メガクラウドとは、クラウドサービス事業者の中でも特にシェアが大きい事業者を指します。明確な定義はないですが、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの「3大クラウド」を指すのが一般的です。メガクラウドの言葉と、3大クラウドのシェアや特徴を比較しながら解説します。
目次
メガクラウドとは「大きなシェアを持つクラウドサービス事業者」
最近では、気付かぬうちに利用していることもある程に世の中に浸透しているクラウドサービス。
Gmailなどオンラインでアプリケーションを利用するSaaS(Software as a Service)、アプリケーションの開発環境を提供するPaaS(Platform as a Service)、サーバーやストレージを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)など、様々なクラウドサービスがあります。
こうしたクラウドサービスを提供する事業者は数多く存在しますが、その中でも国際的に圧倒的なシェアを持つサービス提供者を「メガクラウド」と呼びます。
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一般には3大クラウドを指す
「メガクラウド」という言葉は俗称で、明確な定義は存在しません。しかし一般に、法人や個人に様々なクラウドサービスを提供している、以下の3つのサービスを指す言葉として使われています。
- アマゾンの「Amazon Web Services(AWS)」
- マイクロソフトの「Microsoft Azure(Azure)」
- グーグルの「Google Cloud Platform(GCP)」
次の章で詳しく紹介するように、この3大クラウドで世界市場の6割以上を占めています。そのため、ITインフラの構築を考える際にメガクラウドの存在を抜きに話を進めるのは難しいといっても過言ではないでしょう。
日本の行政機関が共同利用する「ガバメントクラウド」も、上記の3社とオラクル社のクラウドサービスを利用しています(※2022年時点)。
3大クラウドのシェアと特徴
3大クラウドと呼ばれるアマゾン・マイクロソフト・グーグルの中でも、1位のアマゾン(31%)と2位のマイクロソフト(24%)のシェアは突出しています。
3位のグーグルも含め、3社とも豊富な機能と高いセキュリティ品質を備えています。そのためどのサービスを選んでも一定以上のサービスが受けられますが、それぞれに特徴もあります。
アマゾン(AWS)の特徴
- 世界最大のシェアを持つクラウドサービス
- 2006年サービススタートと、クラウドサービスでも長い歴史を持つ
- 様々なジャンルのクラウドとして利用できる万能型
- 公開されている事例やノウハウが多いため、活用方法の参考にしやすい
EC事業を拡大していたアマゾンが、自社のインフラリソースを活用しサービス化したのがAWSです。あらゆるジャンルのITリソースやウェブサービスを利用できるため、自社システムのクラウド化を検討しているのであれば移転先の候補として外せないでしょう。
歴史が長く日本でもシェアが大きいため、利用経験があるエンジニアを見つけやすいのもAWSの特徴の一つです。参考にできる事例やノウハウも多く、日本語の情報も見つけやすいため、他のクラウドサービスと比べて導入や運用がしやすいでしょう。
マイクロソフト(Azure)の特徴
- 2010年と他のメガクラウドよりも遅いサービススタート
- Windows系サービスとの親和性を強みに、急速にシェアを伸ばす
- マイクロソフトの「Microsoft365」や「Active Directory」との連携性が高い
- システム開発や運用に役立つ機能を多く搭載しているのも特徴
WindowsやMicrosoft Officeを生み出した、マイクロソフトが展開しているAzure。3大クラウドの中で最も遅くスタートしたサービスながら、マイクロソフト製品との連携のしやすさなどを強みに、1位のAWSに迫るシェアを獲得しています。
システム開発や運用に強いと定評があり、またWindows系の技術に馴染みがあるエンジニアにとっては使いやすいサービスです。マイクロソフトのAzureを使ったサービスを提供しているベンダーも多く、サポートを受けやすいのも特徴です。
グーグル(GCP)の特徴
- 2008年にグーグルが開始したサービス
- 上位2社ほどのシェアはないが、日本やアメリカの政府調達先にも入っている
- データ解析や機械学習のサービスなど最先端の技術に強い
- アプリケーション作成・実行・管理ができる機能なども注目を集めている
グーグルが展開するGCPには、検索の高速処理や広告の最適化といったグーグルが培ってきた技術が惜しみなく投入されています。そのため機械学習やAIといった領域に力を入れたい場合には、ぜひ検討したいサービスです。Gmailやグーグルカレンダーといったグーグル系のアプリケーションとの連携ができるのもCGPの強みの一つです。
ただし日本でのシェアはそれほど大きくないため、利用経験があるエンジニアが少ないという点には留意が必要です。日本語の情報もアマゾンやマイクロソフトのクラウドサービスに比べると少ないため、新たに導入する際の学習ハードルはやや高いでしょう。
日本ではアマゾン、マイクロソフトに次いで富士通が3位
世界市場で見ると、アマゾン、マイクロソフト、グーグルが圧倒的なシェアを圧倒的ですが、国や地域によっても利用されるサービスは異なります。
日本におけるシェアは、1位がアマゾン、2位がマイクロソフトというところまでは世界市場と同じです。しかし3位に富士通、4位にNTTのクラウドサービスが食い込むなど、日系企業も一定のシェアを確保しています。世界市場では3位のグーグルは、日本では5位に留まっています。
また中国においては、世界市場とは全く違う会社が上位を占めています。シェア1位はアリババ、2位はテンセント、3位はバイドゥと中国企業が名を連ねています。
メガクラウドの時代こそ「マルチクラウド化」が重要
メガクラウドのシェアが大きいということは、それだけ世界中のオンラインサービスがメガクラウドに依存しているということでもあります。例えば世界市場の3割を占めるアマゾンのAWSに障害が起きれば、様々なオンラインサービスに不具合が起きます。
だからこそ、意識的に様々なクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」という考え方が非常に重要です。マルチクラウドにすることで、以下のようなメリットがあります。
- 複数のベンダーから自由に選択できるので、最適なサービスを利用できる
- 特定のベンダーに「ロックイン」されるのを防ぐことができる
- リスク分散になり、障害が起きた時にも早期に回復できる
複数のクラウドサービスを併用することには、運用や管理のコストが高くなりやすいというデメリットもあります。
しかし複数のクラウドサービスを利用することで、事業に関連するシステム全てが同時にストップしてしまうリスクを軽減することができます。また別のクラウドにバックアップを構築しておけば、障害や不具合からの回復も早くなります。
このようにリスク分散やBCP(ビジネス継続計画)の観点から、最近ではマルチクラウドが注目されています。マルチクラウドの事例やポイントについては以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マルチクラウドとは?言葉の意味、活用事例、導入のメリット・デメリット
マルチクラウドとは マルチクラウドとは「複数のクラウドサービスを併用し、目的によって使い分けること」を指します。一社のクラウドに全てを委ねないので、様々なベンダーから自社に最適なものを選ぶことができます。 マルチクラウド化する時に使われる代表的なサービスには、アマゾンの「AWS」やマイクロソフトの「Azure」があります。こうした大手クラウドサービスはもちろんのこと、ビジネスチャット、クラウドスト…
まとめ
ここまでご紹介したように、メガクラウドとは一般に、アマゾン・マクロソフト・グーグルという3大クラウドサービスのことを指します。この3社で世界市場の6割以上を占めていることからも、この3社のサービスが高く評価されていることが分かります。
しかし1社のクラウドサービスに依存しすぎると、不具合が起きた時の影響も大きくなります。だからこそ昨今、複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドの重要性が唱えられているのです。
複数のクラウドサービスを併用するだけでなく、更に一歩進んで「本当に機密性が高い情報は物理サーバーやプライベートクラウドに保存する」という企業もあります。
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