うだけで、充実した災害・BCP対策やセキュリティ対策ができます。
ハウジングにかかる費用は利用するラック数や申し込むオプションサービスによって幅がありますが、1/4ラックや1/2ラックであれば初期費用が10万円程度から、月々の費用が数万円~10万円程度です。
サービス選定時のポイント
これからハウジングを利用したい場合や、現在利用中のハウジングサービスからの乗り換えを検討している場合は、「災害・BCP対策」と「セキュリティ・運用」の2つの観点でサービスを選定しましょう。
災害・BCP対策観点での選定ポイント
災害やBCP対策の観点では、立地と建物の構造が重要です。
- データセンターが地震や洪水に強い場所にある
- 地震、家事、停電に備えた建築構造や設備になっている
データセンターは、大地震が起きにくい地盤で、且つ洪水や津波の心配がない高台に建てられていると安心です。
また建物の立地条件以外にも免振・耐震構造がしっかりしていること、火災報知機などの設備が充実しているかどうかにも着目しましょう。停電時に備えて非常用電源を確保していることも必須条件です。
セキュリティ・運用観点での選定ポイント
安心して運用を続けるためには、災害対策だけでなくセキュリティ体制や利便性も重要です。
- 設備と有人による高い警備・セキュリティ体制がある
- 都市部からのアクセスが良い
- 希望すれば保守サービスなども受けられる
重要なデータを守るためにも、データセンターには充実したセキュリティ体制が求められます。不審者が立ち入ることがないよう、24時間365日の有人監視体制があり、且つセキュリティ設備でも安全性を確保しているサービスを選びましょう。
ただし不審者が立ち入れないと同時に、必要な時には自分たちが駆け付けやすいのも重要です。ハードウェアのトラブルなど「いざという時」のために、都市部からのアクセスの良さも検討条件に入れておきましょう。
また運用を続けていく中で、自分たちでハードウェアのメンテナンスを行うのが難しくなったり、社内に高度な専門知識のある人材がいなくなったりする可能性もあります。今後のことも考え、保守を行ってくれるサービスがオプションで用意されていると更に安心です。
まとめ
災害が多い日本では、災害やBCPの対策は非常に重要です。その点で、サーバーを安全な場所に預けられるハウジングはぜひ検討しておきましょう。
KAGOYAでもハウジングサービスを提供しており、データセンターは「30年以内の大地震発生確率が0~5%(※京都府発表)」という災害に強い土地に建設しています。手厚いセキュリティ体制、保守サービスも含めたオプションもあり、初めてハウジングを使う方にも、乗り換えを検討している方にも安心してご利用いただけます。
費用やサービス内容のご相談も承りますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
15年以上の実績があるKAGOYAのデータセンターとハウジング。
データセンターは、今後30年以内の大震災発生確率が0〜5%(※京都府発表)、1級河川から直線距離で2㎞、川面から50m離れた高台と、地震にも洪水にも強い立地。大阪・京都から電車で45分以内とアクセスも便利で、24時間365日の有人監視体制を整えています。 長年の経験を活かしてお客様の大切な資産を安全にお預かりします!