クラウドの普及が進むにつれて、マネージドクラウドというサービスも登場しました。
しかし、この「マネージドクラウド」という言葉はまだ定義が定まっておらず、今現在2つの意味を持つ言葉となっています。
そこで今回は、マネージドクラウドがどういったサービスなのか、異なる2つの意味とそれぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
目次
マネージドクラウドとは
マネージドクラウドは、その名の通りマネージドすなわち管理されたクラウドのサービスを指します。しかし、その詳細な内容に関しては現時点では2通りの意味で使われることがあります。
マネージドクラウド自体のサービス
1つ目の意味として使われる「マネージドクラウド」は、マネージドされたクラウド自体を指した意味として使われています。
クラウドサービスにおいてはマネージドされる範囲によって、IaaS(例AWS EC2), PaaS(例AWS Lambda), SaaS(例AWS S3)などがあり、これらを指してマネージドクラウドと呼ぶことがあります。
クラウドのマネージドサービス
2つ目の意味として使われる「マネージドクラウド」は、上記でご紹介のクラウド基盤そのものを代行として運用・監視するマネージドサービスの意味として利用されます。「マネージドクラウドサービス on AWS」の様な名称になっているサービスが、ここでのマネージドクラウドに該当します。
この場合はAWSなどのマネージドクラウドを代行で運用・保守を行い、同時にサーバーやリソース等に異常が発生していないか監視し、必要に応じてアラート通知・復旧作業などを実行する外部委託のサービスとなります。
最近ではこちらの意味として「マネージドクラウド」を使用される割合が多い傾向にあります。
マネージドクラウドのサービス内容
では実際に、マネージドクラウドのサービス内容にはどのようなものが含まれているのかを紹介します。
ただし、サービス内容に関しては利用するマネージドクラウド次第でサービス範囲が異なりますので、全てのサービスに共通するという訳ではありません。
クラウド構築
マネージドクラウドのサービス開始でまず初めに行われるサービス内容としては、クラウド環境の構築があります。
マネージドクラウドのどの範囲を利用するのか、そしてどこまでのマネージドサービスを受けたいのかを選択することができたり、クラウド環境の設計から構築までを全て依頼したりできるサービスもあるため、自社内に専任のエンジニアがいない場合であっても、全て任せられます。
クラウドの管理・監視
稼働し始めたクラウド環境を日々監視し、クラウド環境で構築したサービスを管理したり、ネットワーク周りに異常が発生していないかなどのチェックも委託することができます。
特に数分間、1時間といった時間でもクラウド環境が停止することで大きな損失が発生する可能性がある企業である場合は、こういったクラウド環境の運用にあたる業務は非常に重要になります。
そのため、社内に完璧な運用ができる人材がいない、もしくは24時間運用の業務に充てられないという場合には、代わりに運用を任せることが可能なサービスです。
クラウドの保守関連
クラウド環境の運用とセットになっていることが多い保守関連もマネージドクラウドのサービス内容に含まれていることがあります。
具体的にどのようなサービスかというと、サーバーやシステムダウンが発生した際に迅速な復旧・再起動を行ってもらえるというものです。
こちらも異常が発生してクラウド環境に展開しているサービスが利用不可という状況を、平日や日中だけではなく24時間365日対応してもらえるサービスです。
マネージドクラウドサービスのメリット・デメリット
マネージドサービスとしてのマネージドクラウドサービスには、当然メリットとなる部分があります。
それと同時に、デメリットになる部分も含まれていますので、事前にある程度は把握しておく必要があります。
マネージドクラウドサービスのメリット
マネージドクラウドサービスを利用するメリットは、とにかく作業の負担を大きく軽減できることです。
もし、社内にクラウド環境の運用や管理・保守が出来る人材がいたとしても、監視やダウン時の復旧といったところにまで対応しようとすると、24時間365日ずっと対応できる者が付いている必要があります。つまり対応できる人間は最低でも3~4人確保しておく必要があります。他にも、その人材の採用コストや継続的に発生する深夜手当といった人件費も必要になります。
しかし、このマネージドクラウドサービスを導入することで、それらの問題は全て解決することが可能となります。
マネージドクラウドサービスのデメリット
マネージドクラウドサービスを利用する場合は、デメリットとなる点もいくつかあります。
まず、外注に出すことになりますので、社内に監視や緊急時の対応といった実務経験を通じて得られるノウハウが蓄積しないという点です。もちろんこれはマネージドサービスを使い続ければ問題ありませんが、委託先が廃業になり同条件で再委託できる企業が見つからない場合はかなり不利な状況になります。
次に、サービス範囲を広げると当然コストが高くなるのですが、完全に手放し状態にするにはスポット的なマネージドサービスでは収まらずフルマネージドサービスという高額な費用が必要になります。もちろん、それでも人材確保という問題に悩まされることはありませんが、自社で人材確保した場合の想定コストよりも高くなる可能性があります。
導入するべきかどうかは要検討
マネージドクラウドサービスはクラウド上に展開しているサーバー等の運用、保守・管理の対応を任せられるサービスですので、そのサービス自体はクラウド利用している法人にとっては非常に心強い味方になってくれます。
しかし、今後同じ事業をどんどん成長させていく予定がある場合は、そのサービスの利用料金が継続的に予算から削られることになり、更には将来的に自社内で事業の成長とは裏腹にノウハウが何時までたっても蓄積されないという決して無視できないデメリットがあることも考慮する必要があります。
これが初めから一定期間内だけで終了させる事業だと決めている場合は、マネージドクラウドサービスはそのメリットを最大限に引き出すことができます。
反対に半永久的に事業を成長させていきたいという思いを持たれている場合は、人材確保などの障壁は残るもののマネージドクラウドサービスを導入せずに自社内だけで完結できるよう体制を整えていく方が将来に繋がるでしょう。
まとめ
「マネージドクラウド」はクラウド自体とマネージドサービスの両方の意味で用いられる言葉ですが、多くの場合は後者のマネージドクラウドサービスという意味で用いられます。
このサービスにはクラウド環境の構築・運用・保守と様々選択範囲が用意されており、自社に必要なサービス範囲を選択して委託することも可能です。
これにより人材確保や人件費などを節約しながら、専門のプロに自社のクラウド環境を正常に稼働させ続けるための業務を委託することができます。
ただし、このマネージドクラウドサービスが推奨できるかどうかは事業計画などによって変わりますので、サービスを導入すべきかどうかは良く検討してから行う必要があります。
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